「山崎養世の「東奔西走」」

山崎養世の「東奔西走」

2007年11月28日(水)

ワイドショー型複合不況で沈む日本経済

テレビが業界の息の根を止め消費者を排除する

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 2007年の日本経済は、残念ながら新しいタイプの不況に入り込んだようです。ワイドショー型複合不況とも言えるでしょう。不祥事、報道、国会追及、ワイドショー、謝罪、糾弾、法律やルールの改正、極端な業界の落ち込み、そして日本経済の落ち込み、というプロセスが蔓延しています。

 ところが、日銀の金融政策も政府の経済政策も、景気は上向きというコメントを繰り返すばかりで、これまでこうしたミクロの落ち込みがマクロに及ぼす影響をトータルに捉えてきませんでした。

 いまや、日本経済は急速に下降線をたどりだしています。景気が悪化していることを認めて、有効な手を打たなければ、日本経済の衰退は加速し、多くの国民の暮らしも人生設計も大きなマイナスの影響を受けるでしょう。

法律改正で住宅着工件数に急ブレーキ

 まず、住宅です。今年のアメリカはサブプライムローン問題で大揺れです。住宅着工件数が大幅に低下しました。ところが、日本でも住宅の建設に急ブレーキがかかっています。月次の新設着工件数が去年の半分近くにまで低下しています。去年大きな問題になった耐震偽装問題で、建築基準法が改正され、建築確認や検査が厳格化され、罰則が強化されました。

 途中での設計変更も原則許されなくなりました。工場生産型の大手のハウスメーカーは対応できても、施主と相談しながら作るような工務店や伝統工法での建築は難しくなりました。中小の建設会社や関連の左官屋さんなどの倒産や廃業が相次いでいます。

消費者や中小企業といった、弱い借り手にお金が回らない

 弱い立場の借り手にお金が回らなくなった点でも、日本はアメリカに似ています。消費者ローンや商工ローンの高金利を下げるための貸金業法の改正が、国内の金融活動を縮小させています。高い金利の消費者ローンや商工ローンが個人の破綻や自殺を助長しているという批判がありました。

 そして、最高裁の決定によって、出資法で認められていた29.2%の上限金利については、利息制限法というもう1つの法律が規定する上限金利(貸付額により年15〜20%)を上回った部分(いわゆる「グレーゾーン金利」)が、明確に無効とされたのです。

 大手の消費者金融会社は巨額の損失を計上しました。全国で貸金業者の廃業が相次ぎました。貸金業者の資金調達も難しくなり、当然ながら、消費者や中小企業へのローンも減りました。資金繰りが厳しくなって倒産する中小企業が増えています。

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著者プロフィール

山崎養世(やまざき・やすよ)

山崎 養世

1958年生まれ、東京大学経済学部卒。カリフォルニア大学ロサンゼルス校でMBA(経営学修士)取得。大和証券勤務を経て米ゴールドマン・サックス本社パートナー、ゴールドマン・サックス投信社長などを歴任。2002年に退社後、「高速道路無料化」をマニフェストに掲げて、徳島県知事選挙に挑戦。現在はシンクタンク山崎養世事務所で金融、財政、国際経済問題などの調査研究を行っている。著書に『日本列島快走論』(NHK出版)、『大逆転の時代』(祥伝社)、『チャイナ・クラッシュ』(ビジネス社)、『投資信託革命』(共著、日本経済新聞社)、『米中経済同盟を知らない日本人』(徳間書店)、『道路問題を解く』(ダイヤモンド社)などがある。


このコラムについて

山崎養世の「東奔西走」

イラク戦争を機に世界の枠組みは大きく変わった。東西冷戦が終わり米国による世界覇権の時代が訪れたものの、わずか10年で終わりを告げた。戦争はできても世界に覇を唱える力がないことをさらけ出してしまったからだ。その間、ユーラシア大陸の西ではEU(欧州共同体)が世界における政治・経済の新しい軸として存在感を増し、一方、大陸の東では中国が急成長、アジアはもとよりラテンアメリカ、アフリカとも強い絆を築きつつある。その変化の意味を意外に分かっていないのが日本である。国際的に日本はどのようなスタンスを持つべきなのか、また地方を活性化するにはどうすべきかなどについて、歴史的視点から日本の政治・経済のあり方を厳しく問う。

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