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上海不動産ミステリー(2)
~家は徹底的に投資物件なのだ

  • 中村 正人

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2007年9月21日(金)

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 豪邸の並ぶスーパーリッチ向け「テームズタウン(※その奇観は前回を)」。現代中国人はなぜフェイクなイギリス風の街並みをつくってしまったのだろうか。しかも、開発が完了して2年以上もたつのに、住人は見あたらない。投資目的だからというが、一般市民向けの住宅を供給するのが政府系不動産会社であるはず。どうしてこんなことがまかり通るのか。

 現地の日系不動産関係者に訳を聞いてみよう。相手が日本人なら、ぼくの違和感を受けとめてくれるに違いない。

百特豪世集団有限公司社長の奥村尚樹さん

百特豪世集団有限公司社長の奥村尚樹さん

 答えてくれたのは、2002年12月上海で創業した百特豪世集団有限公司(ベターハウス上海)社長の奥村尚樹さん。上海の不動産の賃貸仲介からプロパティマネジメント(運営管理)、投資コンサルティングなどを手がけている。外国人の中国不動産投資に詳しい。人民元切り上げの為替利益と不動産の値上がり益を享受することを提唱した『人民元で大儲け!』(2004年、あさ出版)の著作者のひとりでもある。

 リクルート出身の奥村さんは、1990年代以降、海外で華僑の投資ビジネスの現場を渡り歩いてきた。それだけに、一見不可解に見える中国のさまざまな現象も、彼らにとっての実利と道理はどこにあるのかという観点から、ある種の割り切りをもって受けとめられる。「消費の現場」、上海マーケティングツアー下見役のぼくにとっては、恰好の相談役といえる現地在住日本人である。

―― まずテームズタウンについてうかがいたいのですが、街はできあがり、物件はすべて売却済み。学校があり、教会や美術館など文化施設まで完備している。しかし、住人は見かけない。本当に人の住む街になるのでしょうか。

「日本からいらっしゃった方は驚くかもしれませんが、中国ではこういうことはいくらでもあるんです。これを理解するためには、ことの是非を問う前に、現在の上海における不動産開発の大きな方向性を知る必要があります」

―― いくらでもある? そういわれてしまったら、返す言葉がないのですが……。不動産開発の大きな方向性とはどういうことですか。

所得別の棲み分けを政府が促進

「ストレートに言ってしまえば、富裕層向けには市中心部の高級マンション、中流以下の人たちは郊外の高層マンション、という所得に応じた住み分けの促進です。

 今回訪ねられたテームズタウンのある松江地区は、学園都市として計画が進められています。交通の便はまだ悪いですが、今後、高速道路や郊外地下鉄も上海万博に向けて整備されていくはずです。上海市の都市開発計画の一環として進められている事業のひとつです。

市の中心部には老朽化した住居が多く残る。立ち退き期限が公示され、住人は郊外の集合住宅に転居するのが一般的

市の中心部には老朽化した住居が多く残る。立ち退き期限が公示され、住人は郊外の集合住宅に転居するのが一般的

 一方、市の中心部には新中国建国前に建てられ、老朽化した住居がたくさん残っています。いまそこに住んでいる人たちの立ち退きが盛んに行われています。デベロッパーが立ち退き費用を払い、郊外のそれ相応の集合住宅に移ることを政府が奨励しているのです。テームズタウンのような富裕層向け物件は全体から見ると一部に過ぎず、大半は中流向け物件の開発といっていい」

―― テームズタウンは例外的な物件である、と。では、中流向け物件とはどのようなものでしょうか。

「たとえば、丸紅さんがいま郊外で開発している2LDK(80~100平米)の物件あたりが標準的ではないでしょうか()。こちらではマンションを買うのは若い人です。日本でマンションを買うのは35~45歳といわれますが、中国では10歳若い。25~35歳です。彼らの世代の可処分所得が高いからです。テームズタウンを購入した層とは違います」

丸紅では1998年より上海のマンション分譲事業に参入している。2007年現在、分譲中のプランは2LDKが主流で専有面積は100平米。販売価格は約1300万円という。

 いま上海では再開発による階層別の住み分けが始まっている。日本をはじめとした外資デベロッパーも参入し、市街地のそこらかしこで古い住居の取り壊しが進められ、ものすごいスピードで次々と高層マンションに生まれ変わっている。だが、驚くのはそれだけではない。上海出張の経験があればお気づきの方も多いと思うが、新築されたものの入居者がほとんどいない無人マンションをよく見かけるのだ。

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