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国家主導のアニメ生産基地と「お役所仕事」の関係
~サブカルチャーを、官僚が育成できるか?

2007年11月28日(水)

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※ウェブで表記できない可能性がある漢字は、同じ意味の漢字、カナや、へん、つくりの表記などで置き換えています:編集部

 ご存じとは思うが、中国には、出版や映像をはじめメディアによる大衆への情報発信に関して、非常に厳しい規制がある。

 たとえば、書物などの出版に関しては、国家新聞出版聡署という部門が書物の内容が反政府的でないか、あるいは道徳的に劣悪でないか等、さまざまな側面から審査する。そして適切であった場合に初めて「書号(書籍番号)」を与え、出版を許可する。最近ではかなり緩くなりはしたものの、こうした規制の緩和と強化には波があり、国家新聞出版聡署が厳然たる国家権力を持っていることには変わりはなく、中国のメディア界思想界に君臨している。

 ところがこうした力を持っていた中国政府がいま、メディアの統制系列に関して混乱している。理由の発端は、日本動漫(アニメ・漫画)が国内市場を席巻したためであり、さらにいえば、インターネットの普及、ITの発達で、メディアの世界に再編が起きたためである。

 この「混乱」をくわしく見ていこう。

 たとえば、動漫やテレビドラマあるいは映画は、国家広播電影電視聡局(広電総局と略称。電視はテレビの意)の管轄下にある。一方、ゲームソフトに関しては文化部(部は日本の中央行政省庁の「省」に当たる)が管轄しているが、そのゲームに関連する情報技術に関しては信息産業部(信息は情報の意味)が管轄している。

お役所の縦割りは、こちらも同じ?

 すなわち、メディアの種類やハードとソフトによって管轄部門が細かく分かれているのである。まさにお役所ならではの複雑な縦割り分業がなされているのだ。どこかの国と同じかもしれない。

 ところが、こうした複雑な分業体制は、あらゆるメディアをつなぐインターネットの登場や、漫画、アニメ、映画、ゲームとさまざまなメディアに同じキャラクターが登場する日本動漫のようなコンテンツが普及すると、非常に機能しにくくなる。

 実際、「動(アニメ)」、「漫(漫画)」、「游(ゲーム)」、「網(インターネット)」といった文字の内、そのいずれかの文字が付いているような基地(開発拠点。「中国のコスプレは国家事業である(前編))」で触れた)に関しては、関係中央省庁や地方人民政府の行政省庁がそれぞればらばらに認定して、この4文字を適宜組み合わせて、行き当たりばったりの多種多様な名前がつけられてしまった。そのため、投資家の立場からすると、自分が投資しようとしているのはいったいどんな内容のどういう行政レベルの「基地」なのかわからない、といった混乱ぶりを招いていたのである。

 と書いても、日本の方にはちょっとわかりにくいかもしれない。もう少し具体的に説明しよう。

 まず、日本ではあまり考えられないことだが、中国では、アニメとか、漫画とか、ゲームとか、あるいはインターネット等に関して、それぞれ、国家あるいは地方人民政府が投資して、大がかりな経済特区のようなものを作り上げようとしていた。

儲けるためには、情報が必要。だが…

 しかし、初期段階で、この計画は次のような問題を抱えていた。

1:どの行政省庁が関わるのか

 漫画なら新聞出版総署が、アニメなら広電総局や情報産業部が、ゲームなら情報産業部や科学技術部が顔を出すということになるが、これらはすべて若者文化である。となると、文化部も黙ってはいない。したがって、漫画のキャラクターがゲームに使われ、それがインターネットで消費される場合など、いくつもの行政省庁が顔を出して、投資者は、どの行政省庁に「ご挨拶」していいのか、わからなくなる。

2:どの行政レベルが管轄しているのか

 1で示した行政省庁には、国家レベルの中央行政省庁と、地方レベルの地方人民政府に所属する行政省庁とがある。たとえば文化部なら、国家文化部という中央省庁と、文化局あるいは文化庁という、地方レベルがある。中央か地方かによって、権威も異なれば、「官」側から投資される金額も桁が異なってくるだろう。だから、投資者は、そのレベルを知りたいと思うが、それがごっちゃになっていた。

 ただし中には、たとえば自分は広東一帯を地盤として金儲けをしていこうと思う投資家もいるかもしれないし、また、広東省の人民政府の特定の人とはコネがあるので、中央行政省庁より、地方人民政府の行政省庁のほうがいいと思う人もいるかもしれない。いずれにしても、それが中央政府レベルなのか地方政府レベルなのか、そのレベルを明確にしてほしいと、思うわけである。

コメント10件コメント/レビュー

官僚がサブカル系アニメを育てられるとは思えませんねえ。なぜって、そりゃサブカルには官僚が嫌う不道徳不健全要素があって、それが魅力になっているからですよ。たとえば、知名度の高い『セーラームーン』にしたってかなり同性愛(この場合は「百合」)要素があって、その要素をのぞいてしまったら魅力が半減してしまうわけですよ。でも、そんなのを官僚が認めて、さらに育てることなんかできますか?まあ、作るだけなら中国型超健全アニメというものが作れるかもしれませんし、それはそれで魅力はあるかもしれません。しかし、問題なのは日本でもそういうのは作れるということですね。「中国は日本の不健全アニメはつくれないのに、日本は中国の健全アニメをつくれる」では勝負は最初から決まっているようなものです。そのへんをなんとかしないと日本アニメにおいつくのは難しいと思いますよ。もっとも日本側が「萌えアニメのような下劣なものはほろぼせ」とばかりに逆噴射して自滅するようなら、話は別ですが。(2007/12/02)

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「国家主導のアニメ生産基地と「お役所仕事」の関係
~サブカルチャーを、官僚が育成できるか?」の著者

遠藤 誉

遠藤 誉(えんどう・ほまれ)

筑波大学名誉教授

1941年、中国長春市生まれ、1953年帰国。理学博士。中国で国務院西部開発弁工室人材開発法規組人材開発顧問、日本では内閣府総合科学技術会議専門委員などを歴任。2児の母、孫2人。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

官僚がサブカル系アニメを育てられるとは思えませんねえ。なぜって、そりゃサブカルには官僚が嫌う不道徳不健全要素があって、それが魅力になっているからですよ。たとえば、知名度の高い『セーラームーン』にしたってかなり同性愛(この場合は「百合」)要素があって、その要素をのぞいてしまったら魅力が半減してしまうわけですよ。でも、そんなのを官僚が認めて、さらに育てることなんかできますか?まあ、作るだけなら中国型超健全アニメというものが作れるかもしれませんし、それはそれで魅力はあるかもしれません。しかし、問題なのは日本でもそういうのは作れるということですね。「中国は日本の不健全アニメはつくれないのに、日本は中国の健全アニメをつくれる」では勝負は最初から決まっているようなものです。そのへんをなんとかしないと日本アニメにおいつくのは難しいと思いますよ。もっとも日本側が「萌えアニメのような下劣なものはほろぼせ」とばかりに逆噴射して自滅するようなら、話は別ですが。(2007/12/02)

 日本政府のアニメへの関わりについて若干の誤解があるようです。 日本政府の屋台骨を支える世代はすでにアニメ世代です。彼らは仕事の合間にガンダムのついてwikiに書き込みをする連中です。今までアニメや漫画を白眼視していた連中の相当数はもうリタイアしてしまいました。 もちろん違和感もあるのですが、こうしたメディアを肯定的に捕らえることにかつてほど抵抗はありません。「ああ、そういえば俺もよく見たな」という感覚はもう中高年の共通理解です。 政府のスタンスに起こった肯定的変化にはこういう側面があると思います。中国もあと何年かすれば役所のメディアに対する理解が飛躍的に進むはずです。(2007/12/02)

動漫と言いつつも主たる話題がアニメ一辺倒なのは、活字人間であり、アニオタではなく、ゲーオタであり、漫画愛好者として少々寂しいですが、やはり社会現象として話題になるのはアニメなので仕方がないのかもしれませんね。さて、アニメについてですが、有名どころではCCさくらのCLAMPさん達は同人界の出身ということが有名ですが、最近とても面白いものがありました。オタクの間でしか話題にはなっていませんが、魔法(魔砲といわれることもある)少女リリカルなのは。もともとは恋愛シミュレーションゲーム作品のゲームクリア後のおまけシナリオとして収録された「CMスポット」にて新番組として予告された架空のテレビアニメ作品なのですが、その後ファンディスクにミニシナリオが収録され、その結果を踏まえてスピンアウトし、TVアニメ化されました。まさに瓢箪から駒が出たという感じですが、それを許容するオタク文化の自由度の高さ(裏返せば無法地帯っぷり)は、延べ人数50万人に共通する想いだと思います。(2007/11/30)

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