現在、インドではIT(情報技術)産業とともに、医療産業が急速に発展しています。ニューデリーやムンバイといった大都市部には近代的な私立病院が集積し、これらの病院には最新の医療設備が整っています。欧米の一流大学で研鑽を積んだ優秀な医師も多数在籍しており、その技術水準は周辺国の中では相当高いと言えます(ただし、看護師など医療補助者の水準はまだ低いと言われています)。
医療分野の中でも、近年では、特に代理母出産のビジネスが脚光を浴びるようになってきました。インドの代理母出産の市場規模は、業界団体などによって4億4900万ドルと推計されています。
代理母出産とは、夫婦のうち妻が子宮に何らかの問題を抱えていて、子供をつくることができない夫婦に代わって、第3者の女性が子供を出産する方法のことです。一口に代理母出産といっても、大きく分けて2つの方法があります。1つは、体外受精によってよってできた夫婦の受精卵を使って、第3者の女性に妊娠・出産してもらうという方法です。もう1つは、人工受精の方法によって第3者の女性に妊娠・出産してもらうという方法です。
インドで出産を依頼
前者の方法の場合は、生まれてくる子供と代理母の間に遺伝的なつながりはありませんが、後者の方法の場合は、生まれてくる子供は依頼人の夫と代理母の遺伝子を受け継ぐことになります。インドの代理母出産は、ほとんどが前者の方法によるものです。
インドでは、医療技術が高度であることや代理母出産に関する規制がないことに加えて、先進国に比べて代理母出産にかかる費用が安価であることから、米国や印僑(海外に居住するインド人)の夫婦がインド国内のクリニックで代理母出産の依頼をするケースが増えてきています。
先進国とインドでは代理母出産の費用にどれぐらいの差が生じるのでしょうか。
例えば、米国のクリニックで代理母出産を依頼する場合、通常、代理母に1万5000ドルを支払います。仲介業者などに対して支払う費用も含めれば、総費用は4万5000ドル程度にまでふくらんでしまいます。
一方、インドのクリニックで代理母出産を依頼する場合には、総費用を3000ドルから6000ドル程度の範囲に抑えることができると言います(図表)。飛行機代などの旅費を含めても5分の1程度の費用で済む計算です。
また、米国などで代理母を探すにはある程度の時間がかかりますが、インドでは代理母を希望する女性がたくさんいるため、代理母はすぐに見つけることができます。
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