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ベア・スターンズ、無謀すぎた賭け

傘下ヘッジファンドの破綻は内部からの自然崩壊だった

2007年10月22日(月)

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Matthew Goldstein (BusinessWeek誌、ヘッジファンド・金融担当アソシエイトエディター)
David Henry(BusinessWeek誌、シニアライター)

2007年10月22日発行号カバーストーリー 「Bear Stearns' Bad Bet

 ラルフ・R・シオッフィは、いつもどおり冷静で自信たっぷりに見えた。

 サブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)市場は総崩れだ。にもかかわらず、米大手投資銀行ベア・スターンズ(BSC)傘下の2つのヘッジファンドを率いる51歳の男は、投資家に対して心配は無用だと繰り返すばかりだった。今年2月には富裕層の顧客たちにこう確約している。「この機会を利用して儲けるつもりだ。市場が言うことなど気にしていられない」。

極秘の財務諸表を入手、深層を明らかに

 明らかにほかの道を探るべきだった。シオッフィが運用を任されていた2つのヘッジファンドは、相場が暴落すれば破綻は避けられない仕組みだった。BusinessWeek誌は、両ファンドの社外秘の財務諸表を入手。それを独自に分析し、法務、会計の専門家やトレーダー、アナリストの意見を聞き、そうした結論を得た。

 ファンドにはほかにも致命的な欠陥があった。英大手銀行バークレイズ(BCS)にファンドから自由に撤退する権限を与えるという異例の取り決めがあったのだ。ほかの投資家は不利益を被ることになるが、取り決めの存在を知る者はほとんどいなかった。

 資料によれば、今年7月の破綻前にファンドが公表していた好成績も疑わしくなってくる。ファンドの純資産額の6割以上は、複雑なエキゾチックデリバティブ証券がからんだもので、公表評価額はシオッフィのチームによって見積もられたものだ。この点について、監査人であるデロイト&トウシュが2006年のリポート(今年5月発行)の中で投資家に警告を発している。

 手元資金が乏しく、借金まみれで、ファンドマネジャーがやっていることは債務の山をさらに高くすることだけ──。これが、様々な記録から浮かび上がるファンドの実像だ。

フェアバリュー会計が詐欺的行為の温床に

 ヘッジファンド業界全体の規模は1兆3000億ドルに膨れ上がり、ウォール街における1日の取引のうち3分の1を占める。今回明るみに出た資料は、業界の不透明な体質に光を当てるものだ。そこから浮き彫りになったのは、これまでも批判の的だった「ヘッジファンドの多くは驚くほど巨額のレバレッジ(借金)を利かせていて極めて危険」ということである。

 流行の“フェアバリュー会計”にも問題がある。本当の市場価格が分からない証券の価値をファンドマネジャーの推測で決めることを容認しているため、詐欺的行為の温床になっている。好むと好まざるとにかかわらず、ほぼ野放し状態のヘッジファンド業界をより厳しく監視するよう求める声が、米国政府内において高まる日は近いだろう。

 年金基金、大学基金、富裕層の投資家と、その資金の運用を託されたウォール街との関係も悪化するだろう。ベア・スターンズのファンドは、アマランス・アドバイザーズやソーウッド・キャピタル・マネジメントのヘッジファンド(最近破綻)のような独立系とはわけが違う。ウォール街の歴史とともに数々の伝説を作ってきた老舗証券会社が後ろ盾だったのである。ファンドの募集に際しては、ベア・スターンズの支援があることを匂わせ、住宅ローン担保証券(MBS)の専門家が運用を行うと強調していた。

 投資家は不安のどん底に突き落とされた。「一流の大手証券のヘッジファンドを信じられないとなると、いったい何を信じればいいのか」。

ウォール街の暴れん坊が一線を越えた

 ベア・スターンズと会長兼CEO(最高経営責任者)のジェームズ・E・ケインにとっては頭が痛い問題だ。社長兼共同COO(最高執行責任者)のウォーレン・スペクターは、破綻を受けて既に辞任している。「一時隆盛を誇ったベアの住宅ローン担保債券引受・売買事業へのダメージは大きい。信用の回復にはかなり時間がかかるだろう」と、かつてウォール街でデリバティブトレーダーをしていたフランク・パートノイ(現職はサンディエゴ大学法科大学院教授)は言う。

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