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米国本土が危ない(3)

長期的な視点が欠けている国土安全保障省の技術開発

2008年1月9日(水)

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Rachael King (BusinessWeek.com記者、サンフランシスコ)

米国時間2007年12月20日更新 「Is Homeland Security Too Focused on Now?

(この記事は3回連載の第3回です。米国の安全を守るための技術開発に際して、米国土安全保障省が抱える課題と可能性をリポートします)

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「米国本土が危ない」
「空港の長い列、我慢は続く」

 米アナロジック(ALOG)はもともと、主に医療機器向け高精度画像撮影技術の開発で知られる企業だった。

 2001年9月11日に同時多発テロが発生すると、すべての機内預け入れ荷物の検査を義務づける法案が成立した。「これを機に、我々の技術を活用する新たな需要が発生した」と、アナロジックのCEO(最高経営責任者)であるジム・グリーン氏は語る。2003年、同社に米国土安全保障省(DHS:the Department of Homeland Security)の運輸保安庁(TSA)から初めての研究開発助成金が交付された。

短期間で成果を出す研究開発に重点

 アナロジックは2年後にも追加資金を獲得し、高度な荷物検査システムを考案することになった。これには、1年という短い期限が設定されていた。当時アナロジックは、既に新システムの開発に取りかかっていた。心臓用CT(コンピューター断層撮影装置)スキャンに使用される技術を用いて、手荷物の中味を3次元画像で撮影するというものだ。助成金の獲得によって、システムをさらに高度化させることができた。

 TSAはアナロジックの成果に満足し、10月に760万ドルで12セットを購入することに合意した。このシステムが設置されれば、搭乗客はいちいちバッグからラップトップコンピューターを取り出さなくても、空港のセキュリティーチェックを通過できるようになる。

 国土安全保障省には、短期間で成果を上げられる研究開発に多くの予算を割く傾向がある。アナロジックの場合は、それが実を結んだわけだ。

 「当然ながら、国土安全保障省は実効性のある国家安全保障技術を直ちに実現させなければならないというプレッシャーにさらされている」と語るのは、非営利団体である全米科学振興協会の研究開発予算・政策プログラム担当ディレクター、ケイ・コイズミ氏だ。

 国土安全保障省の協力企業の中には、同省のフットワークの悪さやお粗末な支援体制に不満を募らせている企業もある(BusinessWeekチャンネルの記事を参照:2008年1月8日「空港の長い列、我慢は続く」)。アナロジックは、同省の短期的成果を重視する姿勢が成功した例だ。

最大の脅威は「核」によるテロ攻撃

 国土安全保障省の予算の大半は、科学・技術局と国内核物質探査局を通じて支出される研究費に充てられる。科学・技術局の2008年度予算要求額は7億9910万ドル。その5分の4を超える6億5650万ドルが、研究開発、試験、評価のために費やされる。さらにそのうち半分以上は、既存技術から新規技術への移行、あるいは3年以内に開発が可能な研究に振り向けられる。そのほか11%が2~5年を期限とする調査研究に充てられ、基礎研究や開発に8年以上を要する基礎科学分野に適用される予算は13%である。

 具体的にはどのような研究が行われているのだろうか。研究の大半は、生物・化学兵器、放射性物質、核物質の脅威への対策を目的としている。同省の前監察総監クラーク・アービン氏は、核によるテロ攻撃が米国にとって最大の脅威だと考えている。もし核攻撃を受ければ、「その経済的衝撃は同時多発テロをしのぐ規模となり、何十年もの間、この国は破綻状態に陥るだろう」と懸念する。

 生物・化学兵器対策のための予算要求額は約2億2900万ドル。食料汚染の検知や、建物内に設置できる生体有害物質の廉価版センサーの開発プロジェクトなどが含まれる。

 核物質に関する研究については、国内核物質探査局の予算枠で行われる。同局の予算は科学・技術局とは別になっており、2008年度には核物質の調査、検出、および核利用のために3億2000万ドルを要求している。

 生物・化学兵器や放射性物質に対する防衛策の1つとして、「CELL-ALL」と呼ばれるプロジェクトが進められている。携帯電話のような一般に普及した機器に、小型センサーを組み込むという短期プロジェクトだ。警察、消防をはじめとする緊急時対応要員、あるいは一般市民までもが、生物・化学兵器や放射性物質の感知機能を備えた携帯電話を持ち運べるようになる。

 国土安全保障省の先端研究計画局は2月中に開発企業を選定し、300万ドルの助成金を交付する。1年以内に初期のプロトタイプの研究室レベルのテストを開始したい意向だ。

大学の研究機関はカヤの外に置いてきた国土安全保障省

 ワシントンに本拠を置く米ジェンタグは、この助成金の申請を行っている会社の1つだ。10年ほど前からこのアイデアに取り組んでいる。センサーの読み取り機として携帯電話を使用するという構想については特許も取得している。このセンサーは携帯電話に搭載でき、不要になったら廃棄することもできる。

 「政府の要請があれば、我々は18カ月でこの技術を実現できると考えている。技術的に必要な要素は既に揃っている」と創立者ジョン・ピーターズ氏は言う。ジェンタグは同じく助成金を申請する企業との連携を進めており、放射性物質、生物・化学兵器のセンサーを統合して携帯電話に組み込めるという。

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