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日系企業の「給与の払い方」は間違いか?

  • 田中 信彦

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2006年11月8日(水)

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 「中国の日系企業は欧米系に比べると賃金水準が低い。だから優秀な人材が採用できない」という話は、日本国内でもよく知られている。しかし欧米系企業とて市場で競争しているのだから、理屈に合わない賃金を払えるはずがない。では何が違うのかといえば、払い方が違うのである。仮に原資は同じだとしても、配分の仕方が違う。

 ある欧米系企業で中国人マネジャーの年俸が60万元(1元は約15円)だったとしよう。日本円にすれば約900万円で、中国人幹部としてはハイレベルの人が採れる金額である。この額を聞いて、多くの日系企業は「ウチはとてもそんなには出せない」と腰が引けてしまう。

欧米企業の高給は「可能性としての」金額

 しかしこのマネジャーがもらっている60万元という金額は、最初から手にできることが約束されているものではない。固定部分は実はその何分の1かで、残りはあらかじめ取り決めた一定の条件をクリアした時、初めてもらえる金額なのである。だから会社はその金額を払っても、それ以上のメリットがあるのだから何も問題はない。

 当然、目標に達しなければ固定部分しかもらえないこともあり得るし、そういう状態が続けば契約自体を打ち切られてしまう。でもこの人は対外的には「自分の年収は60万元」と言うわけだから、「そんなに高いのか」ということになるが、そのリスクの部分が語られていないのである。

 つまり日系企業のマネジャーの年収とは、やや極端に言えば「ポジションに就けばもらえる金額」であるのに対し、欧米系企業のマネジャーの年収は「目標をクリアした(優秀な)人が結果的にもらえた金額」であることが多い。だから当然ながら、欧米系企業のマネジャーが手にする金額の方がずっと大きく見えることになる。

日系企業の発するメッセージは

 しかしその背後には、頑張っても目標に達せず、前年度より年収が落ちたり、その結果、辞めていくマネジャーが山ほどいる。日系企業は飛び抜けた人はいないが、前年を下回る人もいないという安定型になっていることが多い。同じ原資でも払い方が違うとはこういうことである。

 人は突き詰めれば給料をもらうために働いているのだから、賃金の払い方というのは会社が従業員に与える最大かつ最強のメッセージである。経営者の百万言よりも、どんな賃金の払い方をしているかの方が会社の姿勢を雄弁に語っている。

 基本的に日系企業は社員寮とか食堂、通勤手段、社会保険、社内運動会、研修旅行といった社内の誰もが平等に恩恵を得られる分野には総じて厚い措置を講じている。日本国内でも過去そうやって団結力を高め、愛社精神を鼓舞して国際競争に勝ってきたという成功体験があるからだ。

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