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第5回 <A女>の影に潜む「隠婚族」の女たち

「仕事にマイナスになるから」結婚をひた隠す

2008年4月11日(金)

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 中国には「隠婚族」という言葉がある。意味は「隠れ結婚」。実は結婚しているが、職場には「未婚」として届け出ている者たちのことである。

 「剰女」(売れ残り女)だの「大齢未婚白領女士」(高齢未婚ホワイトカラー女史)だのと、いま「結婚できない<できる女>たち」=「A女」が社会問題化している中国において、なぜ結婚しているというのに、結婚してないような振りをする必要があるのか。この「隠婚族」の話題も「不婚セレブ族」や「大齢未婚白領女士」同様、中国の悩ましい現象として、ネットを賑わしている。

 2007年5月、「中国寧波網」(網はネット)というウェブサイトが、不特定多数の網友(ネットユーザー)に対して行った調査結果が報道された。それによれば、47%の者が「自分の身近に隠婚族がいる」と答えたという。その内の26%が隠婚族に対し不快感を示したが、残りの74%の者は「かまわない」と答えているという結果が出ている(ちなみに、寧波市は中国の南の浙江省にある風光明媚な商業都市であり対外貿易が盛んな港湾都市でもある)。

 また多くのサイトが、数々の調査により「隠婚族」のほとんどは25歳から35歳までの女性であることを示し、隠婚族問題は女性問題であることを突きつけている。

 2008年1月、「網易」(Net Ease)は、「中国婦女報」(という新聞)の情報として、「どのようにすれば婚姻族を識別できるか」に関する10項目の「識別基準」を載せている。

「実は結婚している」彼女を見分ける、10の方法

その一部を紹介すると、

1. 職場では決して、歯が浮くような熱い電話をせず、またみんなが結婚問題等に関しておしゃべりを始めると、必ず沈黙を保っている。

2. 偶然、彼女の薬指に白い一本の線を見つけたときに「あれっ、これ、どうしたの?」と聞くと、答えを笑いでごまかしてしまう。

(いうまでもなく、「薬指の白い一本の線」は「指輪をはめていたあと」を意味する。著者注)

3. その日の勤めが引けたあと、みんなで外で食事をしたり歓談したりしている時に、夜の8時か9時になると、必ず彼女の携帯電話がしきりに鳴り始める。

4. その彼女が携帯を受けるときには、必ずと言っていいほど、ごまかすような言い方で「うんうん、わかった、わかった」とか「あ~~、バイバイ」とか「もうすぐよ、ちょっと待っててよ」とか言って、明らかに一刻も早く電話を切ろうとしている。あるいは、その内の一回は、急いで外に出て電話を受けようとする。ときには、携帯が鳴りっぱなしに鳴っていても聞こえない振りをするか、同僚が、「あれっ、君の携帯じゃないの?」と注意を促すと、「ああ、まちがい電話よ。ほっとけばいいわ」と、確認もせずに打ち捨てる。

5. ふだんは「楽しい独身貴族」を自称しているのに、なぜか休日になると、突然、連絡が取れなくなる。

6. いつもは社交的な集まりに喜んで参加するくせに、ボーイフレンド(やガールフレンド)同伴で参加するような集まりになると、絶対に姿を現さない。

7. 手相占いをして遊んでいるときに、「あなたの手相は、30前に結婚すると出ているのに、なぜまだ独身なのかな……」などという話題になったときに、そっと手を引っ込め、話題を他に移そうとする。

8. 突然、招かざる客らしい一人の異性(男性)が、職場にいる彼女の前に現れた時、あなたが「どなた?紹介してよ」と促すと、たちまち非常にきまずい雰囲気になる。

 などなど、ネット上は「結婚できない<できる女>」と同じ程度に、この「隠婚族」の話題でもちきりだ。

 なぜこのような問題が起きはじめたのか。

仕事にマイナスになるから、結婚をひた隠す

 いつまでも男性にチヤホヤされていたいからなのか。結婚してもなお、別の男にもてたいのか。一人っ子政策で甘やかされて育った者たちの限りないわがままではないのか。こういった、どちらかと言えば、やや悪意に満ちた憶測が流れることもあったが、実はそうではないことが、その後明らかになった。

 それは「既婚者だとわかると、職場で不利になるからだ」、というのである。

 既婚が不利になる――?
 ということは、未婚が有利になるということなのか?

 この男女平等を国家の特徴として標榜し、「半辺天(バン・ビェン・ティエン)」(天の半分は女性が支えている)という言葉まで生み出してきた社会主義国家、中国において、そんなことがあり得るのだろうか?

 そう、あり得るのである。但し、それは女性に限ってのことだ。

 女性を雇用しようとする就職情報には「未婚に限る」という文言が付いている場合さえある。既婚女性は子供を生んだり育てたりしなければならない。その間、休暇を取ったり残業ができなかったりと、会社に損失をもたらす。家には退職した両親がいて孫の面倒を見てくれたり、「保母(バオ・ムー)」というお手伝いさんがいて、炊事選択から育児まで請け負うという条件が整っていることが多いものの、それでも女性の出産育児は、決して会社に利益をもたらすものではない。

 何もかもが激しい競争社会だ。福祉だの女性への理解だの、そんな生ぬるいことは言っていられない。

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「第5回 <A女>の影に潜む「隠婚族」の女たち」の著者

遠藤 誉

遠藤 誉(えんどう・ほまれ)

筑波大学名誉教授

1941年、中国長春市生まれ、1953年帰国。理学博士。中国で国務院西部開発弁工室人材開発法規組人材開発顧問、日本では内閣府総合科学技術会議専門委員などを歴任。2児の母、孫2人。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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