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中国「消費革命」最前線!(4)
~政府の無策に沈むオタクビル「動漫城」

でも日本アニメ人気は健在

  • 中村 正人

バックナンバー

2008年4月22日(火)

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(前回「主役は、大人になんかなりたくない「ゼリーの世代」 共産党公認“オタク展覧会”の真意は?」から読む)

 前回、中国の高度経済成長が生み出した「80後」世代の胸の内を覗いてみた。エリート予備軍として期待されている彼らは、「大人になんかなりたくない」という。まるでいつぞやの日本の若者のようでもあった。そして彼らは、日本のポップカルチャーの影響を強く受けていた。

 今回は、そんな中国の若者を取り巻く「市場」の話をしてみたい。

 それは日本の1980年代以降に顕在化したアニメやマンガ(以後、中華圏の言い方にならって「動漫」と呼ぼう)を主とするオタク文化の「産業化」や「市場」の創出が、ここ中国でも起こるのだろうか、というテーマである。

中国に「アニメ市場」は成り立つか?

 もっといえば、台湾や香港では1990年代に、日本アニメやドラマの好意的受容が起こっている。そこには近代化や民主化をまがりなりにも達成した東アジアの若者同士の「同時代性の共有感」があったとされる。それら中華圏の周縁地域では、単なる流行やブームではなく、いわば動漫文化市場が各地で創出されたのだ。同じようなことが、中国でも本当に起きているのか?

「1856動漫城」のビル入り口。住所は南京西路1856号

「1856動漫城」のビル入り口。住所は南京西路1856号

 現場検証の一事例として、上海の通称「オタクビル」を取り上げよう。「80後」世代が愛好するアニメやキャラクターグッズの専門店が集まった正式名称「1856動漫城」だ。

 「動漫城」は、上海のメディアを束ねる国営の上海文化広播新聞伝媒集団(Shanhai Media Group)が2005年12月、専門アニメチャンネルの事業多角化のために鳴り物入りでオープンさせたショッピングセンターである。

 どんな商品が売られているのだろうか。当然、動漫好きの「80後」世代を当て込んだビジネスだと思われるが、賑わいのほどはどうか。そういうスポットならば、メイドカフェの子たちが存在を指摘していたようなオタクにわんさと出会えるのだろうか。

 中国の動漫文化に関連する消費市場を体感するには格好のスポットだ。これは興味津々。行ってみねばなるまい。

 はじめて訪ねたのは、昨年9月末、国慶節の前日の午後だった。場所は、上海の商業地の中でも一等地といえる地下鉄2号線「静安寺」駅の近く、南京西路に面していた。

予想と大きく違う雰囲気

 ビルの入り口は国慶節を祝う飾りつけで日本のアニメキャラが派手に勢揃い。ところがそこを抜けると、「あれっ」。薄暗くひんやりしたロビーがあるのみ。

 もぬけの殻とはこのことか。人気の少ないロビーに門番がいたので、「ここが動漫城ですか?」と聞くと、言葉で返すかわりに指を上に向けた。照明のないだだっ広い倉庫のような1階にではなく、店舗は2階にあるらしい。

海賊版フィギュアもかなり混じっているようだ

海賊版フィギュアもかなり混じっているようだ

 階段を上がると、たしかになるほど。日本の動漫とアイドル関連グッズやフィギュアなどを扱う蛸壺ショップが10数軒ほど並んでいた。

 狭い路地のような通路を歩く。ガラス張りのショップには、ウルトラマンからドラえもん、ドラゴンボール、涼宮ハルヒまで、日本でおなじみのフィギュアがぎっしり陳列されている。日本のアイドルのCDやアニメ本、DVDのショップでは、正規版だけでなく海賊版も当たり前のように売られている。コスプレ専門店もあり、衣装やアクセサリーを商品にしている。

 事前のふれこみでは「上海版ミニアキバ」ということだった。実際には一棟のビルに専門店を集めているので、あえていうなら中野ブロードウェイに近い感じだろうか。規模が予想よりも小さく、アレレという印象だったけど。

日本のアイドルの2008年版カレンダーの予約を受け付ける看板

日本のアイドルの2008年版カレンダーの
予約を受け付ける看板

「Cats Eyes」という名のコスプレ専門店。店内にはアクセサリーや小物類がいろいろ

「Cats Eyes」という名のコスプレ専門店。
店内にはアクセサリーや小物類がいろいろ

 東アジアにおける同様の「オタクビル」は、ココよりも昔、1980年代後半の香港に誕生している(「信和中心」という)。そこと比べても、かなりしょぼい感じだった。

 それでも、国慶節の1週間の秋休みに入る前日だったせいか、制服姿の若者もそれなりに来店していた。話を聞いてみよう。

中学の優等生女子にインタビュー

 最初に声をかけた女子2人組は中学3年生。中国の小中学生が首に巻くネッカチーフ「紅領巾」は優等生の証である。ふたりとも着けている。

体操服にジャージ姿の学校帰りのふたり。お気に入りの店「Chery Chery」の前で

体操服にジャージ姿の学校帰りのふたり。お気に入りの店「Chery Chery」の前で

―― よくここに来るの?
「ときどき」
―― 何を買いに来たの?
「携帯ストラップ」
―― どんなアニメが好き?
「『BLEACH』かな」

 日本では『BLEACH』と共に「死神モノ」とも括られる人気コミック『デスノート』がある。死神の落としたノートを使って犯罪者に死の制裁を下すという設定。中国の小中高生の間でも異常な人気を見せた。それに対し、当局は昨年5月、「神秘主義や死、復讐などの感情に訴え、青少年の健全な成長にマイナス」との理由から販売禁止にした。ストーリーを真似て、嫌いな友達や学校の先生の名前をノートに書きこむお子様たちが続出したためだ。そして今年2月、『デスノート』に類する「ホラー・オカルト作品」の出版物取締りのさらなる強化が通知された。

 実は、『デスノート』の発行元である集英社は、中国に同作品のライセンスを付与していない。すべて海賊版が勝手に起こした出来事である。

 小さい頃から激しい受験競争にさらされる中国の子供たちにとって、心のスキマを埋める唯一のエンタメといえるのが海賊版だ。勉強漬けの日々を送っていると、「ホラー・オカルト」系や都市伝説に魅了されやすいのは日本でも同じだから、実感としてよくわかる話。彼女らが「動漫城」で好んで購入していく日本の動漫の中にも、いまはよくても近い将来、販売禁止の憂き目に遭うものが紛れているはずだ。

 次に女子高生2人組。ふたりとも上海生まれの都会っ子だが、日本の同年代に比べると幼く見える。

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