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IBMリサーチ、失敗覚悟の新戦略

4つの有望分野の研究に絞り込み、大勝負に出る

2008年3月11日(火)

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Steve Hamm (BusinessWeek誌シニアライター、ニューヨーク)

米国時間2008年2月28日更新 「Big Blue Goes for the Big Win

 雪の降る2月のある日、ニューヨーク州ヨークタウンハイツにある米IBMの研究所。小さな会議室に現れたジョン・E・ケリー3世氏が、同社の研究開発部門であるIBMリサーチの今後について語った。IBM歴27年の同氏は、IBMリサーチを統轄するディレクターを昨年7月から務めている。

 IBMリサーチは企業の基礎研究部門としては今の時点でも世界屈指と評されるのだが、ケリー氏の頭の中には大きな変革を実行するという構想がある。自らの口でその構想を公に話すのは今回が初めてだ。

 「今よりもっと大胆な行動に出て、果敢に挑戦する必要がある。3回に1回は失敗するくらいでないと、チャレンジしたとは言えない。その代わり、勝つ時には、派手に勝つ」と氏は話す。

 ケリー氏が目指す変革とはまず、研究対象を広げるのではなく、4つの研究プロジェクトに集中して最優先で取り組むこと。ただし、その4つへの投資額は莫大だ。今後2~3年で、各プロジェクトに1億ドルずつを投入。それぞれから10億ドルを超える売り上げを生み出したいと考えている。

 選択した4つのプロジェクトとは、(1)現在の半導体に代わる次世代半導体の考案、(2)データ処理効率を大幅に向上できるコンピューターの設計、(3)数学の応用による複雑なビジネス問題の解決、(4)膨大な数のコンピューターを連携させて1台のコンピューターのように動作させる技術“クラウドコンピューティング”だ。この取り組みの核として、物理学や化学、数学など、基礎的な学術研究にいっそう重きを置く。

コラボレーション(協力)とラボラトリー(研究所)の融合

 ケリー氏による変革のもう1つの柱は、研究の進め方の見直しだ。現在同社は、世界8カ所に研究所があり、3200人の研究者を擁している。この10年間は新しい研究所を開設していない。ケリー氏は、各国政府や他企業、独立系研究機関と提携して、新たな研究所を合弁で開設していきたいという考えだ。コラボレーション(協力)とラボラトリー(研究所)をもじって“コラボラトリー”と氏は呼ぶ。

 実際、2月26日には、ナノテクノロジーをテーマとした研究所をサウジアラビアとの合弁で設立することが発表された。IBMは自社の人員やリソースをうまく活用し、他組織からも学ぶ必要があるとケリー氏は考える。

 「研究というものの本質が変わりつつある。優れた発想はあちこちで生まれている。旧態依然とした大企業的な進め方にこだわるのをやめて、相乗効果につながる協力関係の構築を目指すことが必要だ」(ケリー氏)。

 こうした取り組みを、ケリー氏は研究費を急増させずに進めようとしている。IBMは研究予算を公表していないが、氏によると、IBMの売り上げに合わせて1ケタ台の伸びになるという。IBMが新製品の研究開発に投じる費用は、年間総額60億ドルを超える。

 ケリー氏の動向には大きな注目が集まる。基礎研究に投資を続けるIBMのような例は、古参の企業の中では数少ない。他社では縮小の憂き目に遭っている。例えば、かつてその名を馳せたベル研究所は、仏アルカテル・ルーセント(ALU)傘下となった現在、見る影もない。

 研究開発の専門雑誌「R&Dマガジン」の編集長、ティム・シュトゥット氏は、「衰えずに力を持ち続けているのはIBMだけだ」と話す。同誌は昨年、米の研究開発企業ランキングでIBMを1位とした。米国の特許取得件数では、IBMは14年連続でトップの座にある。

先頭を走るものの、今後も攻めの一手

 しかし、IBMも安穏としてはいられない状況をケリー氏も心得ている。米マイクロソフト(MSFT)や米グーグル(GOOG)は研究に巨額の投資を行っている。マイクロソフトは昨年、米特許取得件数が第6位となった。初のトップ10入りだ。ケリー氏はこう話す。「これは競争だ。我々の背中を追う他社を尻目に、我々はさらに先を目指す」。

 IBMが1945年に最初の研究所を開設して以来、7代目のディレクターとなるケリー氏が研究者肌なのは父親譲りである。父はニューヨーク州ニスカユナにある米ゼネラル・エレクトリック(GE)の研究所の技術者だった。ケリー氏も子供の頃は、父の仕事場をよく訪れ、真空管を相手に奮闘するその姿を眺めていた。氏は後に、米レンセラー工科大学(ニューヨーク州アルバニー郊外)で材料工学の博士号を取得。IBMでは、主要な研究部門や半導体部門などの責任者を歴任した。

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