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世界的なコメ危機の実態

背後に潜む問題点とは何か

2008年5月14日(水)

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Frederik Balfour (BusinessWeek誌アジア特派員、香港)
米国時間2008年4月28日更新 「Understanding the Global Rice Crisis

 コメの国際価格が日々高値を更新している。世界銀行はこの状況が続けば、世界でさらに1億人が貧困にあえぐことになると警告している(BusinessWeek.comの記事を参照:2008年4月25日「Behind the Run on Rice」)。現在の食糧危機の背後に何があり、この問題から抜け出すために世界は何ができるのか。考慮すべき重要な問題をいくつか取り上げる。

 欧米でエタノール生産向けのトウモロコシ栽培量が増えたことが、コメの価格高騰に影響しているか。

 間接的な影響はある。欧米ではエタノール生産のため、小麦からトウモロコシへの転作が進み、供給量の減少した小麦の価格が上昇している。高値になった小麦の代わりとして、特にアフリカ地域でコメの消費量が増えている。もちろん代替燃料としてのエタノールの需要増大は原油価格の高騰と結びついている。原油価格の高騰はさらに、肥料代、輸送費、加工費などを押し上げ、コメの生産出荷にかかるコストを大幅に引き上げている。

 その影響がアジアにどのように波及したのか。

 コメの輸出国として世界第2位のインド、第3位のベトナムでは、大豆や小麦、トウモロコシの価格が急騰した。国内の物価上昇に歯止めをかけようと、両国は3月末にコメ輸出規制策を打ち出した。国内で十分な備蓄量を確保し、コメの国内価格を抑制しようとするものだ。だが、逆効果になった。国際価格が上昇すると、国内の取引業者がすぐに国内価格を引き上げた。そのため、人々はコメを求めてパニックを起こし、買い占めが横行した。

 しかし、世界的なコメ不足が起こっているのは。

 コメ輸出国の政府が講じた措置によって、人為的にコメ不足が作り出されている。

 誰かがコメを買い占めているのか。

 取引業者、精米業者、卸売業者、小売業者と流通の様々な段階でコメの買い占めが起こっている。投機家にとってコメは貯蔵や輸送が容易な点で魅力的だが、コメの先物市場は流動性が低く、リスク回避の手段に乏しい。そのため、投機対象としては大きなリスクがある。またコメには等級によって15種類もの基準価格があり、市場の透明性が高いとはとても言えない。

 世界最大のコメ輸出国であるタイでの状況は。

 今のところ、タイでは輸出規制の動きは出ていない。昨年末時点で約320ドルだったタイの香り米(ジャスミンライス)1トン当たりのスポット価格は、現在では約1100ドル。しかし輸出の場合、出荷の数カ月前に契約が結ばれるため、膨大な損失を被っている輸出業者もいる。タイ米輸出業者協会のチューキアット・オファスウォンセ会長によれば、国内のコメ取引業者から現行価格で買い入れ、米価高騰が始まる前の今年初めの価格で売り渡さなければならないことが原因だ。契約の再交渉を行ったり、輸出を差し止めたりする輸出業者も出ている。米価の上昇によって、今年の第2四半期の輸出量は、第1四半期から20~25%程度落ち込み、月間78万トン程度に減ると同会長は見ている。

 現在の価格高騰が投機や政府の介入によるものなら、いずれ米価は落ち着くのか。

 ある程度までは低下する。価格が急騰すれば、投機家や買い占め業者は保有するコメを放出しようとするため、価格は押し下げられる。しかし今年に入ってまだコメの買い入れを行っていないイラン、インドネシアといった主要輸入国には膨大な潜在需要がある。

 なぜ農家はコメを増産しないのか。

 増産はできない。大半の稲作農家は既に生産米のほとんどを消費していて、コメの作付面積を拡大する余地もない。さらに急速な都市化や中国で起こっている砂漠化の影響で、耕作地自体が減少している。一方、バイオ燃料の増産のために、稲作地からアブラヤシのプランテーションへの転作が進んでいる。また所得が増えた地域ではコメに代わって肉の消費量が拡大している。従来コメで摂取していたのと同量のカロリーを肉で摂取するには、コメを生産するより広い飼料用地が必要になる。

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