Sarah Lacy (BusinessWeek誌ハイテク分野寄稿者)
米国時間2007年10月3日更新 「Venture Capital's Hidden Calamity」
ベンチャーキャピタリストにとっては苦難の時だ。そう思わないのは、新しいファンドを立ち上げようとしているか、数少ない勝ち組ベンチャーキャピタル(VC)かのどちらかだろう。
数字を見た限りでは状況は悪くない。投資金額は堅調に伸びている。決して“バブリー”ではない。第2四半期は74億ドル(前年度比8%増)が新興企業に投入された(米ダウ・ジョーンズのベンチャーワン調べ)。こうした資金の一部が、本当に可能性を持ったベンチャーに回っている。例えば“Web 2.0”系企業は今年上半期に5億ドルを集めたし、環境技術を専門とする企業は11億ドルの出資を受けている。
新規株式公開(IPO)も今年は上向いている。第2四半期、VCの支援を受けた企業は株式公開によって27億3000万ドルを集めた。これは四半期ベースの調達額としては、最盛期の2000年以来最高の数字だ。第4四半期に上場予定の企業は46社に上り、アナリストは絶好調の四半期になると予測している。
何十億ドルものVC資金がわずかな有望企業に殺到
だが、もっと注意深く数字を見ると必ずしも明るい側面ばかりではないようだ。
IPOを果たした企業には、創業から何年も経過し、事業を軌道に乗せるために5年以上も苦労した末にようやく上場にこぎ着けたような企業が多い。今年の大成功銘柄は、携帯電話サービス会社メトロPCSコミュニケーションズ(PCS、本社テキサス州ダラス)や米EMC(EMC)からスピンアウトした仮想化ソフトウエアのVMウエア(VMW)だ。典型的なシリコンバレーのベンチャー企業とはかなり趣きが違う。
そもそも、ハイテク業界全般にウォール街を活気づけるような大きな動きがないし、起業家の方にも熱く燃えるものがない。「サーベンス・オクスリー法(SOX法)」をはじめとする公開企業に対する規制が強化されたことも、株式を公開することの魅力をそぐ要因となった。
企業買収の状況はかなり悪い。確かに、通常は動きの少ない第3四半期に総額100億ドルの取引が成立したのだが、90件もの取引の合計がたったこれだけの金額なのである。
米マイクロソフト(MSFT)に8億ドルで買収された米テルミー・ネットワークス──1990年代に設立された音声認識技術の開発企業──は例外的なケースだ。最近のハイテク企業の買収の典型例は、「創業から6年以上地道にやり、VCから総額3000万ドルぐらいの出資をちびちびと引き出し、最終的には5000万ドルかそこらで買収される」といった小粒なものなのだ。
実際、新興企業が身売り先を見つけるまでの平均年数は、ダウ・ジョーンズのベンチャーワンが20年前に統計を取り始めて以来、最も長くなっている。一方で企業価値の評価額は上昇を続けている。VCが貯めこんでいる何十億ドルもの資金が、ほんのわずかの有望企業に殺到し、争奪戦になっているからだ。
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