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「ゴルフを1回我慢すれば、貧困児童1人が復学できる」

300元(4500円)で日本人にもできること

2007年8月10日(金)

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 今から20年程前、シルクロードの地、中国新疆ウイグル自治区の奥地に日本政府のODA(政府開発援助)資金で10億円規模の小学校が建設されたことをご存じだろうか。それは、1988年3月に日中両国政府間で交換公文(E/N:Exchange of Notes)が取り交わされたことで供与が確定した1987年度予算による一般無償援助案件「和田市児童福利院建設計画」(上限予算:10.19億円)で和田(ホータン)市に建設された小学校である。「児童福利院」というのは「孤児院」であり、「孤児院」建設という名目で孤児院と併設の小学校を建設したというのが実態である。

 新彊ウイグル自治区の和田(ホータン)市は、自治区の西南部に位置し、タクラマカン砂漠と崑崙山脈との境界線上にあるオアシス都市であり、自治区の首都であるウルムチ市から1800キロメートルも離れている。「ホータン」はシルクロードに栄えた仏教国家「于テン国」(紀元前242~1006年)の地であり、中国古代の至宝と言われた「ホータン玉」の原産地でもある。「于テン国」とその民族は11世紀にウイグル族が大量に流入したことで滅び、それ以降、ホータンはウイグル族の地となっている。

日本の建設業者と商社が担当

 1980年代後半の和田市ではウイグル族の失業者が急増し、職にあぶれた未成年者の性が乱れた。このため、未成年女子による嬰児の生み捨てが多発し、増大する孤児の収容に苦慮する事態に直面していた。そこで和田市政府から孤児院を建設すると同時に併設で漢族小学校とウイグル族小学校を建設するという一般無償案件の申請がなされ、日本政府がこれを受諾したのであった。同案件はコンサルタントによる詳細設計が実施され、入札仕様を確定したうえで、建屋部分の建設と学校用備品の供与という形で2分割されて日本の建設業者と商社による入札が1988年10月頃行われ、前者は鴻池組、後者は住友商事がそれぞれ受注した。

 筆者がどうしてこの案件に詳しいかと言うと、住友商事の当該案件の担当責任者が当時北京駐在であった筆者だったからである。受注後、鴻池組は速やかに現場担当者を現地入りさせて、下請け業者である和田市の地元建設企業を指揮・監督して建屋工事を取り進めたし、筆者は中国国内で小学校用の机、椅子、黒板から始まってバドミントンのラケットから試合用のスコアボードなどの調達に走り回った。

 計画経済であった当時の中国では、こうした機材を必要数量以上に生産して在庫している企業はなく、見積もり時点では一定期限内に納入可能であったはずなのに、数百種類の小学校用具を調達することは至難の業であった。

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「「ゴルフを1回我慢すれば、貧困児童1人が復学できる」」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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