「Bloomberg Businessweek」

恐怖に震えるウォール街

ベアー・スターンズ救済で悪夢が終わりではない

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2008年3月31日(月)

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Matthew Goldstein (BusinessWeek誌、ヘッジファンド及び金融担当副編集長)
Emily Thornton (BusinessWeek誌、アソシエートエディター)
Mara Der Hovanesian (BusinessWeek誌、金融担当エディター)

2008年3月31日発行号カバーストーリー 「Street of Fear

 次から次へと危機に見舞われるウォール街――。まるで無人島を舞台にした米人気テレビドラマ「ロスト」の登場人物のようだ。最新の展開は3月中旬、米証券大手ベアー・スターンズ(BSC)の突然の経営危機。これを受けて株式市場は混乱したが、米連邦準備理事会(FRB)が米銀大手JPモルガン・チェース(JPM)によるベアー買収を後押ししたことで、一難去ったようだ。だが、サブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)の悪夢はまだまだ続く。

 「これで、米カントリーワイド・ファイナンシャル(CFC)とベアーという巨大企業2社が倒れた」と、米TCWガリレオ・トータル・リターン・ボンド・ファンド(TGLMX)のファンド・マネジャー、ジェフリー・ガンドラック氏は言う。主に住宅ローン担保証券(MBS)に投資する会社だ。「立ち行かなくなる企業はまだ出てくるだろう。市場の下降はまだ続いている」。

ハゲタカ投資家は、市場の底打ちを見極めようと傍観

 いつ霧が完全に晴れるのか分からない。まず、ベアーの買収自体がどうなるか不明だ。1株当たり2ドルという衝撃的に安い提示額を吊り上げようと、株主が粘るかもしれない(編集部注:1株2ドルから10ドルへと引き上げた追加報道はこちら)。また、ベアーがJPモルガンあるいは別の会社に買収されたとしても、信用市場が緩和されるわけではない。リスクの高いMBSには、FRB以外の買い手がいまだにつかない。ベアーの広報担当者はコメントを避けた。

 さらに、別の大手金融機関が危機に瀕した場合、買収に乗り出せる大手銀行はもはや残っていない。JPモルガンはベアーで手いっぱいだし、米シティグループ(C)、米バンク・オブ・アメリカ(BAC)、米メリルリンチ(MER)は、大型買収に必要な資金を持ち合わせていない。

 一方、何十億ドルもの手元資金を持つハゲタカ投資家は、市場の底打ちを見極めようと傍観に徹している。相場がもっと下落すると見ている証拠だ。「市場は回復する前に、さらなる悪化があるだろう」と、スイスの金融大手UBS(UBS)のアナリスト、グレン・ショア氏は警鐘を鳴らす。米サンフォード・C・バーンスタイン(AB)のアナリスト、ブラッド・ヒンツ氏は、市場の現状をこう例えている。「命の危機にこそ瀕していないが、北京五輪で短距離走に出場する準備はできていない」。

 楽観材料もあることはある。米証券大手リーマン・ブラザーズ(LEH)の株価は3月18日、決算発表で利益が予想を上回ったことを受けて46%上昇した。また十分な流動性が確保されていたことで、第2のベアーになるのではとの懸念は薄れた。

 米ゴールドマン・サックス(GS)と米モルガン・スタンレー(MS)も、第1四半期(2007年12月〜2008年2月)の業績がアナリスト予想を上回ったことで株価が急騰した。商品先物大手の米MFグローバル(MF)は、資金繰り難に陥っているのではと不安視する投資家に対し、資金は十分にあると説明した。

市場が抱える最大の問題は“恐れ”そのものかもしれない

 だが、ここ数カ月間に判断を早まって“火傷”を負った多くの投資家は、まだ状況を静観している。金融界のどこで次の危機が発生してもおかしくないからである。大手ヘッジファンドや投資銀行は、マージンコール(追加担保請求)や顧客の要求に応じるための資金繰りが急激に悪化する可能性がある。最近のFRBによる流動性供給策にもかかわらず、最もリスクの高いサブプライム関連証券を現金化するのは、いまだにほぼ不可能だ。

 さらに、個人消費や景気の減速を受け、シティグループ、米ワシントン・ミューチュアル(WM)、米ナショナル・シティ・コープ(NCC)などの銀行は、評価損の追加計上を迫られている。プライベートエクイティ(非公開株)投資会社は、買収案件の頓挫に備えている。最近の例では、米ラジオ大手クリア・チャンネル・コミュニケーションズ(CCU)やカナダの通信最大手BCEの買収案件が頓挫したままだ。

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