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汚職役人を汚職裁判官が裁く

「法を知らない裁判所長」を生み出す裁判官法の落とし穴

2006年10月27日(金)

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深セン市中級人民裁判所

 06年10月19日、香港の星島環球ネットは、「最高人民裁判所調査チームが深センに駐屯 数十人の裁判官が億元を超す汚職で取り調べを受ける」という衝撃的なニュースを報じた。

 それは、「香港に隣接する深セン市の深セン中級人民裁判所の汚職実態を探るべく、中国の最高人民裁判所の紀律委員会が派遣した調査チームは、深セン市での数カ月間の滞在を経て、現在までのところ、副裁判所長1名、裁判長2名、判事1名、部長1名の計5名(一説には6名)を汚職容疑で取り調べ中であり、この他にも裁判所長や裁判長クラスの幹部が重点調査対象のブラックリストに名を連ねており、広東省の司法界で未だかつて無い大きな問題に発展している」というものだった。

裁判官数十人が汚職に関与

 この裁判官数十人が汚職に関与という事実は最高人民裁判所を驚かせ、最高人民裁判所長官である蕭揚は徹底調査を命じた。指示を受けて関係部門および深セン市に滞在中の調査チームは捜査の範囲を拡大・深化させているとのことだが、その概要は次の通りである。

 取り調べを受けている5名には、副裁判所長の裴洪泉、経済法廷裁判長の張庭華、民事法廷裁判長、某法廷の判事、さらに執行部長である裴洪泉の前妻が含まれている。裴洪泉は、かつて深セン市の羅湖区裁判所長であったが、その在任中の生活は相当に乱れていたようだ。

 法律及び裁判所規則に違反して、何件もの重大破産案件の弁護を裴自身が親密な関係にある女弁護士を指定して担当させ、その関与した弁護士費用の総額は1億元(約15億円)近いと言われている。

 また、張庭華は、「深セン司法界で苦情件数が最も多いのに昇進が最も速い」裁判官として、深セン司法界では伝記的と言われる人物であった。実際に、張庭華は1998年にはただの判事補であったが、たったの8年で4等級続けざまに昇進している。

 しかし、この昇進には裏があったようで、張庭華は裁判長になるための重要な時期に50万元(約750万円)もの大金を昇進に影響を持つ上司たちに贈っていたことが密告で確認されている。張庭華はその昇進の速さとは裏腹によほど運が悪かったらしく、彼が取り調べのために連行されたのは、何と彼の裁判長就任初日であったし、彼の事務机からは弁解のしようもない150万元(約2250万円)相当の現金が発見されたが、その中には香港ドルが120万ドルも含まれていたという。

 深セン市では2000年11月にも、深セン市龍崗区人民裁判所の判事であった譚永興が賭博にのめり込み、2年間に裁判所の代理徴収費1300万元(約1億9500万円)を流用して、その中の500万元(約7500万円)以上を負けて使い果たすという事件が発生している。譚永興に負けた金の穴埋めが出来るはずもなく、追い詰められた譚永興は公金の流用を告白して逮捕されたのだった。

香港競馬に9000万円

 譚永興は、1996年に深セン市龍崗区人民裁判所の判事に転任したが、カード、魚釣り、麻雀や競馬といった賭け事に興ずる日々を送っていた。1998年上半期に、譚永興は中国建設銀行布吉支店が提訴した同支店の抵当物件に関する紛争案件を担当したが、この案件処理に絡んで裁判所が代理徴収した54万元を一稼ぎしようと好きな賭博に流用したのを皮切りに、150万元、90万元と代理徴収費の流用を繰り返すようになった。

 香港の競馬には何と総額で600万元(約9000万円)もつぎ込んで遣い果たしたというから、馬鹿に付ける薬はない。代理徴収費の入金がないことに長期間気付かなかったという裁判所も呆れ返った怠慢振りだが、最後は譚永興も観念して公金の使い込みを告白して逮捕され、2002年8月に汚職、収賄、公金横領の罪により無期懲役の判決を受けた。

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「汚職役人を汚職裁判官が裁く」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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