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インド巨大財閥、最後の王

タタ・グループ大躍進を率いたカリスマの憂い

2007年8月22日(水)

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Pete Engardio (BusinessWeek誌シニアライター)
協力:Nandini Lakshman(在ムンバイ)

米国時間2007年8月2日更新 「The Last Rajah

 アジア実業界の巨人の中で、タタ・グループの総裁であるラタン・タタ氏の慎ましさは際立っている。

 ソフトウエアから自動車、鉄鋼、電話サービス、ティーバッグ、腕時計に至る幅広い事業を手がけるインド最大のコングロマリットの頂点に立ちながら、1万2500ドルのタタ製ワゴン車「インディゴマリーナ」を自分で運転してオフィスに通う。週末は自ら設計した海辺の家で2匹の愛犬と静かに過ごす。地位をひけらかすようなことを嫌い、かなり長い出張でもお供を連れずに1人で出かける。普通の企業トップとはかなり趣が異なっている。

ジェット戦闘機を繰る69歳の財閥トップ

 だが、69歳のタタ氏には向こう見ずな一面もある。パイロットの免許を持ち、自家用ジェット「ファルコン2000」でインド全土を飛び回る。2月に開催された航空ショー「エアロインディア2007」では会場を騒然とさせた。米ロッキード・マーチン(LMT)「F-16」と米ボーイング(BA)「F-18」に副操縦士として乗り込んで戦闘機を操ってみせたのである。

 ビジネスでは、タタ氏の性格の大胆な面が色濃く出ている。過去4年間にタタ氏は投資攻勢に打って出た。そして、冴えない土着集団だったタタ・グループはグローバルに活躍する巨大企業群に生まれ変わる。

 2003年以降、韓国大宇自動車(当時)のトラック部門、インドネシア有数の炭坑の採掘権、それにシンガポール、タイ、ベトナムの製鉄所を次々と買収した。ニューヨークのザ・ピエール、ボストンのザ・リッツ・カールトン、サンフランシスコのカムデンプレイスといった高級ホテルも傘下に収めた。

 2004年には、米タイコ・インターナショナル(TYC)の海底通信ケーブルを1億3000万ドルで安く買い叩き、世界最大の国際電話事業者となった。英エンジニアリング会社INCATインターナショナルを9100万ドルで買収した結果、タタ・テクノロジーズは米国の自動車会社や航空宇宙関連企業から工業デザインを請け負う大手企業となった。インドと米国、欧州に3300人もの技術者を抱えている。

 今年4月、タタ・スティールは英・蘭鉄鋼大手コーラス・グループを130億ドルで買収した。これが今のところ最大の案件である。ほんの数年前なら買収など思いも寄らなかった相手である。一挙にタタ・スティールは世界大手に躍り出た。扱う製品の幅を広げ、欧米自動車市場へのアクセスを確保、生産能力は5倍に増えた。米国ペンシルベニア州とオハイオ州にも製鉄所を手に入れた。

 そして、次なる一手によってタタは世界の自動車製造の第一線に躍り出ることになるかもしれない。米フォード・モーター(F)が売却したがっている「ジャガー」と「ランドローバー」の獲得を検討しているというのだ。

 さらに、今後5年間にインド国内で鉄鋼、自動車、通信、電力、化学など様々な事業にグループ全体で280億ドルを投資する計画だ。

中国流の大胆不敵さに触発され、大きく発想することを学ぶ

 「我々は、もっと大きな成長を目指すことにしたのだ」

 1926年以来のグループ本社である“ボンベイハウス”でお茶を飲みながらタタ氏は言う。静寂に包まれたオアシスには、年代を感じさせる大理石が床に敷き詰められ、インド現代アートの膨大なコレクションを誇る。毎日午後3時の“おやつ”にはバニラアイスが配られる。

 「そのためには手段を選ばなかったということだ」と、タタ氏は付け加える。

 新成長戦略の効果は絶大だった。グループの上場企業18社の市場価値は、2003年の120億ドルから620億ドルへと拡大した。グループの売り上げと利益は倍増し、それぞれ290億ドル、28億ドルとなった。タタ・スティール、タタ・モーターズ、タタ・コンサルタンシー・サービシズの3社で総売り上げの75%を稼ぎ出し、好調な業績が続いている。今年5月には、タタ・ティーが5億2300万ドルの利益を上げた。「グラソービタミンウォーター」を製造する米エナジー・ブランズの株式30%分を、米コカ・コーラ(KO)に12億ドルで譲渡したのである。わずか9カ月前に購入した株式からの利益としては悪くない。

 「現在のタタは以前とは別の企業だ」と、プライベートエクイティ会社カーライル・アドバイザリー・パートナーズのラジーブ・グプタ氏は言う。

コメント1件コメント/レビュー

私は仕事柄ラタンタタさんには何度かお会いしている。そばにいると、この人がラタンタタさんと思うほど、茶目っ気たっぷりでヒューマンに溢れた人だ。仕事は皆知っている通り倫理観に溢れ、先見性と大胆さを併せ持ち常に問題に挑んでいる。だが発想の原点はヒューマニズムから導き出されることが多い。こんな経営者は日本には残念ながらいないだろう。申し訳ないがワタミさんをはじめ日本の若いといわれる経営者は、少しでも彼の経営哲学を学んだらどうだろうか。(2007/08/22)

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私は仕事柄ラタンタタさんには何度かお会いしている。そばにいると、この人がラタンタタさんと思うほど、茶目っ気たっぷりでヒューマンに溢れた人だ。仕事は皆知っている通り倫理観に溢れ、先見性と大胆さを併せ持ち常に問題に挑んでいる。だが発想の原点はヒューマニズムから導き出されることが多い。こんな経営者は日本には残念ながらいないだろう。申し訳ないがワタミさんをはじめ日本の若いといわれる経営者は、少しでも彼の経営哲学を学んだらどうだろうか。(2007/08/22)

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