Dexter Roberts (BusinessWeek誌中国支局長、アジアニュース担当エディター)
米国時間2007年12月4日更新 「Chinese B-Schools Lift their Game」
かつて、上海の長江商学院で教えられていたケーススタディーは、米サウスウエスト航空(LUV)が最大手グループを急追するために使った戦略とか、ドイツ国内における独BMWのラインアップといった海外の企業をテーマにしたものがほとんどだった。
ところが近年は、中国飲料メーカーの杭州娃哈哈集団が国内で有名企業に成長した事例や、国内パソコンメーカーのレノボグループ(聯想集団)が海外進出に成功した事例など、中国人学生にとってもっと身近な事例を取り上げるようになっている。
海外事例が全く取り上げられなくなったわけではないが、中国のビジネススクールの優先順位が確かに変わりつつあるようだ。中国人学生が現場に出た時にすぐ役立てられるようなテーマを扱うカリキュラムが、ビジネススクールへの評判と評価を高める。そして、海外でMBA(経営学修士)を取得するよりも中国国内で学ぶことを選択する学生が増えている。
大手企業の採用担当253人に中国MBA調査
BusinessWeek中国支局は、中国のビジネススクールに関する第3回年次調査を行った。対象は、中国の華為技術(ファーウエイ・テクノロジーズ)、米ゼネラル・エレクトリック(GE)、フィンランドのノキア(NOK)など、大手企業の採用担当者253人である。
中国MBAプログラムが輩出するエリートを“優”または“良”と評価した回答者は34%にも上り、昨年の19%から大きく上昇した。MBA取得者の質は「どんどん良くなっている」と、米モルガン・スタンレー(MS)北京支社の人事担当マネジャー、マイク・ワン氏は言う。
今年、各企業はビジネススクール卒業生の採用枠を拡大している。待遇も驚くほど高水準だ。調査によれば、MBA取得者の平均採用人数は2006年に4人未満だったが、2007年は5人近くに増えた。初任給が月1000ドル以上と回答した企業は約29%にも上り、昨年の24%から増加している。さらに、一流ビジネススクール出身の社員に月2700ドル以上を支払っているとの回答は去年の3%に比べ7%超に上昇した。
調査はBusinessWeek中国支局が委託し、スウェーデンの雇用ブランドコンサルティング会社ユニベルサム・コミュニケーションズが実施した。中国MBAプログラムの「総合ランキング」と、マーケティング、分析、財務、経営の「分野別ランキング」をまとめた。
「中国の大学のMBAに対する評価はかなり高まっている」と、ユニベルサムのアジア太平洋担当副社長、ヘンリク・シュミット氏は言う。
中欧国際工商学院、北京大学、清華大学が3強
中国のビジネス教育は大きく進歩した。国内9校の大学でMBAプログラムが開始されたのはほんの16年前のことだが、今では96校の大学が230以上のMBAプログラムとエグゼクティブMBAプログラム(社会人向けのプログラム)を提供している。学費は1年コースで約3万2000ドルで、ほかの学位コースよりも高額だ。
過熱する中国経済が、中国国内はもちろん、海外でのビジネスチャンスを急速に拡大させている。それが、MBA取得者への需要を高めているのだ。中国政府は2008年に、ビジネススクールの定員を24%増やす計画で、新たに約30校にMBAプログラムの開設を認可する。
「ベスト・ビジネススクール」への投票は、ほんの一握りの大学に集中した。回答者の38%から最高のプログラムとして評価されたのは、上海市政府とEU(欧州連合)が共同出資した中欧国際工商学院(CEIBS)のプログラムである。北京大学が米大学コンソーシアムと共同で開催している国際MBA(BiMBA)は31%と僅差で第2位。また、約9%が中国の清華大学経済管理学院(SEM)と米マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院の共同プロジェクトを挙げた。
こうした著名なスクールには、少し前なら海外でMBAを取得することを選んだような中国でもトップクラスの学生が集まっている。中国経済が非常に好調であるために、国を離れてしまうと帰国した時に就職にマイナスになるかもしれないと懸念する学生が少なくないのだ。
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