Gail Edmondson (BusinessWeek誌フランクフルト支局上席記者)
David Welch (BusinessWeek誌デトロイト支局長)
協力:Nandini Lakshman (BusinessWeek誌、ムンバイ支局記者)
米国時間2007年11月21日更新 「This Race May Be Tata's to Lose」
インドの実業家で億万長者のラタン・N・タタ氏は、タタ・モーターズ(TTM)をグローバル企業にすることをずっと目指してきた。既にインド市場を席巻した低価格車で満足はしていない。そして今、タタ氏は一気に夢を実現させようとしている。
経営再建中の米フォード・モーター(F)傘下にある「ジャガー」と「ランドローバー」部門の買収合戦で、タタ・モーターズは最有力候補に躍り出たのである。関係者によると、タタの入札額はほかの競合を10億ドルも上回っているという。
タタの競争相手は、インドのトラクター・メーカー最大手のマヒンドラ・アンド・マヒンドラと、米プライベートエクイティ(非上場株)投資会社ワン・エクイティ・パートナーズ(本社:ニューヨーク)だ。ワン・エクイティにはフォードの前CEO(最高経営責任者)だったジャック・ナッサー氏が加わっている。
世界最安車メーカーが英国ブランドを買う
フォードは売却によって20億ドルの調達を目指す。落札企業の発表までは数カ月かかる見通しだが、目下のところタタが本命と見られている。「入札企業で自動車会社はタタだけだ。ジャガーとランドローバーは規模が小さいため単独での生き残りは難しい」と言うのは、英ウェールズ地方のカーディフ大学で教鞭を執る自動車産業専門の経済学者ガレル・ライス教授だ。
歴史的に見ても異例の方向転換である。なにしろ、“世界最安車”──来年1月に投入予定の4人乗りセダンは2500ドル──を最大の売り物にしているインドの自動車メーカーが、英国の名門企業2社を買収しようとしているのだ。
だがアナリストはこう指摘する。タタは高級ブランド経営のノウハウは不足しているものの、数々の買収で増収増益を果たしてきた。韓国のトラック製造会社、大宇自動車(現・タタ大宇商用車)もその1つだ。さらに親会社のタタ・グループは、360億ドルの資産を誇り、幅広い事業を手がけるインド最大のコングロマリットである。新モデルの開発や、優秀な人材雇用のための資金は潤沢にある。
買収に成功した場合、タタは全く状況が異なる2つのブランドを手にすることになる。ランドローバーの売り上げは回復傾向にあるが、ジャガーはもう何年も赤字続きだ。フォードが両部門をまとめて売却したがっている理由もそこにある。
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