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中国はテレビアニメをこう管理している--許可証制度の実態

2007年12月5日(水)

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 中国の映画やテレビ等のマスメディア分野(中国語では「影視」という)を統括する中国政府の最高機関、国家広播電影電視総局((国家)広電総局と略称)は、2005年1月17日、中国の全省(省は河南省、湖北省等の地域区分)・全自治区・直轄市の広播影視局・庁、中央電視台(中央テレビ局)、中国教育電視台および中国人民解放軍政治部芸術局などに、「国産テレビアニメ発行許可制度に関する、広電総局からの通知」を出した。

 その通知はこう宣告している。

「国産テレビアニメの振興と、国産テレビアニメの放映管理を強化するため、《広播電視管理条例》、《電影管理条例》、《電視劇(テレビドラマ)審査管理条例》に基づき研究を重ねた結果、2005年1月20日から、国家は国産テレビアニメ発行許可制度を実施することを決定した」

「国産テレビアニメ発行許可制度」に見る、国家統制の実態

 この通知の内容は、中国の国家による言論の制限の実態を知る上で非常に参考になる。少々固い内容ではあるが、ここでは詳細に見ていきたい。ただし逐語訳ではなく、概ねの意味を以下に列挙する。



一、中央機関およびそこに所属する制作機関がつくった国産テレビアニメに関しては、国家広電総局が審査して「国産テレビアニメ発行許可証」を発行し、各省が所轄する制作機関が制作したテレビアニメに関しては、地方人民政府の広播影視管理部門が審査して「国産テレビアニメ発行許可証」を発行する。

二、次の状況に一つでも抵触するようなテレビアニメに関しては、許可証を発行しない。
 1.憲法の基本原則に反するもの
 2.国家の統一、主権および領土問題に危害を与えるもの(著者注:主として台湾問題等を指す)
 3.国家機密の漏洩、国家安全に危害を与えるもの、国家の栄誉と利益に損害を与えるもの
 4.民族の恨みや民族差別を扇動し、民族の団結を破壊したり民族の風習・習慣等を尊重しないようなもの(著者注:中国は56の民族によって構成されている多民族国家なので、民族の分離独立を刺激するような言動を警戒し禁止している)
 5.邪教や迷信を宣揚するもの
 6.社会秩序を乱し、社会の安定を破壊するもの
 7.淫猥・賭博・暴力を宣揚し、犯罪をそそのかすようなもの
 8.他人を誹謗・侮辱し、他人の合法的な権益を侵害するもの
 9.社会の公徳あるいは(中華)民族の優秀な伝統文化に危害を与えるもの
 10.「広播電視節目(テレビ番組)制作経営許可証」を持ってない機関が制作したもの
 11.国産テレビアニメ題材計画立案批准を経てないもの
 12.法律、行政法規および国家規定等が禁止している、その他の内容を含んだもの

三、審査機構は、審査すべきアニメのサンプルと完全な申請書面を受理した日から50日以内に行政許可に関する決定を出さなければならない。

四、2005年7月1日から、各クラス(国家クラスか地方政府クラス)が放映する国産テレビアニメに関しては、全て全国一律に、そのフィルムの最初と最後に、それぞれ「国産テレビアニメ発行許可証」と「広播テレビドラマ制作経営許可証」の編成番号を明示しなければならない。7月1日より以前に放映してしまったテレビアニメに関しては、もし7月1日以降もさらに再放映したいと思うなら、もう一度ゼロから申請手続きを行い、審査を仰がなければならない。7月1日以降は、全国の全てのテレビ局は、絶対に、「国産テレビアニメ発行許可証」を取得してないアニメを放映してはならないことを、厳しく命ずる。

五、省略(テレビドラマに関する規定)

六、既に「国産テレビアニメ発行許可証」を取得したアニメに関しては、許可取得後に如何なる改変も勝手に行ってはならない。

七、各地方政府等の広影視管理部門は、毎月の第一週に、その前の一カ月間に発行した許可証の進捗状況を、国家広電総局に報告しなければならない。

八、省略(申請手続きに関する説明と規定)

九、略記:審査不合格だったアニメに関しては、六十日以内に再審査申請を行ってよい。最終決定権は国家広電総局にある。

十、省略(発行許可証の形式と決裁印に関する規定)

十一、この通知に違反した行動があった場合は、各クラスの広播電影視管理部門は、「広播電視管理条例」に則って、アニメ創作・生産・経営と放映の規範を秩序化させるため、処罰を下すこと。

 おおむね、以上のような内容である。

 ここに列挙された規制の一部に関しては、日本や他の民主主義国家でも見られる水準のものである。まさに一般のモラルに準じた規制だ。過剰な暴力描写、性描写、あるいは差別的表現などに対して、メディアに規制がかかるのは中国に限った話ではない。

 ただし、中国の規制の多くは、内容をご覧いただければわかるように、日本など他の民主国家の規制水準を大幅に超えているといわざるを得ない。

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「中国はテレビアニメをこう管理している--許可証制度の実態」の著者

遠藤 誉

遠藤 誉(えんどう・ほまれ)

筑波大学名誉教授

1941年、中国長春市生まれ、1953年帰国。理学博士。中国で国務院西部開発弁工室人材開発法規組人材開発顧問、日本では内閣府総合科学技術会議専門委員などを歴任。2児の母、孫2人。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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