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胡錦涛・政権が頭を抱えた「酷い工場」

「子供たちを救けて!」親400人の悲痛な叫びは届いたか

2007年6月22日(金)

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 山西省南部にある臨汾市洪洞県は2500年以上の歴史を有し、後漢時代の西暦147年に創建された古刹「広勝寺」とその境内に建つ建立後500年以上を経た13層の八角の塔「飛虹塔」(高さ47.31メートル)で名高い。その洪洞県で大事件が白日の下に晒された。

奴隷同然の強制労働

 2007年5月27日、洪洞県公安局広勝寺派出所は違法爆発物の取り締まり調査中に、広勝寺鎮曹生村にあるレンガ工場で工員の挙動がおかしいことに気づいた。調べると、このレンガ工場は営業許可証も無ければ、資源許可証も税務登録証も無い家内工業的なレンガ工場で、曹生村の共産党支部書記である王東記の屋敷内にあった。派出所の警官は仲間の応援を得て、速やかにレンガ工場に立ち入り検査を行ったところ、31人の見るも無残な工員たちを発見した。

 彼らの着衣はぼろぼろで、頭髪は肩まで垂れ、髭は伸び放題、肌は皮膚病に蝕まれ、身体には無数の傷跡と火傷の跡が有り、強烈な悪臭を発していた。警官は奴隷同然の不当な強制労働が行われていると判断し、31人全員を救出した。彼らの最年長は58歳、最年少は何と14歳であり、31人中の9人は知的障害者と精神病者であったが、彼らがレンガ工場の苛酷な生活による後天的なものかどうかは不明である。その後の調べで、彼らの出身地は12の省・自治区・直轄市にも及んでいることが判明した。

 レンガ工場の経営者は王東記の息子で王斌斌という。2004年にレンガ工場を建設し、2006年に河南省出身の職人頭である衡庭漢とレンガ製造の請負契約を締結した。契約内容は王斌斌が工場設備と原材料を提供し、衡庭漢がレンガを製造する、完成したレンガは王斌斌が1万個当たり360元で買い取るというものであり、王斌斌はこれを2000~3000元で販売して暴利を得ていたものと思われる。

 請負契約を締結した衡庭漢はその手下と共に、2006年3月から陝西省西安市や河南省鄭州市の鉄道駅で仕事を餌に騙したり、脅したりして32人の出稼ぎ農民をレンガ工場に連れ込んで工員に仕立てた。これら工員たちは自由を奪われ、衡庭漢の手下5人とシェパード6匹により常に監視されており、毎日15~16時間以上の労働を強制された。

 1日3回の食事は小麦粉でできた「饅頭」だけ、食事時間は15分間以内、労働時間以外は小さな小屋に押し込められ、地面にごろ寝で、厳寒の真冬でも暖房なし、逃亡防止に夜間は外から施錠された。2006年11月には先天性知的障害の農民が手下に殴られて死亡したことで、工員数は31人となった。

 5月27日の事件当日、王斌斌は主犯として捕まり、手下4人も逮捕された。真の主犯である衡庭漢は2人の手下と共に逃亡し、20日後の6月16日に湖北省丹江口市で逮捕されたが、手下2人は依然として行方をくらましたままである。王斌斌の父親で曹生村共産党支部書記の王東記は、事件発覚と同時に蒸発し行方をくらませたが、中国共産党は6月18日付で王東記の党支部書記の職務を解除すると共に共産党から除籍した。

ネットで取り上げられたことで事態が急変

 このニュースは全国に放送されたが、この時点ではそれほど大きな反響はなかった。ところが、6月5日に河南省の新聞「河南日報」が主宰するインターネットサイト「大河ネット」に「罪深き悪人の道!山西省の非合法レンガ工場に子供を売られた父親400人の血涙の救助要請」と題する書き込みが掲載されたことで事態は大きく転換する。

 

コメント11件コメント/レビュー

中国関係の記事でいつも感じるのは、ニュースが衝撃的であるから報じるのだろけれど、「衝撃的」と取るのは我々日本人をはじめ先進国の人間が感じる感情であり、当の中国人には何の衝撃性もない日常生活の一部に過ぎないことであるという視点が必要である。中国が引き起こすさまざまな国際摩擦、現在の国際感覚では考えられない150年前の日本のまねをして富国強兵策を何のためらいもなく進める中国人。本当に世界の中で、秘境の中の秘境として、先ず文明のあり方、人間世界の共存の仕方をお教えないと、特に近隣の日本にとっては厄介な迷惑な糞尿処理場となろう。(2007/09/18)

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「胡錦涛・政権が頭を抱えた「酷い工場」」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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いただいたコメント

中国関係の記事でいつも感じるのは、ニュースが衝撃的であるから報じるのだろけれど、「衝撃的」と取るのは我々日本人をはじめ先進国の人間が感じる感情であり、当の中国人には何の衝撃性もない日常生活の一部に過ぎないことであるという視点が必要である。中国が引き起こすさまざまな国際摩擦、現在の国際感覚では考えられない150年前の日本のまねをして富国強兵策を何のためらいもなく進める中国人。本当に世界の中で、秘境の中の秘境として、先ず文明のあり方、人間世界の共存の仕方をお教えないと、特に近隣の日本にとっては厄介な迷惑な糞尿処理場となろう。(2007/09/18)

鉱山では毎年数千人の労働者が死亡しているというし、この国には人権という概念はないようですね。自由なジャーナリズムも反対野党も存在しない中国では、全ての責任は行政と一体である一党独裁の共産党にあります。これらの悪辣な経営者は全て共産党の幹部です。(2007/08/30)

中国社会の貧富の拡大の進行は、資本主義が進行する中での原蓄過程のように思えるが、こうした格差を放置しておくことは社会の矛盾を拡大し、ひいては中国社会の根柢を突き動かす要因になるのではないかと感じられる。(2007/08/24)

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ジェニー・ダロック 米ピーター・F・ドラッカー伊藤雅俊経営大学院学長