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中国の海賊版市場規模を追え!

2008年2月20日(水)

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中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす

中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす』遠藤誉著、日経BP社、1700円(税別) 発売中

 これまで本連載では、安価な海賊版の普及により日本動漫が中国の若者や子どもの間に広まっていった、と何度も記してきた。ただし、それは取材などを通じて私自身が感じた、まさに感覚的な仮説であり、数字で完全に立証できたわけではない。

 はたして、中国の動漫海賊版市場はどのくらいの規模なのだろうか?

 私自身、もともと経済を研究対象としているわけではないので、「市場」だの「経営」だのといった用語が苦手で、そんな言葉が出てくるとどうも戸惑うのである。長年留学生の世話をしてきたということもあり、中国に関しては、人材育成の観点から調査や研究を続けてきた。ゆえに中国の教育問題に関してなら、まぁ、一応こなせるつもりだが、しかし「市場」となると、そうはいかない。

 さて、どこから手をつけようか。何せ相手は「海賊版」である。正規の数字がない、というのが前提だ。ウェブでちょこちょこ検索しても限界はあろう。ともかく、手当たり次第に生データをあさってみた。

電話をかけてもかけても「そのデータはありません」

 海賊版、ということで最初に連想したのが著作権侵害の絡みで数字がないだろうか、ということだ。手始めに日本の著作権協会関係者に電話してみた。すると、「海賊版という不特定多数に関する著作権侵害に関しては承知してないし、また中国における日本動漫の海賊版の規模と限定した対象になると、なおさらだ」という回答が戻ってきた。

 次に日本動漫に関しての海賊版なのだから、直接の被害者であるはずの日本漫画家協会なら知っているかもしれないと思って、そこに聞いてみることにした。しかし、ここでも「そういうデータは持ってない」とのこと。「何なら会長の松本零士さんが著作権の代表を務めておりますので、そちらにつなぎましょうか」と助言いただいたが、まさか松本零士氏のような大家に日本動漫の海賊版市場規模などをお聞きするわけにはいかない。いくらなんでも失礼だろう。「いえ、そこまでは、申し訳ないですから」と遠慮すると、「それでしたら、日本著作者団体協議会に聞くといいかもしれません」と電話番号を教えくれた。

 残念ながら日本著作者団体協議会にもデータはなかった。日本動画協会なら持っているかもしれないと教えていただき、今度はそちらに連絡。どの団体の皆さんもとても親切に対応してくださったのだが、海賊版市場に関するデータはどこにもなかった。

 思いあぐねて、今度は“ど真ん中”に電話で連絡をいれてみた。JETRO(日本貿易振興協会)の北京事務所である。

 「さあ、そういうデータはないですね」
 うーむ、こちらもか……。
 「ただ、中国の国家版権局のホームページには、いくらかのデータは出ていますけど」

 国家版権局のデータなら、すでにこちらも調査済み。そもそも同局のデータは日本という国を特別に取り出して扱ってないので、こうして日本側関係者に聞いているわけだし……。

 それなら日本の中央省庁、経済産業省はどうだろう。その代表に電話して趣旨を話したが、「さあ、本省では、そういうことは扱っておりませんので、つなぎようがございません」とオペレータ嬢は電話を切った。

 いったい何本電話をしたことだろう。さすがに疲れた。疲れた頭でぼおっと考えた。
 なぜだ、なぜなんだろう。

 日本のメディアでは、現在、中国における海賊版の横行にきびしい報道がされている。日本の関係者たちも憤りの声を載せている。なのに、なぜ日本側の版権関係者が誰も肝心の「日本動漫の中国海賊版市場」に関するデータを持ち合わせてないのか。日本は、自分が被害に遭いながら、それに関して愚痴は言うけれど、基本的に無頓着というか、寛大なのだろうか。その寛大さが海賊版市場の拡大を助長したのかもしれない。しかしいくらなんでも、JETROの北京事務所ならばこういう情報に一番近いところにあり、持っているのではないかと期待したのだが……。

 本部ならどうだろうか。中国関係なのだから北京事務所だろうと思ったが、今度はJETRO本部に連絡してみた。以前、知財課を新設すると聞いたことがある。代表に電話してみると、案の定「知財課」があり、そこにつないでくれた。ただ、海外における日本コンテンツの侵害に関しては、CODAという組織の事務局が知財課に置かれるようになり、そこが扱っているという情報を得た。

 CODAというのは、Content Overseas Distribution Association(コンテンツ海外流通促進機構)の頭文字を取った略称だそうだ。ホームページの組織紹介によれば「海外における海賊版対策を講じていくため、経済産業省や文化庁の呼び掛けで設立された民間組織」であるという。早速そちらにつないでもらうと、CODA事務局がごく最近記者発表したばかりのデータがあると教えてくれた。

ついに見つけた海賊版市場規模の手がかり

 2007年6月13日に発表したそのデータによれば、中国(大陸)、香港、台湾を対象として現地政府取締機関と共同で計3587件の日本コンテンツ取締活動を実施したところ、「2005年1月から2007年4月までの2年4ヵ月間で、映画、アニメ、音楽、ゲームなどのDVD、VCD、CD約374万枚の海賊版を押収。逮捕者は延べ1242名。1枚当たりの市場価格を仮に1300円とすると、押収物の総額は48億6000万円に上る」とのこと。

 CODAは、これは情報の一部であり、もし動漫関係に限るというなら、少し古くなるかもしれないが、文化庁の著作権情報センターがデータを持っていると思うので、そちらに連絡してみるといいでしょう、と付け加えてくれた。

 ありがたい。私はすぐに著作権情報センターに電話をかけた。
 「ああ、その手の数字ならば、ありますよ」
 あった! 遂に見つけた!

 データはここにあった。しかも独自に調べたものである。少々古いのと、ある方程式を用いて算出された「試算」に基づく数値ではあるものの、著作権情報センターに付設されている著作権研究所が中心となって大きなプロジェクトを組み、学術的に調べて出てきたデータだ。信頼性はかなり高い。

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「中国の海賊版市場規模を追え!」の著者

遠藤 誉

遠藤 誉(えんどう・ほまれ)

筑波大学名誉教授

1941年、中国長春市生まれ、1953年帰国。理学博士。中国で国務院西部開発弁工室人材開発法規組人材開発顧問、日本では内閣府総合科学技術会議専門委員などを歴任。2児の母、孫2人。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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