「Bloomberg Businessweek」

クラウド・コンピューティングの実力は?

“グリッド”の次のキーワードは“雲”

バックナンバー

2007年11月29日(木)

1/2ページ

印刷ページ

Aaron Ricadela (BusinessWeek.com記者、シリコンバレー)

米国時間2007年11月16日更新 「Computing Heads for the Clouds

 超高速の計算をする方法は「クラウド(雲)」の中にあった――。雲といっても、空に浮かぶ水滴と氷の結晶のことではない。数多くのコンピューターをつなぐインターネットを雲に見立てた“クラウド・コンピューティング”という技術によって、スーパーコンピューター並みの高速処理を可能にしようというのだ。

 米IBM(IBM)は、クラウド・コンピューティング技術の開発計画を公表したばかりだ。11月15日、上海で「Blue Cloud(ブルー・クラウド)」計画を発表。銀行をはじめとする顧客は自社プログラムを膨大な数のコンピューターに分散させることによって、もっと高速で高度なデータ解析が可能になるという。ブルー・クラウド関連の製品やサービスの提供開始は2008年春を予定している。

IBM、ヤフー、グーグル、マイクロソフトも積極的

 インターネット関連の2大企業も同様のプロジェクトを最近発表している。米ヤフー(YHOO)は11月12日、同社所有のスーパーコンピューター(プロセッサー4000個搭載)を米カーネギーメロン大学などに利用してもらい、分散コンピューティングのソフトウエア研究に取り組む。

 米グーグル(GOOG)は、その検索エンジンを稼働させるために世界最大級のスーパーコンピューターを使っていると言っていいだろう。そのグーグルは10月、データセンターにある何百ものプロセッサーを米ワシントン大学、米スタンフォード大学、米マサチューセッツ工科大学などに開放すると発表した。高性能なコンピューター・プログラミング技術の教育を支援するためだ。

 「クラウド・コンピューティングの先陣争いに火がついたのだ」と、スーパーコンピューターの権威、ダン・リード氏は言う。米ノースカロライナ大学を離れ、12月3日には米マイクロソフト(MSFT)のスケーラブル&マルチコア・コンピューティング部門の責任者に就任する予定だ。

 背景には、まず高速インターネット、安価で高性能になったチップや大容量のディスクドライブの普及がある。また、数百〜数千台のコンピューターを設置した巨大なデータセンターが次々に建設され、数多くの顧客に対して迅速に高度なソフトウエアを提供する体制が整ってきたことも大きい。「10年前には考えられなかったことだ」とリード氏は言う。

 では、企業──最終的には消費者──は、どのようにしてクラウド・コンピューティングの能力を活用するのか。ポイントを解説しよう。

(1)クラウド・コンピューティングはどのように機能するのか?

 現在、スーパーコンピューターを主に使用しているのは、軍部、政府諜報機関、大学、研究所、大企業などである。核爆発のシミュレーション、気候変動の予測、航空機の設計、開発中の薬に結合しやすい体内のタンパク質を特定する分析など、非常に複雑な計算に使われている。

 クラウド・コンピューティングの狙いは、1秒に何十兆回というスーパーコンピューター並みの処理能力を、金融投資のリスク分析、個人ごとに特化した医療情報の提供、リアルなコンピューターゲームといった幅広い分野でも利用できるようにすることだ。しかも、インターネットにつながっていれば利用することができる。

 数多くのサーバー群──多くは低コストなパソコン技術を使ったもの──をネットワークで結びつけ、データ処理を分散させるのである。最新の高性能パソコンでも、1台だけでは処理能力は1秒に30億回程度にすぎない。これをネットワークによる分散処理によって桁違いに増大させるのである。

ここから先は「日経ビジネスオンライン」の会員の方(登録は無料)、「日経ビジネス購読者限定サービス」の会員の方のみ、ご利用いただけます。ご登録のうえ、「ログイン」状態にしてご利用ください。登録(無料)やログインの方法は次ページをご覧ください。


関連記事

Keyword(クリックするとそのキーワードで記事検索をします)

Feedback

  • コメントする
  • 皆様の評価を見る
この記事を…
内容は…
コメント0件受付中
トラックバック


このコラムについて

Bloomberg Businessweek

ビジネスウィーク・チャンネル

Bloomberg Businessweek Bloomberg Businessweekは米ブルームバーグ社が発行するビジネス雑誌である。1929年、大恐慌の年に創刊されて以来、世界中に読者を拡大してきた。現在の読者数は約470万人を誇る。本コラムではBloomberg Businessweek誌およびBusinessWeek.comから厳選した記事を日本語でお届けします。


BusinessWeek
TERMS AND CONDITIONS/
利用規約

Bloomberg Businessweek誌(英文)のお申し込みはこちらから

⇒ 記事一覧

記事を探す

読みましたか〜読者注目の記事

  • いま、歩き出す未来への道 復興ニッポン

日経ビジネスからのご案内