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ナノテク神話、欧州で崩壊

極小科学に成果見えず投資家の失望感は極大に

2007年8月1日(水)

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Jennifer L. Schenker (ビジネスウィーク、パリ駐在員)

米国時間2007年7月5日更新 「Nanotech Disappoints in Europe

 物質を原子レベルの大きさで制御しデバイスとして利用する先端科学ナノテクノロジー──。その技術的な問題の深遠さに比べれば、投資家が望みを失いかけていることなど取るに足らないことなのかもしれない。

 オクソニカは、英国で最も注目を集めているベンチャーで、既に株式公開も果たしている。同社が開発中の主力製品の1つは、ディーゼルエンジンに高硫黄燃料を使った時に硫黄酸化物の排出を大幅に抑制する触媒である。ところが、4月下旬、オクソニカはこの製品が期待通りの効果を上げられそうにないことを明らかにした。その結果、トルコの石油小売企業ペトロール・オフィジとの大型供給契約は解除された。

 オクソニカ株は6月まで取引停止となった。しかも再開した途端に、株価は75%近く急落し、8070万ドルもの市場価値が消失してしまった。面目を保ちたいからなのか、同社はぺトロール・オフィジと低硫黄ディーゼル燃料関連のプロジェクトで協力することに合意したことに言及した。だが既に後の祭りで、オクソニカの株価はいまだに4月時点の半分程度で低迷している。

投入された公的資金は同じなのに米国は2倍の成果

 オクソニカは、様々な点で欧州のナノテクノロジー分野の象徴である。最初に語られた目標は、ほとんど実現性のない夢物語に変わり、最後には希望を打ち砕くというお決まりのステップを踏んだのだ。

 欧州大陸は単一市場であり、輝かしい科学的業績を上げてきた長い歴史がある。ナノテクの研究開発で大きな役割を果たすことが当然のように期待されていたし、その成果は数十年後に製造や医薬の分野で革命的な変化を起こす可能性がある。専門家の予測では、ナノテク製品の世界市場は2015年までに1兆5000億ドル規模に達する。

 しかし、莫大な政府資金を投入したのに、欧州におけるナノテクの商用化は明らかにほかの地域よりもうまくいっていないようだ。英ロンドンを拠点とするコンサルタント会社サイエンティフィカのティム・ハーパー氏によると、欧州企業は“ナノチューブ”や“ナノパウダー”といった材料研究に傾倒したのに対し、米国のベンチャーは今すぐ応用できる技術の開発を優先させた。

 素人にも分かるように言えば、汚れにくいズボンとか長持ちするテニスボールといった、正直言って取るに足らないようないくつかの製品を米国のベンチャーは世に送り出したということである。とはいえ、米国は何年後かの成功に備えて基礎研究も着実に進めている。公的研究資金はほぼ同程度なのに、米国は欧州の約2倍ものナノテク関連特許を出願している。政府とベンチャーを対象としたナノテク・コンサルタント会社であるフィンランドのスピンバースは、警鐘を鳴らしている。

世界的に広がるナノテクへの失望感

 ナノテクへの失望感は何も欧州に限った話ではない。2006年末時点で、世界各国は240億ドル前後の税金をナノテクの研究開発に投じている。これは、インフレ率を調整すると、米国がアポロ宇宙計画に費やしたのとほぼ同額だ。8年にわたるアポロ計画によって人類は初めて月に足跡を残した。「汚れにくいズボンよりもはるかに重大な偉業だったことは誰が見ても分かる」と、サイエンティフィカのハーパー氏は皮肉をこめて言う。

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