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江沢民、胡錦濤、そして次期「総書記」
3代続く共通点は何になる?

最高指導部を支える「安徽省人脈」

2007年9月21日(金)

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 「胡錦濤は安徽省人だということを知っているか。胡錦濤だけじゃない、共産党の最高指導部に安徽省人は多いんだ。胡錦濤の前任者の江沢民だって祖先は安徽省人さ」

 筆者は2007年7月に中国へ出張して安徽省(あんきしょう)に立ち寄ったが、安徽省滞在中に面白い事実に気づいた。会う人が皆一様に胡錦濤総書記を筆頭とする安徽省出身の中国の指導者たちの名前を誇らしげに語るのである。

指導部内の安徽省出身者たち

中国共産党第16期中央政治局
常務委員会メンバー
序列 氏名 職  名
1 胡錦濤 党総書記、国家主席、中央軍事委員会主席
2 呉邦国 全国人民代表大会委員長
3 温家宝 国務院総理
4 賈慶林 全国政治協商会議主席
5 曾慶紅 国家副主席、党中央書記処書記
6 黄菊 国務院常務副総理<死去>
7 呉官正 中央紀律検査委員会書記
8 李長春 意識形態(イデオロギー)を主管
9 羅幹 中央政法委員会書記

 中国政府は2005年3月の全国人民代表大会で「中部勃興」(=中部地区振興)を決議し、沿海部に比べて取り残された内陸の中部地区6省(山西省、河南省、安徽省、湖北省、湖南省、江西省)の振興を推進している。安徽省の人々が同郷の指導者たちに言及する意識の底には、これら指導者たちが立ち遅れている安徽省の発展を強く支援してくれるという期待と希望が入り混じっているように感じた。中国の指導部内で安徽省出身者はそれほど大きな存在となっているのか?(表1

 安徽省は中国の中部地区にあり、北東部を江蘇省、西北部を河南省、南東部を浙江省、南部を江西省、西南部を湖北省と境を接する内陸省である。面積は13.96万平方キロメートルで、日本(面積:37.8万平方キロメートル)の3分の1程の土地に約6110万人が生活している。省内には北部に淮河(わいが)、南部に長江(=揚子江)が流れ、中央部には中国で5番目に大きい淡水湖である巣湖(そうこ)があり、省全体では2000以上の河川と110以上の湖を有する水に恵まれた地域である。

 しかし、安徽省は人口の80%以上を農民が占め、2006年の「農民1人当たり純収入」は2969元(約4万5000円)と中部地区6省中で最低の水準にあり、農業主体の貧乏省というのが従来からの定評だった。筆者が北京に駐在していた1980年代後半の北京では「安徽阿姨」(=安徽省出身のお手伝いさん)が「お手伝いさん」<中国語「阿姨」(アイ)>の代名詞となっていた程で、北京には安徽省から来た赤い頬をした貧しい農家の娘たちが大挙して「阿姨」の職探しに上京していたものだった。「安徽阿姨」の伝統は今日でも続いているようで、多数の安徽省の女性たちが北京や上海で「阿姨」として働いている。

安徽省出身の指導者にはどのような人がいるのか

 さて、安徽省出身の指導者にはどのような人がいるのか? 最初に挙げねばならないのは、中国共産党総書記の「胡錦濤」である。胡錦濤は江蘇省泰州市で生まれ育ったが、江沢民が同じ江蘇省で泰州市に隣接する揚州市出身であり、2人が同一地域から人民代表として選出されるのは問題ありということで、本籍を祖先の地である安徽省績渓県としている。績渓県は安徽省南部にあり、世界遺産である風光明媚な「黄山」の北東に位置する。胡錦濤の先祖の地は同県の龍川であり、龍川にある胡一族の霊廟「胡氏宗祠」(1988年に「国家級文化財」として指定された)は胡錦濤の総書記就任以降は多数の観光客が訪れている。

 一方、績渓県から北にわずか30キロメートル程の距離に旌勝県白地郷江村があるが、この江村が江沢民の祖先の地である。2001年5月21日、江沢民は総書記、国家主席、中央軍事委員会主席として遠路はるばる百官を引き連れて江村を訪問し、祖先の霊廟(「江氏宗祠」)に詣でて、江村の村人たちの熱烈な歓迎を受けた。まさに、先祖の地に「衣錦還郷」(=故郷に錦を飾る)であり、江氏一族の英雄の来訪を喜ぶ村人たちの歓呼の声に包まれて、江沢民が天にも昇る思いであったことは想像に難くない。

 当時、江沢民の江村訪問に合わせて、安徽省政府は江沢民一行が通行する黄山市から績渓県を経て旌勝県に至る道路を整備したが、人々は揶揄してこの道路を「皇帝の道」と呼んだと言う。その後、江村の江氏宗祠は観光名所となって多くの観光客で賑わったが、胡錦濤時代の到来と同時に龍川の「胡氏宗祠」に取って代わられ、今や閑古鳥が鳴き、訪れる人も稀であるという。

 中国共産党の序列で胡錦濤に次ぐNo.2に位置づけられる「全国人民代表大会」(=中国の国会)委員長の「呉邦国」(ごほうこく)も安徽省人で、省都・合肥市に隣接する肥東県の出身である。呉邦国が上海市党委員会書記から共産党のNo.2まで上り詰めたのは、江沢民の後押しがあったからで、呉邦国は江沢民を頂点とする「上海グループ」に属すると言われているが、胡錦濤とは「安徽省人」という共通点があったのである。

 2007年10月15日から中国共産党第17回全国代表大会が北京の人民大会堂で開催される。総書記として第2期目を迎える胡錦濤にとっての最重要事項は、第17回党大会閉幕の翌日に開催される第17期中央委員会第1回全体会議(「1中全会」)で決定される政治局常務委員会のメンバー構成である。このメンバー構成がどうなるかが、今後の胡錦濤政権の行方を左右するとして全世界の注目を集めている。中でも関心が高いのが胡錦濤の後継者と目されている遼寧省党委員会書記「李克強」(りこくきょう)の政治局常務委員会入りの可能性である。

【最終ページにアンケートのお知らせがございます。是非、ご覧ください。】

コメント1

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「江沢民、胡錦濤、そして次期「総書記」
3代続く共通点は何になる?」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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