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米国人が見た南北首脳会談(後編)

親愛なる首領様の国の悲しい現実とかすかな希望

2007年10月11日(木)

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Dexter Roberts (BusinessWeek誌北京支局長)

米国時間2007年10月2日更新 「In the Land of the Dear Leader

(この記事は2回シリーズの後編である。前編はこちら「ベールに包まれた北朝鮮、記者が初めて見たものは?」)

 10月2日から、韓国の盧武鉉大統領と北朝鮮の“親愛なる指導者”金正日総書記との南北首脳会談が始まった。これは、北朝鮮の首脳が現実主義に傾き始めた兆候と見ていいかもしれない。だが、平壌滞在2日目に私が目にしたのは、北朝鮮の常軌を逸したイデオロギーが吹き荒れるさまだった。

 まず午前中に、金正日氏の父であり、“偉大なる指導者”と呼ばれる金日成氏の巨大な銅像を見学した。銅像の背後には霊峰「白頭山」を描いた長さ70メートルのモザイク壁画が配置されている。白頭山は金日成の生誕地とされる北朝鮮の聖地である。赤いスカーフを身に着けたまじめな顔つきの児童たちが、静かに銅像の足元に歩み寄り、花輪を捧げてお辞儀をしている。

徹底的に叩き込まれる指導者崇拝

 「人民大学習堂」も見学した。弧を描く伝統的な屋根が特徴の巨大な建物で、蔵書は3000万冊に上るという触れ込みだが、入館できるのは北朝鮮のエリートだけだ。ここでは、すべての国民が幼い頃から徹底的に指導者崇拝を叩き込まれることを知った。

 「“偉大なる指導者様”と“親愛なる指導者様”について、毎日45分ずつ勉強しなければなりません」

 3番目の案内人である、かわいらしい20歳の学生は言った。彼女はエリート向けの金日成大学で英語を学んでおり、学校を休んで私たちのガイドを務めてくれたのだ。

 指導者崇拝の教化活動は7歳から始まり、大学まで休みなく続けられる。大学のイデオロギーの授業では、毎日1時間半ずつ、日替わりで金日成と金正日について学ぶ。

 「簡単な授業ではありません。覚えることがたくさんあって、毎日試験があるんです」

 その夜、「アリラン祭」が催された。アリラン祭とは、大集団で演ずる愛国的マスゲームで、世界最大規模のメーデースタジアムで行われる。おそらく、これを見せるために、私たちの北朝鮮入国を認めたのではないだろうか。

 10万人の出演者がいっせいに旗を広げて身をひるがえし、次々に巨大な絵を描き出していく。テーマは母国のために戦う軍人であったり、激しい水の流れで電力を生み出す発電事業の様子であったりする。

 数万もの北朝鮮人が一糸乱れずに完璧な振り付けで踊り、溢れんばかりの愛国心を示そうとする光景は、はっきり言って不気味だった。だが、その異様な空間にも、現実主義の萌芽が見て取れる瞬間があった。祭りが終わり、スタジアムから中国人観光客がどっと出てくるのを見つめながら、案内人の女子が笑いながらこう言ったのである。

 「私も中国語の勉強を始めようかしら」

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