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サブプライム、責任転嫁合戦

自分の責任は棚に上げ非難の応酬、訴訟も勃発

2007年8月20日(月)

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Roben Farzad (BusinessWeek誌、ウォール街・市場担当編集者、ニューヨーク)

米国時間2007年7月27日更新 「Let the Blame Begin

 サブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)問題は、いったい誰の責任なのか──。

 リスクの高い住宅ローンを消費者に提供してきたローン会社は、「我々のせいではない」と言うだろう。そして、サブプライム債を買い取り、形を変えて投資家に売ったウォール街も、債券の安全度に下駄を履かせた格付け機関も、その債券を買い漁ったヘッジファンドも同様だ。非難の応酬が続く中、関係者は自分たちの責任を否定し、ほかの誰かに転嫁することに躍起になっている。

債券を発行する側と“馴れ合った”格付け機関

 論争の的になっているのは、米大手債券格付け機関であるムーディーズ・インベスターズ・サービス(MCO)、フィッチ・レーティングス、そしてスタンダード&プアーズ(S&P:ビジネスウィーク同様、ザ・マグロウヒル・カンパニーズの事業部門)だ。これらの機関は債券の発行会社から格付け手数料を得る。投資家は格付けを判断材料として債券に投資するかどうかを決める。

 2大格付け機関であるS&Pとムーディーズは、ここ数年、債務担保証券(CDO:サブプライムを裏づけにした低格付け債権などを複数集めて証券化した商品)といった複合的債券の格付けでかなりの利益を得てきた。こうした金融商品は、多数の住宅ローンやそのほかの債務の担保とし、同等格付けの社債より高い利回りを得られるように設計されている。

 ムーディーズとS&Pは、CDOの格付けで得た手数料収入を区分していないが、CDOの販売額は2001年から5倍に跳ね上がっている。こうした格付け機関のお墨付きがなければ、年金基金や大学基金のような大手投資家の多くはCDOを買うことができなかった。実態として、市場メカニズムは機能していなかったのだ。

 だが最近、粗悪なローンを担保にしたCDOが急落した。担保にした住宅ローンのデフォルト(債務不履行)が増加したためだ。7月にムーディーズとS&Pは、サブプライム債を担保とする証券について、当初発行額でそれぞれ52億ドル、73億ドル相当の格付けを見直すと発表し、結局、大半を格下げした。だが、対象は過去1年半に発行された証券の3%にも満たないため、格下げの規模が小さすぎるうえにタイミングが遅すぎると批判を浴びている。しかも、格付け機関とCDO発行側との馴れ合いに問題の根があるとされ、現在、オハイオ州の司法長官が利益相反の可能性について調査中だ。

 ここに、格付け機関が抱える重大な問題が潜んでいる。すなわち、格付け機関は格付けを利用する投資家ではなく、格付けの対象である債券発行側から手数料収入を得ているという構造だ。彼らは最高格付けである“トリプルA”を獲得するための極意を債券発行体に伝授する一方で、格付けを決定する際にいわゆるデューデリジェンス(投資適正性の事前調査)をまともに行っていない。CDOを構成する個別のローンが投資適格水準にあるかどうかを検討しないで、もっぱら債券発行体が提供する情報に基づいて決定を下しているのだ。

 そうした暗黙の了解があれば、誰だって債券を発行し続ければ儲かると考えるに決まっている。クレジットサイツは対象企業から手数料を取らない独立系の債権調査会社である。同社のアナリスト、クリスチャン・ストラック氏は、CDOの発行体が提供する情報を額面どおりに受け取るのは間違いだと指摘する。「莫大な金額を投資するのだから、十分なデータを集めて商品を緻密に分析すべきだ。経験則は当てにならない」。ムーディーズやS&Pの格付けした債券の中には、トリプルAを付けるべきではないものや、格付け自体を辞退すべきだったものもあるという。

格付けは単なる意見、投資判断を委ねてはいけない

 ただし、両社とも利益相反疑惑を強く否定している。「信用リスクについて最も適切な客観的意見を提供することが当社の役割だ。格下げをためらうことなど決してない」と、ムーディーズのマネージング・ディレクターであるウォーレン・コーンフェルド氏は言う。

 ムーディーズとS&Pは、CDOを構成するすべてのローンを把握することは不可能だが、手続きについてはできるだけオープンにすると強調する。S&P広報担当者クリス・アトキンス氏は「債券の発行体と対話することで、当社の基準をよく理解してもらっている」と語り、ムーディーズのコーンフェルド氏も「我々は誰とでも意見を交換するし、手続きは透明だ」と反論する。もっと突き詰めると、CDOの格付けというものは合衆国憲法が保護している「表現の自由」に基づく意見の表明であり、投資判断を全面的に委ねるべきものではないというのだ。

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