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心臓疾患とコレステロールは無関係?

揺らぐ“コレステロール悪玉論”

2008年4月24日(木)

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John Carey (BusinessWeek誌、ワシントン支局上級記者)
米国時間2008年4月15日更新 「Heart Disease: Not About Cholesterol?

 コレステロール値を下げることが心臓発作や心血管系疾患予防のカギ――。最近相次いだ2つの出来事で、この通説が大きく揺らいでいる。

 1つ目は3月30日。米心臓病学会が、米製薬大手のシェリング・プラウ(SGP)とメルク(MRK)が共同販売しているコレステロール低下薬「ゼチア」と「バイトリン」の使用を極力控えるべきとの意見を発表した。ゼチアを別のコレステロール低下薬と併用した臨床試験で、医療効果が表れなかったためだ(BusinessWeek.comの記事を参照:2008年3月31日「A Weak Prognosis for Vytorin and Zetia」)。

 だがこの騒動の裏で、同規模の大ニュースなのにほとんど注目されなかった、別の出来事が起こっていた。一夜明けた31日、英製薬大手アストラゼネカ(AZN)が、自社コレステロール低下薬「クレストール」が期待を上回る効果を上げたとして、1万5000人を対象とした臨床試験「ジュピター」の早期中止を発表したのだ。

 これは意外な展開だった。被験者は“悪玉”コレステロール値のきわめて低い、本来ならクレストールを勧められることのない患者だった。それでも心臓発作の発症が抑制でき、予想外に早く有用性が確認されたのだ。

 「ジュピターがこれほど早く中止になるとは驚きだ」と、同臨床試験の中核医療機関である米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院(マサチューセッツ州ケンブリッジ)の血管治療薬部門で研究員を務めるジェームズ・リャオ医師は語る。「既成概念を一新することになる。クレストールにはコレステロールを下げる以外の効用がある可能性もある」。

 こうした意見は少数派だ。医師、企業、マスメディアは「悪玉コレステロール値が高いと早死にするから、数値を下げなくてはいけない」と口を揃える。国の治療ガイドラインでさえ、悪玉コレステロールと呼ばれる「LDLコレステロール」の値を130 mg/dL(ミリグラム/デシリットル)未満、できれば100 mg/dL程度に抑えておくべきだとしている。

コレステロール値は本当に重要か

 だがコレステロール値の重要性については常々疑問の声が上がっており、LDLコレステロールが心臓疾患にあまり関与していないことが証明されてもいる。例えば、心臓発作や心血管疾患を起こした患者の半数は、LDLコレステロール値が正常か低めだった(BusinessWeekチャンネルの記事を参照:2008年1月28日「コレステロール低下薬で大論争」)。

 またゼチアの臨床試験では、タイプの違うコレステロール低下薬を併用しても同じ効果は得られないことが明らかになった。広く使われているスタチン系製剤に作用メカニズムの異なるゼチアを組み合わせたところ、LDLコレステロール値は大幅に低下したが、心臓疾患などの治療効果は得られていないようだった。

 ブリガム・アンド・ウイメンズ病院の心疾患予防センター長で、米ハーバード大学の医学部教授でもあるポール・リドカー医師は、別の要因が作用していると考えた1人だった。この治験結果は、心疾患の発症に炎症が大きく関わっていることを示しているに違いないとリドカー医師は考えている。同医師は、血液検査によって炎症の生体マーカーであるC反応性タンパク(CRP)を調べるべきだと訴えるようになった。炎症レベルはコレステロール値よりも明確なリスクの指標となるのではないか。「リピトール」のようなスタチン系製剤は、ある面、炎症を抑えることによって効果を発揮している可能性がある。

 リドカー医師は「大規模な臨床試験を行って検証する価値はある」とアストラゼネカに出資を持ちかけた。アストラゼネカにとってはリスクが小さく、大きな利益を期待できる話だった。同社が販売するクレストールは、コレステロール低下薬市場で出遅れ、米製薬大手ファイザー(PFE)のリピトールなどのスタチン系製剤の後塵を拝していた。

 治験で低コレステロール値の患者への効果が示されれば、ほかのスタチン系製剤よりも大きな市場が獲得できる。高コレステロール値の患者だけでなく、コレステロール値が正常あるいは低めの患者、CRPやその他の炎症マーカー値が高い患者の需要も見込め、約2500万~3000万人の市場規模拡大が期待できる。

 「臨床試験の本来の目的は、炎症が心疾患の要因としてどの程度重要なのかを検証することだった」と、アストラゼネカのデビッド・ブレナンCEO(最高経営責任者)は説明する。

 リドカー医師が実施した臨床試験は、高CRP値の患者1万5000人を対象とした大規模なものだった。被験者の平均コレステロール値は108とかなり低めだった。被験者の半数にクレストールを、半数に偽薬を投与した。心臓発作などの発生が25%減少する効果があれば、3年半の治験で投与患者に有用性が認められると計画していた。「臨床試験は2010年もしくは2011年までかかる見通しだった」とブレナンCEOは説明する。

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