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上海不動産ミステリー(1)
~“チャーチル”が佇む無人の英国式ニュータウン

  • 中村 正人

バックナンバー

2007年9月14日(金)

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 2010年の中国市場は、2007年段階では奇異に見え、ディープに思われる現象からこそ浮かび上がってくる――。

 1990年代前半に始まった中国の高度経済成長も早15年。オリンピック開幕を控え、いよいよ内需中心の経済に移行していくといいます。「世界の工場」から「世界の消費地」への転換というわけです。

 昨年9月から約半年、「わかるかも中国人」と題し、混沌とした中国社会の映し鏡のような現代アートの世界を通じ、いまの中国人が抱える内面について考えてみました。その第2弾にあたる当連載では、より生々しく具体的な「消費の現場」を訪ね歩こうと思います。

 中国人の消費の作法は、ぼくら日本人とはずいぶん違います。政治的混乱による何十年分もの遅れを一気に取り戻そうと、悲痛なまでに爆走を続ける彼らは、せっかちで相当ガッついている。超格差社会の進行や先ごろ話題の「毒」食物の蔓延など、理解しがたい現象が次々と起こっている…。

 しかし、それらの「現場」をこの足で歩いてみると、理解しがたく思えた現象も、彼らにとってはそれなりに理にかなっている、なかには瞠目すべきダイナミズムもあることに気づかされます。粗探しはたやすいし、痛快ではある。ただ、それだけでは足をすくわれはしまいか――そんな思いもまた強くするのです。

 彼らの欲望を先入観抜きで読み解こう。レジャーや外食、不動産などの第3次産業、若者文化やサブカルチャー、メディアの流行現象から等身大の彼らを把握したい。その中から、2010年、2020年までつながる、市場としての中国も見えてくるんじゃないか。

 当連載では、中国の旺盛かつミステリアスな消費シーンを、硬軟織り交ぜてご紹介する予定です。ぼくの役どころは、中国の「消費の現場」視察ツアーの下見役。ほとんど飛び込み営業マンみたいな心意気でリサーチ、リポートしていきます。思わぬ脱線もあるかもしれません。なにしろ「消費の現場」は奥が深いものですから。

 いわゆる嫌中も親中もどっちも、それだけでは間違えるんじゃないのか。決めつける前に、何でも見てやろう。それがぼくの基本的なスタンスです。経験豊かな在留邦人の諸先輩方や事情通の中国人にもどしどし登場いただき、「現場」で感じるさまざまな疑問をぶつけ、読者の皆さんと一緒に考えていければと思います。

(中村 正人)

 まず1枚の写真をご覧いただきたい。ここはどこ?

英国チューダー様式の洋館が並ぶテームズタウン

 答えは、上海市中心部から西へ30キロの郊外にあるニュータウンである。押し寄せる流入者により人口1500万とも2000万ともいわれる上海。その郊外には、巨大なベッドタウンが拡がっている。

 上海市松江区にある「テームズタウン(Thames Town)」は、富裕層向けのニュータウンだ。総敷地面積は98ヘクタール。東京ディズニーランドとディズニーシーを合わせたくらいの大きさ。最大の特徴は、地区内のすべての建物が英国式タウンハウスとイギリス中部風のヴィラに統一されていることだ。

 ここは中国スーパーリッチの消費の最前線なのである。さっそく歩いてみた。

 石畳の路地と赤レンガの閑静な集合住宅の街並みが続く。街の中心に位置する時計塔を抜けると広場があり、ゴシック式の教会が見えた。美術館や学校、保育園もある。ヨットクラブらしき船着場まで設けられており、ウォーターフロント周辺にはパブやレストラン、イン(英国風安宿)が完備している。

なぜここに教会があるのか。用途はのちほど紹介

なぜここに教会があるのか。用途はのちほど紹介

 街の至る所で目にするのは、シェークスピアやハリー・ポッター(!)とおぼしき銅像や、野外彫刻風の奇妙な動物のオブジェなどだ。まるで巨大な映画セットか、テーマパークの中に迷い込んだかのような気分になる。

 中国の田園風景の中に忽然と出現したロンドン郊外のベッドタウンの完全イミテーション。なんなのだ、この街は。

 地元の欧米メディアは、皮肉を込めて街を紹介している。

「もしあなたがキッチュな英国趣味の中国人なら、この町はお好みかもしれない。そこにはジョージア様式のテラスやパブのフェイクがあふれているのだから」(在住外国人向けサイト「Shanghaiist」2006年4月5日)
「テームズタウンはとても奇妙な場所だ。でも、誤解しないでほしい。それはただ奇妙なのではない。なぜ上海のはずれにイギリス郊外風の街が存在するのか。それを考えると、実にミステリアスだからである」(在住外国人向けフリーペーパー「Hint Magazine」2007年6月号)

 ひと言でいえば、西洋かぶれ。まったくなにを考えてるんだか、というフェイクな街なのだが、理解に苦しむのはそのセンスだけじゃない。なぜなら、この街には赤い制服を着た警備員以外、住人らしき人たちを滅多に見かけないうえ、ほとんどのレストランやショップが開店休業中だからだ。

 無人のニュータウン?日本人のぼくの目には、巨大な輸入住宅展示場にも見える。

 なにがおきているのだろう。同タウンの管理会社を訪ねた。

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