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FRBバーナンキ議長がラッキーなわけ

先代の功績と世界経済の構造変化が失策をカバー

  • 山崎 養世

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2007年12月6日(木)

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 アメリカの中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)の政策が今厳しく問われています。FRBが12月に市場の期待通りに金利引き下げを行うのか、注目されています。バーナンキ議長が舵取りを誤れば、さらなる世界の株式市場の暴落とアメリカ経済悪化の危険をはらんでいます。

 これまでのアメリカ経済の好調を支えてきた不動産が下げに転じたのです。サブプライムローン問題は深刻さを増しています。右肩上がりで上昇を続けた住宅価格が1970年以来の下落を続けています。

 金融機関の損失の合計は50兆円に及ぶという観測もなされ、そうなると200兆円以上の信用収縮が起きるという観測もあります。これが90年代までであれば、FRBの無策をきっかけに、世界経済は不動産、金融、株式の連鎖危機をきっかけにして不況に突入しても不思議ではない状況です。

 そうならないのは、世界経済の構造が変わったからです。その意味で、19年の任期中に幾多の危機を切り抜けた前任のグリーンスパン議長より、バーナンキ議長ははるかに恵まれています。

利下げ見送りで最も打撃を受けたのは日本株

 今年の世界の株式市場は大荒れです。2月、8月、そして11月と大きな下落を経験しました。特に11月は、FRBの幹部から「経済は大丈夫」という脳天気な発言が繰り返され、そのたびにアメリカ株が底割れし、世界の株式市場が連鎖して下げました。

 その上、バーナンキ議長は、11月の金利低き下げを見送りました。金融機関の損失のニュースにも明確な危機管理は行いませんでした。こうした姿勢に、ウォール街からの非難が集中しました。

 世界の株式市場の中で、とりわけ打撃が大きかったのは日本株です。今年の日経平均は、先週末まででマイナス9%の下げを記録しています。でも、日本以外の世界の株式市場は大きく上昇しています。

 アメリカでさえ、NYダウ工業株平均は7%のプラスです。ドイツのDAX指数はプラス19%、ブラジルがプラス41%、上海総合指数に至ってはプラス82%です。日本の弱さが際立ちます。

 20年前のブラックマンデー後にアメリカ市場の暴落を日本がすぐ跳ね返し、アジアやラテンアメリカが深い傷を受けたのとは、全く逆の現象が現れています。

スタグフレーションというのは幻影に過ぎない

 11月は、株式市場の暴落の一方で、石油価格は上昇し、ついにWTIで1バレル100ドルに近づきました。金や穀物の価格も上がりました。インフレの不安が高まっているのだから、バーナンキ議長は金利を下げられないのだ、という見方もあります。

 そして、70年代のようなスタグフレーション、すなわち、不況(スタグネーション)とインフレーションが同時にやってくるのか、と心配されています。そうなると金融政策も効かなくなる、という恐怖心理も各地で台頭しています。

 幻影におびえている、としか言いようがありません。ホラー映画を見て怖がる分にはいいのですが、経済に最大の影響がある金融政策の舵取りが、ありもしないスタグフレーションに惑わされていたのでは、大きな間違いを犯します。

 70年代のオイルショックの頃、日本やアメリカの物価上昇率は20%を超えました。金利は跳ね上がり、経済はマイナス成長、株式は暴落、失業が増えました。

 いま、日本のインフレ率はほぼゼロ、アメリカでも3%程度です。世界の株式市場は、日本を除いて、上昇基調です。スタグフレーションは存在しないのです。

米中経済同盟が世界経済の構造変化を促した

 それどころか、世界経済はインフレなき高度成長の時代にあります。中国に代表されるように、人件費と不動産コストがアメリカや日本よりはるかに低い国に世界の工業製品の生産が移り、製造コストの劇的な低下が実現しました。たとえ石油などの1次産品の価格が上がっても、先進国のコストの最大部分を占める人件費と不動産コストの低下がそれを上回ります。

 こうしてインフレが起きないから、金利も低い。労働、不動産、マネー、これら3大生産要素のコストが激減して、世界で展開する企業の収益が上昇を続けるようになったのです。

コメント6件コメント/レビュー

日本やアメリカのような「島国」の貿易額の GDP 比は、せいぜい 十数%。普通に考えれば、これだけで、インフレが起きないとは考えにくい。さらに、輸入な財は限定されている(流通、サービスは輸入できない)。そこのところを定量的に説明してはもらえないだろうか。(2007/12/07)

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いただいたコメント

日本やアメリカのような「島国」の貿易額の GDP 比は、せいぜい 十数%。普通に考えれば、これだけで、インフレが起きないとは考えにくい。さらに、輸入な財は限定されている(流通、サービスは輸入できない)。そこのところを定量的に説明してはもらえないだろうか。(2007/12/07)

現在の世界経済にスタグフレーションのリスクが少ないことは理解できますが、新興国に産業が移っているということは、中国人やインド人と同程度の仕事しかできない人は、その影響を受けて低賃金で働き続けることになるわけですよね?金融で国の産業を動かすというのはどこかにカラクリがありそうです。ですから今回の記事には納得できませんでした。加えて、グリーンスパン氏が語っているように、グローバリゼーションが終わるときに日本はどのように対応するべきか?山崎さんの意見をお聞きしたいです。(2007/12/06)

下の方のコメントに同意致します。平均年収400~500万円と言われる日本のサラリーマンの目線に立って論じて頂けたらと思います。(2007/12/06)

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