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危ない中国食品(その4)
塩卵、カップ麺、フライドチキンに工業用染料

今度は加工牛肉で発覚~中国の消費者を脅かす“赤い薬”

2007年4月6日(金)

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 2007年2月14日、江蘇省南京市の品質技術監督局は市民からの通報を受け、関係当局並びに公安警察と合同で市内棲霞区にある「牛肉加工村」の立ち入り検査を行い、品質不良の加工牛肉2650キロを押収した。立ち入り検査の対象となったのは大小20軒の牛肉加工工場で、それらの大部分は安徽省や河南省出身者が経営する個人企業であり、営業許可証を持っていたのはわずか5軒のみで、残り15軒は無許可であった。

 検査員たちは工場内で「口に入れるな」という注意書きのある工業用着色料「大全紅」を400袋も発見した。

 この「大全紅」は工業用赤色着色料「スーダンレッド」の1種で、加工牛肉の色を鮮やかに見せるために使用されていたものだが、消費者が製品の加工牛肉を食べれば健康被害を被ることは間違いない。今回の検査以前にどれ程の量の加工牛肉が生産され、販売されたのかは、今後の調査結果を待つしかないが恐ろしい話である。

 「スーダンレッド」は1896年にダッディというドイツの科学者によって開発された着色料。1から4までの4種類あるが、いずれも、オイル、ワックス、ガソリンなど工業用製品の着色に使われるのが一般的であり、発ガン性が確認されていることから、食品添加剤には不適当とされている。

米ハインツの子会社が製造する唐辛子オイルなどから検出

 2003年5月にフランスでインドから輸入した粉末唐辛子にスーダンレッド1が混入されていたことで「スーダンレッド」はその存在を認知された。2005年2月、英国食品規格庁が30社の生産する419種類の食品にスーダンレッド1が含まれている可能性を警告し、含有が確認された359種類を回収したことで、スーダンレッドは新たに注目されることとなった。

 2005年3月1日、中国の品質検査機関である「国家品質監督検験検疫総局」の葛志栄副局長は記者会見の席上、英国におけるスーダンレッド騒動に言及して、「我が国は着色料スーダンレッド1の食品への添加を禁止している。輸入食品についても、スーダンレッド1含有食品の輸入は許可しないよう通達を出しており、現状のところ該当する輸入食品が発見されたという報告は受けていない」と述べて食品の安全性を強調した。

 ところが、3月6日になって広東省品質技術監督局が、米国ハインツ社の子会社である「亨氏美味源(広州)食品有限公司」が生産した「辣椒油」(唐辛子オイル)など6種類の製品からスーダンレッド1が検出されたと公表したことから、中国国内におけるスーダンレッド騒動の火蓋が切って落とされた。

カップ麺に北京のケンタッキー・フライド・チキンからも

3月15日には、広東省珠海市の食品安全委員会がインスタントラーメンの「金海岸永南食品有限公司」製のカップ麺7種類からスーダンレッド1が検出されたことを公表。3月19日には、北京市当局が全国で約1200店舗(2005年3月当時)を展開するケンタッキー・フライド・チキン(KFC)の3種類の商品からスーダンレッド1を検出したと発表。その後、KFCが自己申告で他2種類の商品にもスーダンレッド1が含まれていたと公表し、合計5種類の商品を販売停止とした。

広州田洋食品「辣椒紅1号」

広州田洋食品「辣椒紅1号」

 問題の出現から1カ月も経たない間に、全国18省・市の30企業の食品からスーダンレッド1が次々と検出された。スーダンレッド1は一体どこから来たのか? 該当商品の生産企業に対する取り調べが行われ、スーダンレッド1の供給元を特定する追跡調査が進められた。この結果、供給元は広東省広州市に隣接する増城市の正果鎮にある「広州田洋食品有限公司」であり、スーダンレッド1を含むその製品は着色料「辣椒紅1号」であることが判明した。

 広東省の品質技術監督局は速やかに「広州田洋」への立ち入り調査を行い、3月20日には「広州田洋」に対する生産停止命令が出された。3月25日には広州市副市長の王暁玲の指示により同公司の責任者が逮捕された。「広州田洋」は全国10省・市の「亨氏美味源」やKFCといった大型企業を含む100社近い企業に「辣椒紅1号」や唐辛子パウダーなどの食品添加剤を納入し、多大な利益を上げていた。

 しかし、その工場は敷地面積300平方メートル程度、建屋は一般民家と言ってよい代物で、機械もたった2~3台のおんぼろ機械があるだけで、なんと従業員は5~6人という零細企業。企業としての営業許可証は持っていたが、食品関連企業として一番大事な「衛生許可証」は2001年発行のもので、有効期限(1年間)が切れたまま更新もされていないという体たらくで、果ては許可証の変造まで行っていた。なお、広州田洋にスーダンレッド1そのものを供給していたのは、遠く河北省の「曲周県天然色素廠」であったようだが、こちらは工業用着色料として販売していたもので、広州田洋の違法行為とは無関係だったらしい。こうして中国における最初のスーダンレッド事件は幕を閉じた。

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「危ない中国食品(その4)
塩卵、カップ麺、フライドチキンに工業用染料」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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