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「背伸び」をやめ、「反日」収拾に動く胡錦濤

  • 田中 信彦

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2006年10月25日(水)

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 中国政府がこの時期、むしろ自ら積極的に日中首脳会談の開催を図ったのはなぜか。そこには江沢民時代の「負の遺産」から一刻も早く脱却し、安定した経済成長路線の実現に専念したいという胡錦濤現政権の実務路線がある。

 江沢民時代の10数年は「背伸び」の時代だった、と私は考えている。

 先日、本欄の「独リニア事故と上海市書記の解任の間にあるもの」でも触れたように、江沢民時代の中国は何かにつけて「世界水準」「先進国並み」「大国の威厳」といったものを過度に追求する習性が強くあった。天安門事件後の経済的苦境を克服するため、国民の意識を鼓舞しなければならなかったという事情があるのは確かだが、この行き過ぎた「背伸び」のツケが現在の中国に大きな負担となってのしかかっている。

 例えば、上海のリニアモーターカーやF1サーキットは壮大な無駄遣いであったことが世間の目にも明らかになってきているし、北京オリンピックは開催決定後、あまりにも費用がかかり過ぎ、都市環境への負荷も大きいとの批判が出て「節約五輪」に向けて大きく路線を転換した。

「途上国」なのに、先進国並みの負担を強いられる

 諸外国からは不十分との批判が強い知的所有権保護や環境問題への取り組みも、中国側の立場では別の視点が見えてくる。

 実はこれらの問題に対して中国政府はそれなりに真剣な対策を講じていて、一部では効果も上がっている。しかし国内では「中国は途上国なのに先進国並みの負担を強いられるのは不公平だ。先進国が高度成長していた頃、そんな条件はなかったではないか」というのが本音だ。それが政府に対する「大国意識を逆手に取られ、先進国にうまく乗せられて安易にハードルの高い約束をしてしまった」という不満になって表れている。

 WTO(世界貿易機関)加盟も同様だ。10月17日付「世界最大IPOの裏――中国工商銀行が上場」で豊島信彦氏が指摘しているように、多額の不良債権で行き詰まっていた中国4大銀行に中国政府は2003~05年、大量の公的資金を投入、強引な救済策を取った。この点について豊島氏は「(中国)政府は2001年12月にWTO加盟に際し、5年内の銀行市場の開放を公約してしまったからだ」と述べている。「相応の実力もないのに大見得を切ってWTO加盟などをするから、外資に好き放題にやられてしまう」という恨み節は国内経済界に根強くある。

 そして最大かつ最も厄介な「負の遺産」が不用意に広まってしまったナショナリズムであり、それに基づく反日意識である。

「世界鑑測 田中信彦「上海時報」」のバックナンバー

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