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「クレヨンしんちゃん」にハマる中国の母娘

2007年10月24日(水)

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 これまで考察してきた中国の日本動漫(アニメ・漫画)の消費者は、10代20代の若者たちであり、彼ら彼女らは90年代に日本動漫の洗礼を浴びている。

 では、2007年現在の子供たちとその親たちは、日本動漫をどのように消費しているのだろうか。その子供たちが成人する10年後あるいは20年後の中国の若者たちの意識を推測するために、私は、北京に住む親子の話を聞くことにした。

30代の母親、9歳の女の子ふたりに聞いてみた

 母親の方は夫の収入が高いため、最近中国でもチラホラと出始めた専業主婦だ。おっとりとした知性的な顔立ちをしている37歳。彼女にはレイちゃんという9歳になる娘がいる。話の内容に偏りがあるといけないからという理由で、レイちゃんのクラスメートのファンちゃんを同行してきてくれた。実に機転が利く。

 レイちゃんはメガネをかけた、色白でぽっちゃりとした小太りの小学3年生。おしゃべりが大好きで朗らかだ。同じく9歳のファンちゃんは浅黒く引き締まった顔をしているが、やはり肉付きがいい。母親は警官。それを反映してか、目つきがキリリと鋭い。

 この3人の取材内容を、Q&A方式で記すことにしよう。

(編集部注:ネット上で表記が崩れる恐れがある漢字は、カタカナにさせていただきました)

*  *  *

―― 日本の動漫は好きですか?

母親:ええ、大好きです。
レイ&ファン:だーい好き!

―― なぜ日本の動漫が好きなの?

母親:まず、画面が美しいんですもの。あれだけきれいな映像を子供に見せれば、きっとこの子たちの情操教育に役立つと思うの。それにお説教調じゃないのに、ストーリーにちゃんと人間への愛や正義のあり方が織りこまれていて、愛や正義の大切さを知らず知らずのうちに教えてくれている。子供の教育にもすごくいいと思うわ。
レイ&ファン:すごくおもしろいから。見てて楽しいもん。

―― 中国の動漫は見ないの?

母親:見ません。
レイ:見ない。
ファン:少しだけ見るときもある。

―― どうして中国の動漫を見ないの?

母親:おもしろくないし美しくもない。だから子供の情操教育の役にも立たないと思う。進んで子供に見させようという気にはなれないわ。もっとも、子供が見たがれば止めはしないけれど。でも、ピカチュウ(「ポケットモンスター」)だけは目に悪いから見させないんです。

(著者注:母親の発言を聞いていた子供は、「ウン」と素直にうなずいていた。読者の方もご存知だろうが、1997年12月、日本で放映中の「ポケットモンスター」を視聴していた数百人の児童が「光過敏性発作」などを起こし、病院に担ぎ込まれる事件があった。おそらくこの事件を受けての発言と思われる)

レイ:中国の動漫はおもしろくないから見ない。見てて楽しいという気持ちにならないから。
ファン:ときどき見ることもあるかな。日本動漫ほどおもしろくはないけど、でも中国の動漫の中にも、少しだけだけど、おもしろいのもあるよ。

―― 日本の動漫のうち、漫画を読むの? それともアニメを見る方が多い?

3人とも:アニメ! 漫画は読むのに時間がかかるでしょ。漫画を読む時間はなかなか取れないの。学校の宿題があるし、母親の私は家事があるし。

「クレヨンしんちゃん」に自分の日常を重ねてしまう

―― どんな日本アニメを見るの?

母親:クレヨンしんちゃん。それ以外は見ません。
レイ&ファン:私たちもクレヨンしんちゃん、大好き! あれ、めちゃくちゃおもしろいよねぇ! でもそれ以外にも何でも見るよ。(名探偵)コナンとか、火影(NARUTOのこと)とか、ドラえもんとか……。ドラえもん、大好き!

―― クレヨンしんちゃんって、そんなにおもしろい?

母親:もう、めちゃくちゃおもしろい。そりゃあ、ちょっとだけいやらしい場面もあって、子供に見せるのはどうかなって思うときもあるけど、でもまあ、あの程度ならいいんじゃないかしら。しんちゃんの中のエッチな会話やお話って、どんな家庭にだって、実際にある話だから。クレヨンしんちゃんて、何といっても、日常生活の実態をそのまま描いているでしょう?自分の生活に重ねて、すごく笑ってしまう。あんな面白いものはないわ。

(著者注:中国版『クレヨンしんちゃん』は、きわどい場面になると大きくモザイクが掛けてあり、何も見えないから、親たちも安心して見ている)

レイ&ファン:おもしろくて、たまらない。ギャーギャー笑っちゃう。でもね、おばちゃん、最近ね、クレヨンしんちゃんとそっくりの中国のアニメが放映されたんだよ、知ってる?

―― ああ、それって、「大嘴巴ドゥドゥ(大きな口のドゥドゥ)」のこと?

レイ:そう、それ!おばちゃん、よく知ってるね。あれって、クレヨンしんちゃん、そっくりなんだよ。出てくる主人公だって友達だって、幼稚園の園長さんだって、みーんな同じなんだもん。ただ、クレヨンしんちゃんの顔が違うけど、でも太い眉毛とか、お尻フリフリとか、ぜーんぶ同じだよ。あれって、絶対にクレヨンしんちゃんの真似っこだよ。あんなこと、やっていいのかな?

ファン:だよね~。だって、誰が見たって、見たらすぐに、「アレッ、これってクレヨンしんちゃんじゃない」って、すぐわかるもん。だって、みーんな、クレヨンしんちゃんが大好きで、すっごくいっしょけんめい見てたから、どんな小さな場面も、全部覚えてる。だから似てるって、すぐわかっちゃう。

パクリ作品に魅力なし

母親:私は中国の動漫は、そもそも見ないから知らなかったんだけど、レイが、「お母さん、お母さん、大変だよ、ちょっと見てよ!」って、しつこく言うもんだから、チラッと見たけど、画面が魅力的じゃないから、それきり二度と見てない。あんなもの放映するくらいなら、クレヨンしんちゃんそのものを放映してくれる方がずっといいのに……。なんで、あんなもの放映するんだろう……。

―― 2006年の9月1日からゴールデンタイムの午後5時から8時まで、外国アニメは一律に放映禁止になったからじゃないのかしら。国産アニメを奨励するために……。

コメント11件コメント/レビュー

中国がアニメを作れるようにするためには、「すぐに絵を描くことが出来る発想」と「自由な妄想を拡げる時間」が子供のうちに取れるかどうか、ということにかかっているような気がします。東アジアは漫画というか、紙に世界を写し取ることに躊躇がないので、発展の余地はあると思います。(2008/02/21)

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「「クレヨンしんちゃん」にハマる中国の母娘」の著者

遠藤 誉

遠藤 誉(えんどう・ほまれ)

筑波大学名誉教授

1941年、中国長春市生まれ、1953年帰国。理学博士。中国で国務院西部開発弁工室人材開発法規組人材開発顧問、日本では内閣府総合科学技術会議専門委員などを歴任。2児の母、孫2人。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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いただいたコメント

中国がアニメを作れるようにするためには、「すぐに絵を描くことが出来る発想」と「自由な妄想を拡げる時間」が子供のうちに取れるかどうか、ということにかかっているような気がします。東アジアは漫画というか、紙に世界を写し取ることに躊躇がないので、発展の余地はあると思います。(2008/02/21)

 エリートで収入の高い中国人家庭の団欒を年収100万未満の日本人困窮アニメーターが支える形になっていて、一般に認識されているのではないかと思う構造(実体はもう変わっているし、認識も変わると思いますが)と正反対の構造が起きているので涙してしまいます。特に「日本のアニメはよい」というプラスの感想・評価をお持ちの方には是非日本のアニメーターの困窮にも考えをめぐらして欲しいものだと思います*こう書くと勘違いしそうな人がいるので先回りしておきますが、私はアニメーターでもアニメ関係者でもないですよ。(2007/10/25)

一番驚いたのは日本のアニメを見て映像が綺麗だから情操教育になるという見解について。日本のテレビアニメは安い発注費しか与えられず劣悪な労働環境で作られており、セル画を書く現場ではいかに手を抜いてストーリーを展開していくかに知恵が絞られているのに。中国共産党の作るアニメとはどれだけ低レベルなのかと興味が湧いたくらいだ。宮崎アニメを見た後にクレヨンしんちゃんを見たら背景や色の「手抜き」に驚くのではないだろうか?本当はキャラが面白くて夢中になっているのではないだろうかとも思った。日本のテレビアニメはほぼ全てが漫画を原作にしており、キャラの強さで引っ張っていくのが日本漫画の特長であるので。(2007/10/24)

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