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影の石油メジャー

知られざるシュルンベルジェの実像

2008年1月17日(木)

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Stanley Reed (BusinessWeek誌、ロンドン支局長)

米国時間2008年1月3日更新 「The Stealth Oil Giant

 ロシア石油大手ロスネフチの採油所「レンピスコエ区画1b」は、モスクワの北東1200マイル、延々と続く常緑樹と樺の森の中に雪に覆われた荒涼の地にある。

 37人の作業員は簡素なトレーラーハウスに寝泊まりしている。トイレは金属製の掘っ立て小屋の下に穴を掘っただけ。冬には気温は華氏40度(摂氏4.4度)よりも上がることがない。春になり雪が溶けると辺り一面は沼地と化し、蚊が大発生する。作業員は掘削装置でシベリアの凍てつく大地を次から次へと深く掘り下げていく。風と寒さをしのぐため、掘削装置の周りを緑の防水シートで覆って作業を進める。

 ここでの掘削プロジェクトを請け負っているのが、仏パリと米ヒューストンに本社を置く多国籍油田サービス大手のシュルンベルジェ(SLB)であることを示すものはあまりない。ほぼ全員が、掘削装置を保有するロシアの子会社の緑のジャケットとオーバーオールを着用しており、親会社である外資企業との関係は外見からは知ることができない。

 最近役員の1人が、ロシアの子会社の名前をシュルンベルジェに変えたらどうかと提案したが、ロシア支社はそれを拒否した。「何かの得になるとは思えない。ロシアの地元企業らしくしていればいいのだ」と、シュルンベルジェ・ロシア社長のモーリス・ディジョル氏は言う。

目立っても何の利益にもならない

 シュルンベルジェはロシアにすっかり溶け込んでいる。油田開発サービスの先駆者として世界的に名高い会社だが、そのことを前面には出さない。ロシアでの事業拡大は、2004年に買収したロシア企業3社をうまく使うことで成功してきた。それぞれの会社で業務の改善は行ったが、ロシア企業独特の素朴な持ち味を損なわない程度の改革にとどめ、昔からの会社のイメージを存続させた。シュルンベルジェは「何でも西側が一番だなどとは考えていない」と、ロシアでの掘削業務を率いるがっしりとした英国人、ロブ・ホエーリー氏は言う。

 目立っても何の利益にもならない。シュルンベルジェは地元の子会社を通してサービスを提供することで業績を伸ばしてきた。英蘭ロイヤル・ダッチ・シェル(RDS)と英BP(BP)にはロシア政府の圧力がかかり、シベリアとサハリンの大規模な石油・ガス田の権益を国営のガスプロムへ譲渡せざるを得なくなった。それとは対象的だ。ガスプロムはシュルンベルジェの得意先である。

 シュルンベルジェがロシアに抱える従業員は1万4000人。昨年のロシアでの収益は15億ドル以上と、2004年から3倍に増加した。「当社にとってロシアはやがて(現在収益の約3割を占める)米国と同じくらい重要な市場になるだろう」とCEO(最高経営責任者)のアンドリュー・F・グールド氏は言う。グールド氏はパリ在住数十年の英国人だ。

なくてはならない“影の石油メジャー”

 シュルンベルジェは“影の石油メジャー”と言えるだろう。世界の原油探査で新聞紙面を賑わすのは、米エクソンモービル(XOM)、米シェブロン(CVX)、BPといった巨大石油会社だ。しかし、シュルンベルジェの存在なくして石油メジャー各社の成功はない。シュルンベルジェは顧客のために地表から何千フィートも下の油層を探し出す。コンピューターの画面に地層の画像を映し出して、最も原油が豊富な層にドリルの先端を進めるのである。

 シュルンベルジェは世界的な石油争奪戦の流れの変化にいち早く気づいた。今はその変化の一角を担っている。同社は石油メジャーの最も強力なライバルである各国の国営石油企業との結びつきを強めている。

 また、ヘッジファンドやプライベートエクイティ(非上場株)投資会社など、小規模な新規参入者にも協力している。例えば、米ダラス郊外では、米ニューヨークのヘッジファンド、オク・ジフ・キャピタル・マネジメント・グループの発注で、ガス井を6本掘った。

 石油メジャーは通常、開発を手がける油田の資源に対する権利を要求し、利益の分配を求める。一方シュルンベルジェは契約ベースで業務を請け負い、決まった契約額を受け取るだけで満足してきた。「シュルンベルジェはなくてはならない会社だ。主要産油国の大規模なプロジェクトにはすべて関わっている」と、米ワシントンのコンサルティング会社PFCエナジー会長のJ・ロビンソン・ウエスト氏は言う。

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