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買収失敗の末路

米半導体フリースケール転落、過去最悪の買収劇か

2008年4月14日(月)

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Emily Thornton (BusinessWeek誌、アソシエートエディター)
Peter Burrows (BusinessWeek誌シニアライター、シリコンバレー)
Roger O. Crockett (BusinessWeek誌、シカゴ支局長代理)
2008年4月14日発行号カバーストーリー 「When a Buyout Goes Bad

 2006年、プライベートエクイティ(非公開株)投資グループが、米半導体大手フリースケール・セミコンダクタ(FSL、本社:テキサス州オースチン)の買収に踏み切った。決め手となったのは、フランス出身のミッシェル・メイヤーCEO(最高経営責任者)(48歳)の経営手腕である。メイヤー氏は、約2年前に米通信大手モトローラ(MOT)からスピンオフ(分離・独立)した後、破綻しかけていたフリースケールを立ち直らせ、株価を急騰させた立役者だ。

 だが今年2月21日、メイヤー氏は本社カフェテリアに設けられた演壇に立ち、数千人の従業員を前に衝撃の告白をした。「2008年最初の社員総会にご出席ありがとうございます。私にとっては今回が最後の総会となります」。その4週間後、豪胆さと大の車好きで知られる同氏はフリースケールを去った。

 フリースケール買収には、買収業界関係者の多くから異論が唱えられていた。仕掛けたのはブラックストーン・グループ(BX)、カーライル・グループ、テキサス・パシフィック・グループ(TPG)の米国勢と英ペルミラ・アドバイザーズで構成される、大手プライベートエクイティ投資会社のコンソーシアム(連合体)だ。こうした会社は企業を買収し、再生させたうえで売り払って利益を手にする。また、買収対価の支払いのため、買収後の新会社は債務を背負わされるのが一般的だ。

 しかし、この通常の手法はIT(情報技術)業界には適さない。巨額の研究開発予算が必要なうえ、製品の好不調の波も大きいからだ。半導体業界は特にその傾向が強く、単年の売り上げ変動が25%に及ぶこともある。

 買収価額が巨額であることも、財務専門家から疑問視された。IT関連企業としては当時最高の176億ドル。「失敗など想定していない価格だ」と、ある経験豊かなプライベートエクイティ業界関係者は言う。世界有数のプライベートエクイティのプロが、これほどの大金を“成功”に賭けたことになる。

「我が子を醜いと言われたような心境だ」

 だが、その目論見は外れた。携帯電話、通信機器、自動車など民生品向けの半導体製造で知られるフリースケールの買収は、過去最悪の買収劇の様相を帯びてきている。

 買収完了後わずか数カ月で、売り上げは下降線をたどり始めた。最大の得意先で元親会社のモトローラからの注文が激減。これを補う新規顧客の開拓も思うように進まなかった。2007年の売り上げは業界全体では5%増加したにもかかわらず、10%減の57億ドルにとどまった。

 悪報はさらに続く。3月26日、モトローラが携帯電話事業のスピンオフを発表。フリースケール弱体化の懸念は一段と強まった。

 フリースケールが株式公開企業のままで債務も比較的小額だったなら、こうした状況はそれほど致命的ではなかった。だが、買収後は対価を賄うため95億ドルもの債務を背負い、半年ごとに3億7500万ドルもの金利を支払わなければならない。ジャンク(くず)級と格付けされた社債は額面1ドルにつき69セントまで下がってしまった。「我が子を醜いと言われたような心境だ」と、買収した連合側の関係者は嘆く。

 間の悪いことに、会計上の恩恵さえなくなってしまった。従来、プライベートエクイティ投資会社は、買収した企業の業績が悪くても数年間は投資家に隠しておけた。売却または上場しない限り、含み損を投資家に開示する必要はなかったのだ。だが、2007年11月に会計基準が変更され、投資した企業の価値が低下した場合には評価替えが義務づけられるようになった。

 BusinessWeek誌の調査によると、フリースケールの出資者(ブラックストーン連合のほか、米保険大手アメリカン・インシュアランス・グループ(AIG)、カナダ・ペンション・プラン投資委員会、シンガポールの政府系ファンドであるシンガポール政府投資公社(GIC)など)がこれまでに評価損として計上したのは約10億ドルで、これは出資額70億ドルの15%に相当する。

 新基準に対応しなくてはならないプライベートエクイティ投資会社各社にとって、フリースケールの例は教訓となるだろう。「(IT業界では)今後も激しい浮き沈みがありそうだ」と、プライベートエクイティ業界歴の長いある関係者は見ている。

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