Manjeet Kripalani (BusinessWeek誌、インド支局長)
米国時間2008年2月15日更新 「Zero Hour for India's Tech Companies」
インドの大手IT(情報技術)企業にとって、危機はすぐそこに迫っている。収益と市場シェアの低迷を克服し、ビジネスモデルを見直さなければならないのだ。ムンバイで開催中のインド・ソフトウエア・サービス協会(NASSCOM)の年次大会でも、話題はただ1つ。
「インドのIT企業は、いつになったら単なる後方支援業務から脱却し、米IBM(IBM)や米アクセンチュア(ACN)といったグローバル企業と肩を並べられるようになるのか?」
それこそが2月13日の基調講演で、インドのマヒンドラ・アンド・マヒンドラ(MAHM.BO)のアナンド・マヒンドラCEO(最高経営責任者)が突きつけた課題だった。マヒンドラ社はトラクター製造では国内最大手で、英ブリティッシュ・テレコミュニケーションズと共同で設立したIT関連会社テック・マヒンドラも堅調な業績を上げている。
マヒンドラ氏は演説の中でIT業界がグローバル化の波を巻き起こしたことを称えた後、穏やかだがきっぱりとした口調で、インド企業が自力でイノベーションや改革に取り組めていないことに苦言を呈した。「問題の原因は、我々の姿勢が及び腰なことだ。改革と再編、そして危機的状況への対処の見直しが必要だ」と訴える。
その頭文字から“SWITCH”と称されるインドのソフトウエア企業上位6社――サティヤム・コンピュータ・サービス、ウィプロ(WIT)、インフォシス・テクノロジーズ(INFY)、タタ・コンサルタンシー・サービシズ(TSYS)、米コグニザント・テクノロジー・ソリューションズ(CTSH)、HCLテクノロジーズ(LAVA)――はここ数年、その高品質・低コストのソフトウエアやIT関連サービスで、世界のIT市場に殴り込みをかけてきた。その結果、インドに新たな希望をもたらし、国の成長の牽引役となったのである。
IBMやアクセンチュア、米EDSなど、それまで高価な商品やサービスで市場を独占してきた大手企業は、インド企業に顧客を奪われた。技術を高度化させていくSWITCH各社に伍していくのはほぼ不可能に思われた。
現地の手法と従来の強みが融合
とはいえNASSCOM大会では、「インド企業は期待されたほどの進化を遂げていない(BusinessWeekチャンネルの記事を参照:2007年8月24日「アウトソーシング大国、インドの岐路」)」という声も多く上がった。
インド企業は複数の外国企業を買収したものの、ほとんどがごく小規模なものだった。IT事業の多くはインド国内に拠点を置き、国内の有能な技術者を数多く採用していた。
一方、IBMなどの競合企業はインドに進出し(BusinessWeek.comの記事を参照:2007年8月23日「IBM: Star of India」)、インド企業の手法をまねて、さらに従来からの強みであるコンサルティング業務と融合させた。これがインドのみならず世界規模での新規顧客の開拓につながった。
目下、インドIT業界は予期せぬ新たな事態に直面している。ルピー高、不動産及び人件費の高騰、そして深刻な人材不足だ。収益の60%近くを依存する最大市場の米国は景気後退の危機に瀕しており、IT部門への支出は減少すると見られている。もはやIT部門は、インドの成長を促す唯一の原動力でもなければ、唯一の花形部門でもない。代わって金融サービス、製造、最近ではインフラ事業などが基幹産業となりつつある。
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