• ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

インド、チベット問題で沈黙

チベット亡命政府を抱えるインドの対応に世界が注目

2008年4月1日(火)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

Manjeet Kripalani (BusinessWeek誌、インド支局長)

米国時間2008年3月21日更新 「World Watches India's Response to Tibet

 インド北部ヒマーチャル・プラデーシュ州の丘陵地帯に広がる静かなダラムサラの町は、既に春を迎えている。空気は冷たいが、丘陵には花が咲き乱れている。

 600万人のチベット人の精神的指導者ダライ・ラマ14世は、カングラ渓谷を見下ろすこの町の小高い丘の頂上に立つ寺院で亡命生活を送っている。いつもなら静寂の中、チベット仏教僧が穏やかに唱える読経の声が遠くから聞こえてくるはずだ。

 だが今年、ダラムサラの静寂は無残に打ち砕かれた。3月7日にチベット自治区で始まった中国政府への抗議デモが大規模な暴動へと発展し、騒乱はチベット自治区の首都ラサから、隣接する甘粛省、四川省、青海省にまで拡大した。

 中国政府は軍隊を派遣して、武力で鎮圧を図り、チベット仏教最高指導者のダライ・ラマを騒動の首謀者として非難した。チベット自治区の張慶黎・共産党委員会書記は3月19日、ダライ・ラマを「袈裟を着た狼で、人面獣心の悪魔」と評し、中国は「流血をも厭わない覚悟」で戦い抜くと宣言した。

 こうした事態を受け、ダラムサラには数多くの亡命チベット人がダライ・ラマの元に集まり、夕闇の中、ロウソクを手にチベット独立を要求して中国への抗議デモを行い、中国の武力弾圧を阻止するようインド政府の介入を求めた。

 インド政府はこれまでのところ沈黙を守っているが、驚くには当たらない。与党の国民会議派(インド国民会議)は中国共産党からの支援を得て、その見返りに中国政府を支持しているのだ。マンモハン・シン首相、プラナーブ・ムカジー外相の2人が出した声明以外、インド政府は発言を控えている。

 シン首相は3月20日、ダライ・ラマ14世は「非暴力の象徴的存在」と発言した。だが、これはナンシー・ペロシ米下院議長(民主党、カリフォルニア州選出)がダライ・ラマ14世と会談するためにダラムサラを訪問後、ニューデリーに立ち寄った際にやむなく口にした言葉だった。

「インドは中国を恐れている」

 3月17日、ムカジー外相は議会で野党からの追及に対し、インド政府は事態を“憂慮・注視”しており、暴動の早期沈静化を望んでいると発言した。当局はその3日前、チベット自治区に向かって平和的なデモ行進を続けていた集団のうち14人を逮捕した。中国の温家宝首相は17日、この対応を「評価する」と語った。

 インド政府のこうした姿勢に対する失望感はインド国民の間で大きい。とりわけインドに亡命したチベット人は大いに落胆している。1990年中国政府によって投獄された後、チベット自治区を逃れインドに亡命したチベット仏教の高僧オーセル・リンポチェ氏は、「インドは中国を恐れているのだ」と失意をにじませた。

 インド人の多くもこうした意見に同意している。2月20日発行のインドの軍事専門誌「インディアン・ディフェンス・レビュー」の中で、カンワル・シバル元外務次官はインドの中国に対する恐れを認め、この恐怖は中国の勝利に終わった1962年の中印国境紛争に起因すると述べている。「あの国境紛争でインドの政治的、軍事的、心理的威信は傷つけられ(中略)、中国に対するインドの自信は打ち砕かれた」。

 インドが国境付近の軍備や経済開発をおろそかにしていた間に、中国は国境沿いに鉄道を建設し、派兵を容易にするための強固なインフラを着々と整備した。中国はカシミール地方の一部と、インド北東部アルナーチャル・プラデーシュ州の一部の領有権も主張している。

インド周辺諸国への影響力を強める中国

 この10年ほど、中国はインド周辺諸国への影響力を強め、インドを脅かしてきた。

 現在中国はミャンマーの最大の経済・政治的支援国となっている。パキスタンには原子炉、ウラン濃縮、核爆弾の設計、ミサイルといった核関連技術を提供している。さらに南部の町グワダルには港を建設中だ。ネパールに対しては、2005年の王制廃止で生じた空白に乗じて、製品・サービスの最大の供給国となった。バングラデシュに対しても、政治の混乱をついて影響力を強め、安価な中国製品を大量に輸出している。

 「中国のこうした動きにより、インドの地政学的な立場は脆弱になっている」と、ニューデリー在住の軍事アナリストでインド国防研究分析所(IDSA)前副所長のウダイ・バスカール氏は指摘する。

「Bloomberg Businessweek」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

面白い取り組みをしている会社と評判になれば、入社希望者が増える。その結果、技能伝承もできるはずだ。

山崎 悦次 山崎金属工業社長