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ハゲタカ投資家の新星登場

瀕死の破綻企業は“おいしい獲物”、不良債権投資は既に常識

2008年5月7日(水)

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Emily Thornton (BusinessWeek誌、アソシエートエディター)
Susan Zegel (ニューヨーク)
Christopher Palmeri (ロサンゼルス)
2008年5月5日発行号カバーストーリー 「The Midas of Misery

 米証券大手ベアー・スターンズ(BSC)存続危機でウォール街が大混乱していた3月中旬、米ヘッジファンド、ハービンジャー・キャピタル・パートナーズ創設者のフィリップ・A・ファルコーネ代表は実り多き週を満喫した。

 ベアーをはじめとする金融株の暴落にいち早く賭けたのが大当たりし、数千万ドルを稼いだのだ。さらに3月17日には資金難にあえぐ米ニューヨーク・タイムズへの投資でも大きな成果を得た。社主アーサー・O・サルツバーガー・ジュニア氏がファルコーネ氏の推す役員候補2人を取締役会に迎え入れることに同意したのだ。

 数日後には、米連邦通信委員会(FCC)が無線用周波数帯の権利を200億ドル近い額で売却。ファルコーネ氏が安値で購入した周波数帯の価値は急騰した。

触れる物がすべて黄金に変わる、伝説の王ミダスのよう

 ファルコーネ氏は不良企業をカネの成る木に変えてしまう。まるで触れる物を黄金に変える力を持ったギリシャ神話のフリギア王「ミダス」のようだ。

 ハービンジャー創設時に調達した資金の760倍近い190億ドルを使って、倒産した企業の不良資産をいち早く買い、実質破綻状態の企業の社債はショート(売り建て)する。さらに大量の保有株を武器に、株のリターンが市場平均を下回る会社に変革を促す。保有銘柄はまつで負け組業界リストを読んでいるようで、メディア、公益サービス、鉄鋼メーカーといった具合だ

 昨年のハービンジャーのリターンは110億ドル。サブプライム関連資産の下落に大胆に賭けたのが大いに功を奏した。ファルコーネ氏自身も17億ドルもの報酬を得ることになり、昨年のヘッジファンドマネジャー報酬番付の上位に入った。「投資対象に制限はない。安ければ買うまでだ」と、ファルコーネ氏と取引関係を持つある投資銀行家は言う。

 ファルコーネ氏の戦略は、急速に影響力を増している新しい層のハゲタカ投資家を象徴するものである。米サーベラス・キャピタル・マネジメントのスティーブン・ファインバーグ氏や米WLロス・アンド・カンパニーのウィルバー・ロス氏などの投資家が、これまでになく注目を浴びている。ファルコーネ氏も最近急にこうした著名投資家の仲間入りをし、ライバルにも一目置かれている。「ただ者ではないね。きっと生き残るよ」とベテランのロス氏は評する。

 ファルコーネ氏らの最近の“獲物”はリスクと健全さの点で最低ランクに評価される資産だ。普通の投資家なら安心して保有していられない。通常ハゲタカ投資家が姿を現すのは、金融市場が混乱し相場が下落した時。従来のハゲタカ投資家と違うのは、潤沢なキャッシュに物言わせ市場への影響力が増している点だ。破産手続き中の企業の社債を二束三文で買うのが常套手段だった従来のハゲタカ投資家に比べ、投資テクニックもはるかに多様化している。

 昨年、再生ファンド(不良化した資産を投資対象とするファンド)のマネジャーは少なくとも450億ドルの新規資金を集めた。その5年前の2002年はわずか100億ドルだった(業界専門誌「プライベート・エクイティ・アナリスト」より)。

 こうした不良資産の買い時を狙っている資金は総額で4000億ドルを超えるという試算もある。「再生ファンドはウォール街の主役となっている」と、米投資顧問会社シグラー・ガフ(本社:ニューヨーク)のマネジングディレクター、マリア・ボヤズニー氏は言う。

 ファルコーネ氏のようなハゲタカ投資家は、獲物となった会社にとって時には残忍な存在となる。だがその強力な資金力で、大恐慌以来最悪とも言える金融危機から米経済が息を吹き返す原動力となる可能性もあるのだ。

 既に引き取り手のない住宅ローンや買収資金用ローン債権を大量に買い漁り、硬直状態の市場に貴重な資金を送り込んでいる。また、巨額の債務で首が回らない会社の株を買い、資金繰りに窮する企業に信用枠を供与している。ウォール街の大半がいまだ怖くて様子見状態にある中、大物ハゲタカ投資家の“買い”は、市場が凍結状態を脱し始めているかすかな兆候だ。米景気にとっては好材料と言っていい。

不良債権投資は既に常識

 もちろん景気を良くするために不良債権を買っているのではない。絶好のタイミング、つまり底値かその近辺で買えば、驚異的な利益を手にすることができるのだ。

 4年前にファルコーネ氏は、当時経営難にあった豪鉄鉱石鉱山開発会社フォーテスキュー・メタルズ・グループの転換社債を2500万ドル相当購入した。今や世界的な商品相場の高騰で、投資評価額は37億ドルに大化けしている。

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