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中国人は「給与明細」を見せ合うのが好き

北京大学助教授の給与が24歳の公務員より安いという中国版「格差」社会

2007年4月13日(金)

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 中国では昨今、インターネットを通じて「晒工資」(給与公開)を行うことが流行している。インターネットで自分の給料やボーナスの金額を公表するということは、ネットの匿名性があるからこそできることで、少数の変わり者が「晒工資」をしているなら別にどうということもないが、「晒工資」が新しい言葉となるほどに流行っているとなると異常事態と言うことができるのではなかろうか。

お互いに給与明細を見せ合うのは普通のこと

 筆者の経験で言うと、中国人から面と向かって「あんた年収はいくら」とか「給料はいくらもらってるの」などという質問をあっけらかんとされることがよくある。筆者が日本人であることを知っていながら、そういった不躾な質問をしてくるから始末が悪い。これは別に外国人の筆者に限った話ではなく、中国人同士では普通のことで、中国の常識では非礼なことではないらしい。一方、中国の企業では、職員同士が自分の給与明細を平然と見せ合ったり、手取り額をお互いに教え合ったりする光景をよく目にする。そのうえで、何であいつの給料が自分より多いのかと文句を言ってくることもままあり、中国では給与やボーナスの額に機密性はない、と覚悟しておかないといけない。

 この点について、斉爽著『中国人 その言葉の裏と表』(はまの出版2002年発行)には次のような記述がある:

収入、結婚、仕事、余暇の過ごし方などなど、中国ではすべて、直接的な表現で相手にたずねていい部類の事柄だ。(略) 文化が違うのだ。中国人にとって、これらは秘密でも何でもない、ごく普通の、隠す必要のない事柄なのである。
  • 中国人は仕事や給料を聞かれても気にしない。質問そのものに反感を抱くことはない。
  • 中国人は他人の収入に対する関心が比較的強く、互いに比較するのが好きだ。

92年を機に所得格差が拡大へ

 1978年に始まった「開放・改革」政策から92年の「社会主義市場経済」への動きを通じて、中国では所得の格差が徐々に大きくなっていった。しかし、従来の所得格差はそれほど大きなものではなく、給与明細を見なくとも、職業や職位、労働年数を考慮すれば、給与水準を推測することができた。

 ところが、その後の中国経済の急速な発展は「社会主義市場経済」という枠を完全に通り越して、こてこての「資本主義経済」に傾斜して弱肉強食の色合いを強めていった。時代の趨勢に適応することができた日なたの勝ち組と適応できなかった日陰の負け組との色分けをますます鮮明なものとした。この結果、両者の格差は急激に拡大し、“都市部と農村部”や“沿海部と内陸部”の所得格差にとどまらず、業種間、さらには同業種間の給与格差にも及ぶこととなったのである。

ネットの掲示板で給与明細を公開

 こうなると国有企業であっても、かつてのように職業や職位、労働年数から給与水準を推し量ることは不可能である。だからと言って、給与水準の指標となるような資料が存在するわけではない。「自分が得ている給与は社会全体でどのレベルにあるのか知りたい」という強い欲求を持て余していた人々に、問題解決への道を開いてくれたのがインターネットであった。インターネットの利点である匿名性が人々を大胆にし、ネット掲示板などへ給料を公開する「晒工資」が行われた。その内容を見た人々が次から次へと、ある人は誇らしげに、またある人は悲しげに「晒工資」を行ったことで1つの社会現象となったのである。

 あるインターネット利用者が、「晒工資」を行う人々を次のように3分類している。

第1分類:「優越富型」(金持ちであることを見せびらかして優越感を覚えるタイプ)
所得が多いことで優越感と達成感を得たいと思っている人
第2分類:「攀比抱怨型」(自分より上位の人と比べて不満を抱くタイプ)
これが大部分を占めるが、学歴や身分が上の人と比べて、自己の給与の少なさに対する不満を広く訴えたいと思っている人
第3分類:「探聴交流型」(他人の給与水準を探るべく交流するタイプ)
情報交換を通じて他人の給与水準を知りたいと思っている人

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「世界鑑測 北村豊の「中国・キタムラリポート」」のバックナンバー

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「中国人は「給与明細」を見せ合うのが好き」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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