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出井伸之の新たな挑戦

“日本株式会社”の旧弊をぶっ壊す

2008年1月31日(木)

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Kenji Hall (BusinessWeek誌、東京支局テクノロジー担当記者)

米国時間2008年1月23日更新 「Nobuyuki Idei's Second Act

 出井伸之氏(70歳)の机の上では、ファイルフォルダーや本の山が崩れ落ちそうになっている。キャビネットの前には、何週間も前から手つかずの箱がずらりと並ぶ。箱の中身は、2005年にソニー(SNE)のCEO(最高経営責任者)の座をハワード・ストリンガー氏に譲った後も本社に残しておいたファイルだ。現在もソニーの経営諮問委員を務める出井氏の引っ越しはなかなか終わらなかった。

 新しいオフィスは古巣から電車で30分しか離れていないが、ソニー本社とは別世界だ。丸の内の東京銀行協会ビル上層にあるこじんまりとした空間で、創業8カ月の「クオンタムリープ」の名がロゴと共に重厚なドアに掲げられている。

 細かく仕切られた手前の部屋を過ぎると、奥に小さな会議室がある。出井氏の部屋には大きな黒革のソファと、その上には細分パネルでエンパイア・ステート・ビルを表したポップアート。部屋の散らかり具合が、片づける暇もないほど忙しいことを物語っている。

 ソニー引退後も悠々自適どころではない。2年前に私財を投入してクオンタム・リープを設立した。具体的にいくら費やしたかは明かそうとしないが、事務所を構え、9人のスタッフを雇っている。日々の細かい仕事は部下に任せ、人と会ったり、会議やディナーパーティー、海外出張へと飛び回る。趣味のゴルフはごくたまにしか楽しめない。

“日本株式会社”の硬直した序列関係をぶっ壊す

 クオンタムリープはそのウェブサイトで、「新しい事業や産業を創出する」と宣言している。具体的にどういうことなのか出井氏に尋ねると、大笑いしながら「そんなことは説明できない」と言う。「東京にシリコンバレーを再現できればいいなと思う。個人的には、環境に優しい新技術事業の発掘、融資などを率先して行っている」とイメージを語った。

 出井氏はずっと経営管理指導者、経営戦略の相談役として本領を発揮してきた。しかし、現在の最大の目標は、ベンチャー投資家が投資から得る収入が米国の10分の1にすぎない日本の現状を直視し、長年にわたって新規事業の参入を妨げてきた日本の社会的障壁を打ち破ることだと言う。

 出井氏の最大の役割は“仲介役”だ。日本の家電ブランド最大手ソニーの舵取り役を10年務めた同氏には、各界のトップたちとの交友がある。歴代の首相と共に海外へ飛び、ハリウッドの上流階級と親しくつき合い、世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)では各国の指導者や著名人と親交を深めた。政財界に影響を及ぼす経団連の副会長を務めたこともある。

 業績不振と国内競争力の低迷に苦しんだソニーの暗黒時代のトップとしてバッシングを受けてもなお、人を引きつける出井氏の“ソフトパワー”は抜群だ。日本のハイテク企業のほか、米国やインドのベンチャー投資会社で顧問を務める。米コンサルティング会社のアクセンチュア(ACN)や中国ネット検索大手の百度(バイドゥ、BIDU)ほか数社で社外取締役の座に就いている。

 2007年11月末には、ドバイ首長国の君主も投資している130億ドル規模の政府系ファンド、ドバイ・インターナショナル・キャピタルに顧問として迎えられるなど、財界との繋がりはますます強まるばかりだ(顧問就任は同ファンドが相当数のソニー株を購入してからわずか3日後のことだったが、出井氏は関連を否定し、同社のアジアでの投資に関して助言していると説明している)。

低落する日本の競争力に危機感

 出井氏ほど高名な人物なら、電話一本で新興企業の運命を一転させ苦境から救うことができそうにも思える。しかし日本ではそうはいかない。ソニー時代には、新参の小企業にまで気を回すことはなかったと自身も認めている。日本のビジネス規範は杓子定規で、シリコンバレーにいるような初期投資家は存在しない。ソニーを去って初めて気づいたのは、ソニーのような腰の重い大企業こそ改革を進めなければならないということだ。

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