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「パンダ貸与」の意味するもの

1300年前に世界で最初にパンダの寄贈を受けたのは日本だった

2008年5月16日(金)

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 日本が唯一所有権を持っていた上野動物園のジャイアント・パンダ(以下「パンダ」)のリンリン(陵陵)が2008年4月30日に死亡した。1985年に北京動物園で生まれたリンリンは、日中国交回復20周年を記念して、日本生まれのパンダと交換する形で1992年に上野動物園へ寄贈されたものだった。現在のところ日本には合計8頭のパンダ(神戸市立王子動物園2頭、和歌山アドベンチャーワールド6頭)が飼育されているが、これらはいずれも研究目的という名目で中国から有償で貸与されているものであり、日本に所有権はない。

笹を食べるパンダ(北京動物園)

笹を食べるパンダ(北京動物園)

“寄贈”ではなく、有償の“貸与”とはみみっちい?

 リンリンの死亡時期が折しも中国の胡錦涛国家主席の訪日直前であったことから、日本政府は中国政府に対して胡主席の訪日土産の意味合いを込めてパンダ2頭の借り受けを要請した。5月6日午後に訪日した胡主席は同日夜の福田首相主催の夕食会で、日本側の要請に応えて「雄雌1対のパンダを研究目的で日本に貸与する」ことを表明した。

 しかし、中国の国家主席が訪日したにもかかわらず、これといった成果も土産も無いのに、パンダ2頭が“寄贈”ではなく、有償の“貸与”とはみみっちいという声が巷に溢れ、それならパンダ2頭の借り受けは必要ないという反対の声も高い。何故にパンダ2頭は“貸与”なのであろうか。

 2007年9月13日付の広東省広州市の夕刊紙「羊城晩報」は、国家林業局のスポークスマンである曹清堯が記者会見の席上で「我が国は今後パンダを海外へ寄贈することを取り止める」として次のように述べたと報じている:

  1. 中国は海外へのパンダ寄贈を既に停止しており、海外との共同研究を目的とした貸与だけがパンダを海外へ送る唯一の方法である。
  2. 中国がパンダを寄贈するのは、香港及び台湾の同胞に対してのみとする。
  3. 海外との共同研究は、パンダの繁殖や生理などの分野で関連技術を持つ外国動物園や組織を対象とするが、これは既に良好な成果を上げている。現在中国は5カ国の9つの動物園とパンダの共同研究を実施しており、海外で共同研究しているパンダは30頭に及んでいる。

海外貸与総数の3割以上を日本が占めることになるから

 上記の国家林業局の決定が、今回の訪日時に胡主席をしてパンダを“貸与”としか表明できなかった根拠となっているのである。今回日本が共同研究の名目で新たに2頭の貸与を受けることになれば、パンダの貸与頭数は10頭となり、32頭(30頭+2頭)中の10頭が日本ということになり、海外貸与総数の実に3割以上を日本が占めることになるのである。

 ところで、“同胞の地”としてパンダ寄贈の対象地域とされた香港と台湾の現状はどうなのだろうか。香港特別行政区に対しては、1999年に安安(アンアン)と佳佳(ジァジァ)という雌雄1対のパンダを寄贈したが、2007年4月には香港返還10周年を記念して楽楽(ルールー)と盈盈(インイン)の雌雄1対を新たに寄贈している。また、台湾に対しては、2005年4月に当時台湾の最大野党であった国民党の連戦前主席が訪中した際に、中国は台湾融和策の一環としてパンダ1対の寄贈を発表した。

 これに対して台湾の陳水扁総統は中国の身勝手な決定と反発を示してパンダの受取り拒否を表明したが、中国は寄贈予定のパンダの名前を国内で公募し、テレビで命名式典を放映して、2頭のパンダに団団(トアントアン)と円円(ユエンユエン)と命名した。

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「「パンダ貸与」の意味するもの」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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