• ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

あの「重慶立てこもり騒動」を超えた
住居の強制移転紛争

中国最高 2億円の移転補償金を得た深センの夫婦たち

2007年10月26日(金)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

中華人民共和国物権法

中華人民共和国物権法

 「中華人民共和国物権法」(以下「物権法」)は2007年3月に開催された第10期全国人民代表大会第5回会議で採択され、半年後の10月1日に発効した。中国は10月1日から7日まで「国慶節連休」であったため、発効した物権法に基づく「物権」関連裁判は10月8日から全国各地の裁判所で審議が始まった。

 10月8日、湖南省長沙市の「芙蓉区人民法院」(“法院”=裁判所)では住宅の所有権に関わる裁判が行われ、物権法適用第1号の一審判決が下された。長沙市政府に長年にわたって接収され、一般に賃貸されていた住宅ビルが、2003年12月に本来の持ち主である4人の共同所有者に返還された。ところが、返還以前からの同ビル住民が、共同所有者との間に賃貸契約もないのに退去せず、部屋の賃貸料も支払わぬまま居座りを続けた。共同所有者4人は退去を求めて住民と交渉を続けたが、埒が明かず、2007年6月25日付で芙蓉区人民法院に対して、実質的賃貸契約の存在認定、即時退去及び損害賠償を求めて訴えを起こしたものであった。

 当日の判決は、物権法第39条、第64条、第242条及び第243条の規定により被告である居座り住民に対し同ビルからの退去並びに賃貸料の損失4855元(約7万3000円)の支払いを命じた。

立ち退きを拒否する住民による“立てこもり騒動”

 物権法が採択されて間もない3月下旬、中国の重慶市で立ち退き拒否住民による"立てこもり騒動“が発生した。それは、住民が立てこもる2階建てレンガ造りの建物が周囲を10メートルもの深さに掘り下げられて孤立し、水も電気も止められた建物への出入りには梯子が必要という特異なものであった。このニュースはメディアを通じて全世界に報道された。

 裁判所による立ち退き命令の最終期限の3月末には建物の取り壊しがいつ始まるかと事の成り行きに世界中が注目したが、4月2日に事態は急転直下解決に向かい、市街地再開発業者が住民に同等の建物と営業損失90万元(約1400万円)を支払うことで和解が成立し、建物はその日の夜間に跡形も無く取り壊された。

 筆者はこの事件について、コラム「ニュースを斬る」に2007年4月11日付で“重慶立てこもり騒動の真相”を掲載したので重複を避けるが、立ち退き拒否者の多くが満足いく補償を獲得できぬまま住宅を取り壊されて立ち退きを強制されている中で、十分な補償を獲得したこの事件は異例であった。

世界で報道されたあの「重慶立ち退き拒否夫婦」は

孤立する蔡珠祥のビル(後方は66階建の「地王大厦」)

孤立する蔡珠祥のビル(後方は66階建の「地王大厦」

 ところで、中国では立ち退き拒否住民を「釘子戸」(=釘のように動かない世帯)と言い、その程度が強いものを「牛釘子戸」(牛のように頑固な立ち退き拒否世帯)と言うが、重慶の場合は敬意を込めて“重慶で最高”の意味をこめて「最牛釘子戸」と呼ばれた。

 重慶事件の後、日本では中国の立ち退き拒否騒動に関する報道はほとんどなされていないが、2007年10月1日の物権法施行までに立ち退きを完了させようとする地方政府及び市街地再開発業者と立ち退き拒否住民との熾烈な戦いは全国各地で繰り広げられていた。

 その物権法が発効する1日前の9月30日、香港に境を接する広東省の深セン市で市街地再開発業者と「最貴釘子戸」(=最も高額な立ち退き拒否世帯)との移転補償を巡る約1年間にわたる協議が妥結し、1200万元(約1億8000万円)前後の金額が補償金として支払われたというニュースが報じられた。10月18日に初めて記者会見に応じた「最貴釘子戸」の蔡珠祥夫婦は、移転補償協議書を示しながら、総額1258万77元(約1億8900万円)の支払いを受け、既に移転を完了したと述べた。

コメント1件コメント/レビュー

中国は問題が山積みですよね。(日本もですが)何の本だったかは忘れましたが、公害防止の技術を日本が与えてあげる代わりに、「安全な食品を作れ」とか、「汚職をするな」とか、そういうやり方はできないものか、と書かれていました。私も賛成です。できないんでしょうか?それと、武器を輸出している国に、ODAの援助は打ち切るべき、と思います。(2007/11/05)

「世界鑑測 北村豊の「中国・キタムラリポート」」のバックナンバー

一覧

「あの「重慶立てこもり騒動」を超えた
住居の強制移転紛争」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

中国は問題が山積みですよね。(日本もですが)何の本だったかは忘れましたが、公害防止の技術を日本が与えてあげる代わりに、「安全な食品を作れ」とか、「汚職をするな」とか、そういうやり方はできないものか、と書かれていました。私も賛成です。できないんでしょうか?それと、武器を輸出している国に、ODAの援助は打ち切るべき、と思います。(2007/11/05)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

日本の経営者は、経験を積んだ事業なら 失敗しないと思い込む傾向がある。

三品 和広 神戸大学教授