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空き家、荒れ放題

差し押さえた抵当物件を銀行は放置

2008年1月15日(火)

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Michael Orey (BusinessWeek誌、企業取材担当)

米国時間2008年1月3日更新 「Dirty Deeds

 12月17日、窓のない米ニューヨーク州バッファロー市の法廷で、市の検察官シンディ・T・クーパー氏は、10人余りのスーツ姿の男たちの間をせわしなく動き回り交渉に当たっていた。

 「玄関に打ち付けてある板を外して、家の中をきれいにしてください。すぐに全部修理をしてもらえれば、罰金は科しません」と1人に言う。別の男には「雨樋が直っていませんでしたね」と言って、作業の領収証を見せるように言う。

 この日はヘンリー・J・ノワック判事の住宅法廷における“銀行の日”だ。いつものは大家と借家人が立ち退きや家賃滞納を巡ってやり合う場だが、この日の相手は米シティファイナンシャル(C)、米JPモルガン・チェース(JPM)、米カントリーワイド・ファイナンシャル(CFC)など大手金融機関の弁護士だ。クーパー氏は彼らに対し、はげかけたペンキや壊れた壁、草ぼうぼうでごみの山となった庭などの問題を解決するよう求めている。問題の住宅の保守管理責任は銀行にある、というのが市の主張だ。

 この地方法廷に、大手金融サービス各社が呼び出されているのは少々異様な光景だ。それもそのはず。クーパー氏とノワック氏は、ある厄介な問題に対処するため、先頭に立って前例のない取り組みをしているのである。その問題とは、住宅ローン市場の崩壊による空き家や放置住宅の急増である。

ローン焦げ付きで放置された“空き家”が急増

 空き家が発生するのは、債務不履行の借り手に対し貸し手が差し押さえ訴訟を起こす場合だ。訴訟の可能性をほのめかす通知だけで退去する居住者が多い。バッファローをはじめとするラストベルト(斜陽化した重工業地帯)の各都市では、この問題はとりわけ深刻化している。住宅の価値が低すぎて所有権を主張する価値がないと銀行側が判断し、空き家をそのまま放置することが多いためだ。

 市当局が壊れかけた住宅の責任を問おうとすると、住宅所有者と銀行の責任のなすり合いになりがちだ。実際そうした住宅は、オハイオ州クリーブランドの住宅専門弁護士カーミット・J・リンド氏が“有害な所有権”と呼ぶ、法的に曖昧な状態に陥っている。不動産の正式な所有権は退去した借り手にあるものの、抵当権を持っているのは銀行なのだ。

 そこで、税金の支払いや保守管理の責任は誰にあるかという議論が生まれてくる。差し押さえが完了していても貸し手が住宅を放置し、税金未納で市の差し押さえになる場合もある。だがそれまでには何年もかかる。放置された住宅は急速に荒廃する。時には室内を荒らしたり、中で火を燃やしたり、スクラップとして売り飛ばそうと配線や配管を略奪する者もいて、劣化に拍車がかかる。ホームレスに占拠されたり麻薬密売所に使われたりすることもある。

 その影響は住宅所有者の債務不履行よりもはるかに深刻だ。近隣住民や地域全体にも環境悪化が広がっていくからだ。空き家が増えると、都市の税収が減るうえに保守管理に何千ドルもかかる。米テンプル大学フィラデルフィア校が2001年に実施した調査によると、放置住宅から150フィート以内の近隣の住宅価値は7600ドル下がるとの結果が出ている。

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