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30万円の激安車を世界に

ゴーン社長も挑むモノ作り革新

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2007年5月1日(火)

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激安車を作るのは、中国やインドなどの新興メーカーに限らない。
ルノー・日産のゴーン社長も「30万円カー」の開発に向けて疾走する。
ロシアからブラジルまで輸出先は広く「この世はすべて舞台」となるか。

 安いというのは、どれくらい安いのか。仏ルノー・日産自動車CEO(最高経営責任者)のカルロス・ゴーン氏は、自動車にとっての魔法の数字は3000ドル未満だと考えている。4月4日のインド工場開設式典で、彼は業界の次の課題について熱弁を振るった。2500ドルで売れるような次世代のクルマである。

 2500ドルという価格は今市販されている最も安い小型車より約40%安い。2003年に2500ドルの格安車を作ると発表したインドのタタ・モーターズは来年発売にこぎ着ける。ルノー・日産はタタの挑戦を受けて立つ最初のグローバルな自動車メーカーだ。両社が先導する価格競争は自動車業界に100年前のT型フォード級の影響を与える可能性がある。

 世界の自動車メーカーは欧米や日本で成長鈍化に見舞われ、新たな成長機会を求めて新興市場を狙い始めた。これは、普通なら2輪車しか買えないような買い手向けにクルマを作り直すことを意味する。時代遅れの簡易なモデルでは用を成さない。需要が急増しているのは、格安な値段で現代の快適さと安全性を兼ね備えたベーシックなクルマだ。

仏ルノーの格安車が成功

 近代的で余計な装備を省いたクルマの開発競争は、サウスウエスト航空やジェットブルー・エアウェイズが旅行業界に、H&Mやザラがファッション業界にもたらしたような革新を自動車業界にもたらすだろう。

 低価格化の流れは超小型車からSUV(スポーツ・ユーティリティー・ビークル)まであらゆる車種に及ぶ。

 ルノーは既に機能を絞り込んだ「ローガン」を大ヒットさせた。同社は2004年に7200ドル(競合車より約40%安い)のローガンを欧州で発売して以来、51カ国で45万台販売した。ローガンを生産するルーマニアのダチア工場とロシアの新工場は24時間体制でフル生産しているが、需要に追いつかない。

 インドで合弁生産するアジア向けの3000ドルのクルマが次のステップとなる。「今のグローバルな自動車メーカーの弱点は基本的なニーズを格安の値段で満たす車種を提供できないことだ。こうした技能を持つ人はインドと中国にいる」とゴーン氏は言い切る。

 こうした認識が今、業界の巨人を襲っている。タタが2500ドルのクルマを作ると宣言した時、西側メーカーは4輪自転車と嘲笑した。今は笑うどころではない。タタのクルマは本物で、33馬力のエンジンを積み、最大時速80マイル出せる。試作車を見たことがある一握りの業界関係者によると、デザインも悪くない。

 カギを握るのは低賃金のインド人エンジニアの存在と、コストを極限まで削る彼らのスキル、長年低所得者層にモノを売る中で磨き上げられた能力だ。「座席、素材、部品など全面的にコストを削らなくてはいけない」とタタグループのラタン・タタ会長は言う。

 潜在顧客には不足しない。今後十数年で中国、インド、ブラジル、ロシアの何億人もの人が中流階級になり、クルマを買うようになる。その結果、世界の自動車市場が2極化。高級車が成長を続ける一方、安いクルマが台頭し、その他は食われていく。ローランド・ベルガー・ストラテジー・コンサルタンツによれば、2012年までに1万ドル以下の自動車の市場は年間1800万台に達する見込みだ(現在は1200万台)。

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