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“環境に優しい企業”のウソ

猫も杓子も「環境保護」、でも本当に効果は出ているのか?

2007年10月29日(月)

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Ben Elgin (BusinessWeek誌、シリコンバレー支局特派員)

2007年10月29日発行号カバーストーリー 「Little Green Lies

 オーデン・シンドラーが、企業による環境保護活動の心得をその先駆者から叩き込まれたのは、1990年代後半にコロラド州アスペンにあるシンクタンク、米ロッキーマウンテン研究所に準研究員として勤めていた頃のことである。

 所長のエイモリ・ロビンスは伝説的な自然科学者であり、企業が“環境に配慮”することで、地球環境を守りつつ、しかも利益を上げられるという理論を提唱した。ロビンスはシンドラーら研究員にいつもこう言っていた。

 「エネルギー効率を高め、有害物質の排出を減らせば、コストを削減できるだけでなく利益の創出にもつながる」

 この理論に大いに刺激されたシンドラーは1999年、高級リゾート経営の米アスペン・スキーイングに入社、“企業の持続的発展”の大切さを社内で強く訴えかけ、この運動の先駆者となった。

「単なる偽善だね」

 それから8年。シンドラーは6時間かけて車と徒歩でアスペン一帯を動き回り、従業員800人を擁する豪華リゾートの地球温暖化対策を見せてくれる。37歳のシンドラーは日に焼けてがっしりした体つきの登山愛好家でもある。貯蔵庫の上によじ登って指さす先には、従業員用住宅の屋根に設置されたソーラーパネルが輝く。石ころだらけの斜面を下りていくと、会社が設置した小型水力発電設備が見える。動力は山から勢いよく流れ落ちる川の水だ。

 アスペン・スキーイングは環境対策の実績をマーケティング活動に利用しており、本社には環境保護への貢献を示す数々のトロフィーや盾が飾られている。昨年、米タイム誌はシンドラーを“環境保護の戦士”と称え、雪をかぶった木々の間に立つ顎を突き出したシンドラーの半ページ写真とともに紹介した。

 だが乾燥した晩夏の午後が終わる頃には、シンドラーの得意な気持ちは完全に消え失せている。会社のセダンを砂利道の脇に停めてエンジンを切ると、ようやく重い口を開いた。

 「単なる偽善だね」

 どんなに努力してもリゾートの温室効果ガスの排出は年々増える一方だ。客が増えればロッジの稼働率も上がり、電力消費量は増す。さらに、暖冬だと何トンもの人工雪を補充しなければならず、膨大なエネルギーを必要とする。

 「いろんな面白い計画に手を染めてきたが、本来の目標は全く達成できていない。環境に優しい会社にするなんてほとんど不可能だ」

“デジタル戦略”が“環境戦略”に変わっただけ

 大手企業は連日のように、環境保護の新たな成果を声高に発表している。小売業者は店舗を改装してエネルギー消費を抑え、電力会社はクリーンエネルギーを推進して風力発電の開発を行い、大手銀行はクリーンエネルギーに数十億ドルを投資している。アル・ゴア前副大統領がどのように批判されようとも、ノーベル平和賞を受賞した彼の提言が的を射ていることは疑う余地もない。

 地球温暖化に対する消費者の不安が高まる中、どの企業もその解消の一端を担っているという姿勢を見せつけようとしている。米医薬品大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)の前エネルギー担当だったクリス・ハンターは指摘する。現在は米環境コンサルティング企業グリーン・オーダーに勤めているハンターは、「10年前、企業が求めていたのは“デジタル戦略”だった。今は、それが“環境戦略”に変わっただけだ」と言う。

 環境問題にどれだけ貢献しているかが、企業のイメージアップの要となっている。米ゼネラル・エレクトリック(GE)は、数百万ドルに及ぶ広告費のほぼすべてを、環境に優しい製品シリーズ「エコマジネーション」に投入するという。同社の売り上げに占める割合がわずか8%であるにもかかわらずである。米ヤフー(YHOO)と米グーグル(GOOG)は、2008年までにオフィスとコンピューターセンターを“カーボンニュートラル”にすることを明らかにしている。

 こうした企業広報活動を過熱させているのは、環境保護はコスト削減になるだけでなく収益アップにもつながるという考えだ。だが、ほんの数年前まで先頭に立ってこの理論を支持していたシンドラーは、今、環境に配慮した企業活動が収益を生むという意見に強く反論する。

コメント20件コメント/レビュー

予てからの私の持論通りの内容が記述されていたのにはビックリした。排出権取引は元々まやかしだと思っていたが、誰もクレームを付けないどころか、全世界的に騙されているように見えたが、正しい考えの人もいる事が分かってやや安心したものである。時代が進めばエネルギー消費量が増える事は止められない。勿論無駄は良くないが、我慢して減らすのではなく、消費しても問題ないようにすべきである。企業は自然エネルギーを自ら推進し、政府はその援助と、将来的に重水素・三重水素を使うエネルギーの開発を推進すべきであろう。(2007/11/02)

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予てからの私の持論通りの内容が記述されていたのにはビックリした。排出権取引は元々まやかしだと思っていたが、誰もクレームを付けないどころか、全世界的に騙されているように見えたが、正しい考えの人もいる事が分かってやや安心したものである。時代が進めばエネルギー消費量が増える事は止められない。勿論無駄は良くないが、我慢して減らすのではなく、消費しても問題ないようにすべきである。企業は自然エネルギーを自ら推進し、政府はその援助と、将来的に重水素・三重水素を使うエネルギーの開発を推進すべきであろう。(2007/11/02)

自分の持論に エコとはエゴをやめることだと 格言めいたものがあります。ですがこの競争社会では エゴが優位 エコは偽善と(全部が全部ではありませんが)考えられる節があり それが本当になくならない以上 この著者が言われる通りだと思います自分自身の日ごろの行動一つとってみればすぐ判る事だと思います。かと言ってこのままではエゴにやられて破滅するのは間違いありません。(2007/11/01)

所詮,人間の限界はその程度,ということ.非常に極端なたとえ,として,“あなたが犠牲になることによって,この地球上すべての生物が助かります”といわれたとしても,自らの命を投げ出せる人はそれほど多くない.なぜなら,自分の命の,自己保存の方が優先するから.極端な話,宇宙全体からみれば,地球上の生物すべてが滅んだ,としても,所詮たいしたことはない.大きな影響は与えない.だから,そんなに大変だ,と大騒ぎする必要もないんじゃないか.(2007/11/01)

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井上 礼之 ダイキン工業会長