Gail Edmondson (BusinessWeek誌フランクフルト支局上席記者)
米国時間2007年10月10日更新 「BMW's Quandt Family Faces Its Nazi Past」
高級車メーカーのBMWは、ドイツで最も尊敬される雇用主であり、従業員への利益分配制度をいち早く導入した企業でもある。それだけに、BMWの大株主であるクヴァント家がナチス時代に犯した悪行を暴いたドキュメンタリー番組は、大勢の人にショックを与えた。
『クヴァント家の沈黙』と題したドキュメンタリー番組は、9月30日にテレビ放映された。現在BMW(BMWG.DE)を支配する世代の祖父に当たるギュンター・クヴァントが、戦時中いかにして強制労働を利用して血塗られた富を築いたか、そして戦後、いかにして責任を逃れてきたかを描いたものだ。
番組がテレビ放映された5日後の10月5日、普段は表に出ないクヴァント家が声明文を発表した。一族のナチスとの関わりと、第3帝国の支配下でクヴァント家が果たした役割を調査する研究プロジェクトを後援し、同家が保管する文書資料を第三者である歴史学者に公開するという。
元強制労働者による証言
「クヴァント家に対して持ち上がった嫌疑を受け、私たちは行動を決意しました。ドイツの実業家一家としての私たちの歴史の中で、1933〜45年の出来事が十分明らかにされてこなかったことは確かです」
クヴァント家は声明文の中でこう述べた。ドキュメンタリー番組は、戦後クヴァント家に買収されたBMWについては触れておらず、BMWはこの一件に関してコメントを避けている。
番組はドイツ全国に衝撃を与え、放映翌日には「クヴァント家の血塗られた財産」といった見出しの新聞記事が一斉に掲載された。
1時間のドキュメンタリー番組には、元強制労働者のインタビューが盛り込まれており、ギュンター・クヴァントが設立したバッテリー製造会社、アクムラトーレンファブリーク(Afa)の悲惨な労働条件や残虐行為について証言している。
Afaはナチスの兵器向けに特殊なバッテリーを生産し、Afaのバッテリーは「Uボート」や「V2ロケット」にも使用されていた。同社は軍需品も生産していた。
「私たちはとても酷い扱いを受けた。喉が渇けばトイレの水を飲むしかなく、鞭で打たれたりもした」。クヴァントのハノーバー工場で働いていた強制労働者、タキス・ミロプロスはこう語った。
番組製作者が発見した文書には、バッテリー製造工場では「月に80人以上の捕虜が入れ替わる」とクヴァント自身が推測しているくだりがある。この数字は1カ月間で死亡する捕虜の人数を予測したものではないか、と番組は主張している。
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