Steve Rosenbush (BusinessWeek.comシニアライター)
米国時間2007年7月10日更新 「End of the Private Equity Party?」
ここ何年か、プライベートエクイティ(未上場株)投資会社のカネの借り方はまさに“何でもあり”だった。投資家はプライベートエクイティ取引に資金を供給するための高リスク債券を喜んで買い上げ、銀行は融資要件を緩和した。その結果、レバレッジド・バイアウト(LBO、相手先資産を担保にした借り入れによる買収)の総額は過去最高を記録している(BusinessWeek.comの記事参照:2007年6月4日「The Private Equity Effect」)。
銀行融資の貸出金利は過去最低に下がり、担保要件も緩和された。さらには「トグル債」と呼ばれる新種の債券も登場した。何十億ドルものカネを借り入れた企業があったとする。この会社が十分なキャッシュを稼ぐことができず、金利の支払いができなくなったとしても、何の問題もないというのだ。トグル債は、この会社にもっと多くのカネを借り入れさせる。会社はその借金で利子を払い、何とかやっていけるのだ。
トグル債に市場が嫌気
しかし、そんな自由気ままな時代はもう終わったようだ。7月10日に予定されているある起債案件が、今の現実を映し出している。
米投資ファンドのクレイトン・デュビリエ・アンド・ライスは米庭園用品メーカーのサービスマスター(SVM)を買収するために、当初、買収資金55億ドルのうち11億5000万ドルを社債発行で調達する予定だった。その中にトグル債も含まれていた。だが、投資家の反応が鈍かったため、この計画は7月3日の起債予定日を前にして撤回された。
サービスマスターは現在、もっと伝統的な銀行のシンジケートローンによる資金調達を希望している。銀行融資に対する需要拡大は、資金の貸し出しを巡る環境がここ数週間でかなり慎重になったことを意味している。
今年の夏はプライベートエクイティにとって試練の時となるだろう。大手買収ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)は、決済サービス会社ファースト・データ(FDC)を290億ドルで買収する計画を進めている。買収資金のうち140億ドルをミディアムターム債、75億ドルを高利回り債(ハイ・イールド債)によって調達し、7月下旬か8月上旬に市場で売り出す予定だ。
KKRは今回の資金調達に25億ドルのトグル債を組み入れていたのだが、その計画は実行に移すことができなかった。アナリストたちは、この調達計画に追加の変更が必要となるかどうかに注目している。同様に金融専門家が注視している大型案件は、投資ファンドの米サーベラス・キャピタル・マネジメントによる独ダイムラークライスラーの北米クライスラー部門買収だ。ポイントは、クライスラーが抱える年金債務について市場がどのような判断を下すかである。
ピークを迎えた非上場化ブーム
トグル債はここ数年の“やり過ぎ”の象徴と言える。トグルという名称は、借り手が2つの資金返済方法をトグル(toggle、切り替え)できる、すなわち選ぶことができることに由来する。借り手は利息を現金で支払うこともできるし、PIK債と呼ばれる仕組み債(利息分に相当する債券をさらに発行して、元本に上乗せする)で支払うこともできる。実態は借り入れ金の利息を払うためにもっとカネを借りるということだ。
ここ数カ月、トグル債の発行が中止になるケースが多発している。例えば、KKRによる米食品卸大手USフードサービスの買収がそうだ。総額71億ドルの買収資金の一部をトグル債で調達するはずだったが計画を撤回し、もっと“普通”の手段を使うことにした。「要するに、なんでもかんでもやりたい放題っていうことに投資家はうんざりしてるんですよ」と、米資産運用会社イートン・バンスの銀行融資ファンド共同責任者ペイソン・スワフィールド氏は言う。
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