サブプライム危機に苦しむ米銀に、もう1つの危機が迫っている。
住宅価値を担保にしたホームエクイティローンが不良債権化しているのだ。
米国経済を牽引してきた個人消費も、いよいよ危うくなってきた。
サブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)が大手米銀の巨額損失の主犯とされるが、実は混乱の陰に隠れた問題がもう1つある。ホームエクイティローンだ。
不動産価格の高騰で、米国人は自宅のエクイティ(純資産額)を担保に借り入れを増やし、新車購入や家の改築資金にまで回した。ホームエクイティは個人消費の大きな原動力だったのだ。
だが、住宅市場の混乱と不動産価格の下落により、ホームエクイティローン関連事業に綻びが見えてきた。
延滞急増で銀行に新たな打撃

2007年1〜9月に147億ドル以上の関連ローンで返済が延滞、過去10年で最悪の水準となった。「サブプライムに続く業界最大の問題がホームエクイティローンだ」と証券会社キーフ・ブリュイエット・アンド・ウッズのアナリスト、フレデリック・キャノン氏は言う。
さらに問題なのは、8500億ドル規模の同市場の悪化がもたらす痛みに防衛策が見当たらないことだ。住宅ローンの貸し手には、融資対象物件に対する第1位の抵当権が設定されるため、抵当流れの場合は不動産を売れば一部資金を回収できる。だが、ホームエクイティローンには現物の担保がない。
大手銀行JPモルガン・チェースや米貯蓄貸し付けワシントン・ミューチュアル、米住宅金融最大手カントリーワイド・ファイナンシャルは既に打撃を受けている。JPモルガンは1月、2007年10〜12月期にホームエクイティローンの貸倒引当金として3億9500万ドルを積み増すと発表した。これに対してサブプライムの引当金は1億2500万ドル程度だ。
ワシントン・ミューチュアルではホームエクイティローン及び与信枠(ラインオブクレジット)の不良債権が2006年末から130%増加し、9億6700万ドルの追加損失計上を余儀なくされた。サブプライム問題の影響をおおむね回避してきた優良行も痛手を被り、米ウェルズ・ファーゴは最近、主にホームエクイティローンの損失から14億ドルの評価損を計上した。
最近まで、ホームエクイティローンの大半は与信枠の形で提供されていた。借り手は住宅のエクイティを現金化してクレジットカードの返済などに充てることができた。だが、好況が続き、不動産価格が青天井で高騰していくと、銀行は住宅購入者が頭金に利用できる第2抵当(ピギーバックローン)を提供するようになる。
これで住宅購入者は本来支払えるはずのない大きな住宅を購入できることになった。審査基準などないも同然で、住宅購入者は不動産価値を上回る融資を受けた。業界紙インサイド・モーゲージ・ファイナンスによると、2006年にはこの種の融資がホームエクイティ市場の14.4%を占めるまでに至った。
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