Pallavi Gogoi (BusinessWeek.com特約記者)
米国時間2007年10月2日更新 「Wal-Mart: A Snap Inspection」
ここはニューヨーク州ロングアイランドのユニオンデールにある米ウォルマート・ストアーズ(WMT)の店舗。顧客がクレジットカードをカードリーダーに通すと、端末画面に質問が2つ表示される。
「レジ係はきちんと挨拶しましたか?」
「店内は清潔でしたか?」
全米3500店舗の顧客サービスを改善するために、ウォルマートCEO(最高経営責任者)のリー・スコット氏が打ち出した改造計画の一環である。
しかし、スコット氏には新たな戦略が必要かもしれない。最近、ウォルマートへ足を運んでみると、レジ係の女性が2人の顧客に挨拶をしなかった。そこでレジでの調査について尋ねると、急に不機嫌な顔で言った。「そんなの気にしないわ。ウォルマートが従業員を大切に扱わないのに、どうして私がウォルマートに気を使う必要があるわけ?」。
店内の自発的な清掃についても、こんな話をしてくれた。「最近、夜の間に何かがこぼれたらしく、2日間も店内にひどい悪臭が立ち込めていたのに、店は何の対処もしなかった。あまりに臭いがひどいので、2日目には消防署員が処理にきて、みんな、マスクを着用しなければならなかったくらいよ」。
従業員の勤労意欲は最低
最近、ウォルマートが苦戦しているのは明らかである。かつて称賛された小売り大手は、売上高の伸び悩みと株価低迷に見舞われるとともに、従業員の処遇を巡って大きく評判を落としている(2007年4月30日付BusinessWeek誌記事を参照、「Wal-Mart's Midlife Crisis 」)。
しかし、一体ウォルマートのどこが悪いのだろうか。かつて止めようのない勢いを誇ったアーカンソー州ベントンビルの成長マシンを止めてしまったのは、何なのか。
その答えを探し出すために、BusinessWeek誌はウォルマートの店舗を視察し、商品計画から店員の士気管理に至るまで、同社の取り組みを内部から調査することにした。
本誌記者の経験に加えて専門家による意見を得るため、小売りコンサルタントであるパトリシア・パオ氏とともに3カ所の店舗を訪れた。思いがけないポジティブな発見もあった。ウォルマートが誇る清潔な店内がその1つだ。しかし、店内の配置や商品の陳列方法には欠点も見られた。
最大の発見は、顧客サービスが深刻な問題となっていることだ。ユニオンデール店のレジ係の態度から分かる通り、ウォルマートの従業員の多くは会社に対して明らかに敵意を抱いている。その感情が転じて、多くの従業員の顧客への態度は冷ややかであり、時にはそれ以下なのだ。
こうなると、ウォルマートはもう終わりだ。良心的なサービスを提供できなければ、同社は価格だけで勝負せざるを得ない。すると粗利が圧迫され、従業員の士気を向上させる賃金や手当ての支払いが困難になる。この悪循環が逆風となって、ウォルマートを窮地に陥れている。
「従業員の心をつかまない限り、顧客サービスの改善は非常に難しい。結局のところ、従業員は会社にとって、最前線で顧客に接する大使なのだから」。コンサルティング会社パオ・プリンシパルの創業者であるパオ氏はこう話す。
今回、ウォルマートはコメントを拒否した。ただ、同社経営陣はこれまでに何度も、顧客サービスの改善は重要な優先課題だと話している。今年5月、スコット氏はアナリストとの電話会議で、業績改善に向けた3カ年戦略プランのカギを握るのは顧客サービスだと強調。さらに「計画の中核となる顧客サービスの改善と収益力の回復こそが、当社の継続的な成功のために極めて重要だ」と述べている。
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