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空港の長い列、我慢は続く

米運輸保安庁のお役所仕事がカイゼンを阻む

2008年1月8日(火)

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Rachael King (BusinessWeek.comサンフランシスコ支局記者)
Peter Burrows(BusinessWeek誌シニアライター、シリコンバレー)

米国時間2007年12月18日更新 「Airport Fast-Pass Moves Slowly

(この記事は3回連載の第2回です。米国の安全を守るための技術開発に際して、米国土安全保障省が抱える課題と可能性をリポートします)

 スティーブン・ブリル氏にとっては、イライラが“発明の母”だった。ジャーナリストであり、起業家でもあるブリル氏は5年前、2001年9月11日の同時多発テロに関する米国の対応について本を著したことがあり、頻繁にニューヨークとワシントンの間を行き来していた。

 空港のセキュリティーチェックの長い列で待っている間に、ブリル氏はもっと素早く済む方法に思いを巡らせた。そして後にニューズウィーク誌のコラムに、前もって審査を受けた人々に対して空港での審査を迅速に済ませるシステムを作ったらどうかと書いた。

 だが、そのアイデアを実現させるための“待ち時間”は、空港のセキュリティーチェックの長い列よりもはるかに長いものになった。

セキュリティーチェックの“高速レーン”を提案

 ブリル氏はベリファイド・アイデンティティー・パスという会社を設立し、雑誌のコラムで大まかに書いた着想に基づいて「クリア」というシステムを開発した。希望者は年間約100ドルを支払ってシステムに登録し、米国政府公認の審査を受け、自分が国家安全保障上危険な人物ではないことを証明する。それと引き換えに、空港のセキュリティーチェックでは“高速レーン”を利用できるという仕組みだ。

 クリアシステムは、米運輸保安庁(TSA:the Transportation Security Administration )が運営するプログラム「旅行者登録制度」に基づいている。ジョージ・ブッシュ米大統領が2002年、国土安全保障省(DHS:the Department of Homeland Security、運輸保安庁はその一組織)の設立を発表した際、まさに心に思い描いていたものだった。大統領は当時こう述べている。「(民間部門の)創造性に富む精神によって、情報システム、ワクチン、検知機器、そのほか米国の安全を保障する数々の革新的技術が日の目を見ることになるだろう」。

 しかし、公的部門と民間部門の円滑な協力は実際には難しい話だった。ブリル氏の率いる会社は、政府の仕事を獲得したほかの多くのハイテク企業と異なり、国土安全保障省から提供される資金を狙っていたのではなかった。ブリル氏は、米ゼネラル・エレクトリック(GE)の投資部門を含む投資家グループを組織し、11の空港でシステムを立ち上げるために必要な巨額の資金を準備した。

 ブリル氏がどうしても運輸保安庁から手に入れたかったのは「許可」――ほぼあらゆることについての許可――である。最も単純な決定を下す時にさえ顔を覗かせる官僚主義というものが、ブリル氏の会社のような小企業にとっては停滞をもたらし、技術革新を妨げ、収益に悪影響を及ぼす。「ビジネスにおいて最悪なのは、予想できないものがある時と、不確定要素がある時だ」とブリル氏は言う。

 クリアを巡る最大の不確定要素は、どこまで拡大できるかということと、待ち時間短縮の可能性をどこまで追求できるかということだ。プロジェクトは時に、当局の官僚的形式主義のために身動きが取れなくなった。運輸保安庁の後押しも不十分だったと、ブリル氏をはじめとする関係者は語る。運輸保安庁は旅行者登録制度の発足を「予定より遅れて、しぶしぶ進めた。議会や起業家からの催促でようやく動いた」と、7月の議会公聴会の証言記録でブリル氏は述べている。

革新的技術があっても実証試験の“長い列”で足止め

 今ではブリル氏は、批判的な態度を改めている。当局のプロジェクト進展のペースは一部で早まっていると言う。例えば、“高速レーン”で用いられる新技術のテストなどだ。だが、変化が起こるまでには長い時間がかかっている。それは、国土安全保障省と協力して仕事をしようとする小企業が出合う、様々なリスクと可能性を浮き彫りにする。

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