Manjeet Kripalani (BusinessWeek誌、ムンバイ支局長)
Nandini Lakshman (BusinessWeek誌、ムンバイ支局記者)
米国時間2008年1月10日更新 「Tata Unveils the World's Cheapest Car」
高度な技術とその小ささから“微小”を意味する名がついた「Nano(ナノ)」は、可愛らしい形をした最新の4ドア小型車だ。
排気量は623cc、燃費は1ガロン当たり50マイル(約21キロメートル/リットル)で、最大5人乗り。インド国内の排出ガス基準に適合しており、まもなく欧州基準にも対応する。最も近い競合車であるスズキの「Maruti 800(マルチ800)」と比べて車長は8%短いが、室内長では21%上回る。
税抜き価格2500ドル(付加価値税込みだと約300ドル増し)は世界最安値だ。西ベンガル州シングールに建設中のタタ・モーターズ(TTM)の工場で組み立てられ、この秋からインドの穴ぼこだらけの道路を走ることになる。
「日本が30年かかったことを、タタは4年で成し遂げた」
「国民車」を謳うナノは、タタ・グループ総帥のラタン・タタ会長の長年の夢であり、世界の自動車産業を大きく変える存在だ。「ナノの登場でインドの世界進出が始まる」と、新興国市場向け自動車コンサルティング会社セグメント・ワイ(本社:ゴア州)で事業開発部門の責任者を務めるフィオナ・プリムス氏は言う。「日本のメーカーが30年かかったことを、タタは4年で成し遂げた。これで業界全体が変わるだろう」。
競合他社も賛辞を惜しまない。「インド産業界にとって記念すべき日。インドが誇るべき日だ」と、大手二輪車メーカー、TVSモーターのベヌ・スリニバサン会長は称賛する。「ラタン・タタ氏には新たな事業モデル創出の展望がある。否定派は心配しているが、ナノは革新的な車だ」。
ナノは1月10日、ニューデリーで開幕した2年に1度の「第9回オートエキスポ2008」で初公開された。その熱気を見ても、ナノは業界の期待を超える製品のようだ。タタ・モーターズはトラックやSUV(多目的スポーツ車)、国内売上第2位の小型車「Indica(インディカ)」を製造している。ナノ開発に着手してからの4年間、同社は国内外の競合企業からの“本当に実現できるのか”という懐疑と不信の目に耐えてきた(BusinessWeek.comの記事を参照:2008年1月3日「My Other Car Is a Tata」)。
農村部や郊外での移動手段に変革をもたらす
先週だけでも、国内で競合するバジャージ・オートが2700ドルでにわか作りの試作車を発表。またスズキ(7269.T)の鈴木修会長からは、インド市場では2500ドル車の需要はないとの発言があった(BusinessWeekチャンネルの記事を参照:2007年12月14日「インド低価格車戦争の行方」)。世界の自動車メーカーや報道機関は、国際的な環境基準や安全基準を満たせるのか、また低価格車の登場でインドの道路渋滞がさらに悪化するのではないかとの疑問を呈していた。
その間もラタン・タタ氏は動じることがなかった。鉄からゴムまで資材価格が高騰する中、目標期限や価格を達成できるかどうか、自身も不安を抱いていたにもかかわらずだ。
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